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対話とは何か(2)フィンランドの実践から考える(JES通信【vol.204】2025.12.10.ドクター米沢のミニコラムより)


 11月に掲載した「対話とは何か(1)ChatGPTに手伝ってもらった話」の続編です。

●対話とは何か(2)フィンランドの実践から考える(JES通信【vol.204】2025.12.10.ドクター米沢のミニコラムより)


▼「対話」は新しいアイデアや発見、気づきを生み出す

 前回のコラム(JES通信vol.203 2025.11.10配信)では、ChatGPTの助けを借りながら対話とは何かを考えました。対話を研究している思想家や実践者の考えを総合すると、対話とは表1のように理解しました。

表1 対話とは何か
・対等に向き合う
・相手の話をジャッジせず聴き、理解しようとする
・その過程で浮かんだ自分の考えを言葉にする
・互いの語りを通して新しい視点を生み出す

 オープンダイアローグ(開かれた対話)という新しい対人支援アプローチを知ってから、対話という言葉を当たり前のように使ってきたのですが、自分がなぜ「対話」にこだわるのか、前回のコラムを練る過程ではっきりしました。「互いの語りを通して新しい視点を生み出す」ことこそが対話の意義だと気づいたのです。そう考えてみると、「対話的相談」とか「対話的話し合い」、「対話的1on1」などという表現があってもいいのかもしれません。
 上記の「対話」の要素を意識することで、新しいアイデアや発見、気づきを生み出す可能性が増すような気がします。

▼対話力を高めるには

 では、対話力はどのように高められるのでしょうか。そのヒントが10月に参加したセミナーにありました。フィンランドから来日したカイ・アルハネン氏による「ダイアロジカル・スーパービジョン」という手法です。アルハネン氏は医療・福祉の対人支援職だけでなく、一般企業の組織にもこの方法でアプローチしています。アルハネン氏のレクチャーを聴き、仲間と演習しながら、これはいい!と思ったのが、彼が挙げた「対話のためのガイドライン」です(表2)。

表2 対話のためのガイドライン
1.聴くListen
2.他者に加わる Join others
3.直接尋ねる Ask directly
4.共通の言葉を生み出す Create common language
5.違いを模索する Explore differences
6.隠れて見えないものを探す Search for hidden things
7.より大きな視点で考えてみる(全体像を考える) Examine the bigger picture

 私が特に注目したのは、「2.他者に加わる」、「4.共通の言葉を生み出す」、「5.違いを模索する」、「6.隠れて見えないものを探す」の4つです。
 
▽「他者に加わる」とは
 「他者に加わる」とは、特にグループで対話している時に大事になるのですが、そこまでに語られた話題を受けて、それにつながるように自分の考えを語っていくことを言います。もしもつながりがはっきりしなかったら、ファシリテーターは、「今のお話はどなたの、どの話題につながりますか?」と尋ね、説明してもらい、理解を深めていきます。
 
▽「共通の言葉を生み出す」とは
 「共通の言葉」とは、お互いがわかる言葉という意味です。ある言葉をお互いが違う意味で使っているかもしれないし、違う言葉を実は同じような意味で使っているかもしれない。言葉を交わしながら、お互いに通じる言葉、お互いがわかる言葉を見つけていこうということです。前回および今回のコラムで「対話」について考えてきたのがまさしくこの作業です。ある人は対話を「会話」のように考えているかもしれないし、ある人は「話し合い」と同じように考えているかもしれない。それぞれの考えを話してみることで、言葉に共通のイメージを持てるようにします。
 
▽「違いを模索する」とは
 一方、共通のイメージが見出せず、違いに気づくこともあるでしょう。その違いは何なのか、話を続けるうちに徐々に明確になっていくかもしれません。また、意見の相違を恐れて、まだ言葉にしていない場合もあります。さらに、説明しづらいモヤモヤ感から違いに気づけることもあります。こうした違和感や違いを「なかったこと」にせず、大切に扱います。
 
▽「隠れて見えないものを探す」とは
 こうやって共通点だけでなくお互いの違いにも目を向けることで、隠れて見えなかったものが、見えてくるかもしれません。

▼対話とは、互いの違いを認識し、共に考えていくこと

 いかがでしょうか。今まで私はどこかで「合意という安心」を求めて人と関わっていたような気がしますし、そういう方は多いのではないかと思います。しかし、互いの違いを認識し、そこに果たして「橋」は架けられるのだろうかと模索することでこそ、双方にとって有益な新しい視点が見つけられるのかもしれません。違いを恐れないこと、これが今回の発見でした。
 次回のコラムは年明け2月になりますが、対話のためのガイドラインのトップに挙げられていた、「聴く」ことを考えてみたいと思います。
 
今年も大変お世話になりました。来年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

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