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多職種連携(フィンランドと日本のソーシャルワーク文化交流講座No.3 2025年9月)に参加して考えたこと

 2025年4月と6月に「やまなしダイアローグの会」に参加し、フィンランドのソーシャルワーカー、chisatoさんのお話を伺いました。 

  chisatoさんから伺うフィンランドは学ぶべきことが多く、当研究所副所長の春日未歩子がセミナーを企画しました。セミナー第1回、第2回は都合がつかなかったのですが、第3回にやっと参加できましたので、その報告です。テーマは「多職種連携」でした

▼フィンランドの児童相談所

 今回のテーマは多職種連携。chisatoさんはフィンランドの児童相談所でソーシャルワーカーとして働いています。現在chisatoさんの児相に相談が入るケースの6割は親が海外にルーツを持つ人で、フィンランド人のケースは親のアルコール問題が多いとのことでした。架空事例を紹介しながら、どういう人が関わるか(多職種連携)を示してくれました。大きく分けると医療現場、社会福祉、教育現場の3つの領域からその子どもや家族に関わるわけですが、この3つの領域の連携は、必ずしもスムーズにはいっていないようなのです。フィンランドでは幼稚園から対話の練習をしていると聞いていましたので、これは意外でした。

▼資格(教育歴)によって扱える情報がはっきりと分かれている

 その理由は、職業学校卒の准看護師や保育士と、大学卒学士のソーシャルワーカーや看護師、作業療法士と、修士の教員、医師、ソーシャルワーカーとでは、権限が異なり責任も異なるので、資格に上下関係が発生していて、「あなたたちにはわからないでしょう?」と業務上は対等ではないというのです。多職種連携のミーティングを行っても、たとえば「親に関する情報はあなたたちには言えません」となるのだとか。これにもビックリしました。せっかく集まっているのに共有できない情報があるというのです。それぞれの専門職の対話の技術は高いし、いい人たちだけれども、各資格に権限が定められていて、あくまでもシステムで動いているからそうなってしまうのだそうです。

▼文脈を読まない

 システムで動いているということに関連して、空気を読んで動くことはしない、しない方がいいと教わるのだそうです。たとえば、「これくらいはやっておいた方がいいか」とか、「病院だから当然これはやってくれるよね」ということはなくて、これこれが必要だからやってくださいと伝えなければならない。文脈を読み取ることはするな、文脈はなるべく狭くせよと教育されるのだそうです。日本のように高度に文脈を読む文化からすると驚きます。もちろん、多文化コミュニケーションの授業で日本のような文化もありますよということは教わるのだそうですが、あくまでもフィンランドでの仕事では、相手にやってほしいことはわかりやすく丁寧に説明する、しっかりと伝える、というように教育されるのです。このようなシステムについてはchisatoさんも窮屈感を抱いているようでした。

▼必ずどこかのグループに所属する

 必ずどこかのグループに所属するという話も日本と違うなと思いましたし意外でした。たとえば高校を卒業したけれど進学に失敗したら、予備校みたいなのや就職用の学校みたいなのがあって、ほぼ強制的にどこかのグループに所属し、勉強したり職業体験や履歴書など就職する上で必要なことを、35歳まで学べるのだそうです。ともかく必ずどこかのグループに所属するし、それがすごく簡単とのこと。そして35歳を過ぎてもリハビリのような感じで職業訓練など、ともかくどこかに所属することになるそうです。そして各グループに医療、社会福祉、教育のスタッフがいる。
 図書館やショッピングセンターの中にハローワーク、診療所、ウォークインセラピーなどがあり、どこにでも社会福祉士がいるので社会福祉につながるのは本当に容易なのだそうです。それは、お金のかかる医療のところに世話になる前に何とかしようという考えもあるようです。これらは予防医療の一環だそうです。

▼まずは健康と経済

 そして、仕事に就くにしても学校に行くにしても、健康状態や経済状態がよくなかったら難しいので、まずそこはサポートされるそうです。社会参加ができるように国がサポートする。自己責任とされてしまう日本とは大きく異なるところですね。そして本人は何ができるのか、アセスメントに3ヶ月くらいかけ、前記のどこかのグループに所属することになります。アセスメントのための質問のフォーマットが用意されているのだそうです。こういったことがシステム化されているのがフィンランドの社会福祉なのか。健康と経済が用意されなければその上にはいけないだろう、ベースの部分を用意するのは国だという明確な政策があるわけですね。そしてこれこそが社会福祉なのか!とこの年になって悟った次第です。

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