学会発表:オープンダイアローグ(2on1)を取り入れた研修(産業ストレス学会)
今回は関西支社長の辻井香絵とともに「オープンダイアローグ(2on1)を取り入れた研修」という発表を行いました。学会発表の予告編はこちら。学会開催中に書いた学会報告その1はこちらから。
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第33回日本産業ストレス学会
日時:2025年11月28,29日
会場:北九州国際会議場
メインテーマ:Psychology, Biology and Technology
産業ストレスの研究と実践の交差点
https://plaza.umin.ac.jp/jajsr33/
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発表では先に米沢がオープンダイアローグの概略と2on1演習の方法、そしてアンケート結果を紹介し、辻井が研修実施の背景と2on1がレジリエンス向上に役立つのではないかという仮説、研究方法を説明し、統計調査の結果を報告しました。
▼研究デザイン
今回の研究デザインの概略は以下のようになっています。
仮説:2on1の導入で参加者のレジリエンス、首尾一貫感覚(SOC)、プレゼンティーズムが向上するのではないか
研修プログラム:「オープンダイアローグで自己肯定感を体験しよう~新・レジリエンス研修」
参加者:IT関連企業の従業員71名。研修の前後2回とも回答が得られた参加者27名を分析対象とした
実施時期:2022年1月~2月、計4回。参加者はいずれか1回に参加
研修修了時に研修についてのアンケート調査を行ったほか、レジリエンス、首尾一貫感覚(SOC)、プレゼンティーズムの変化について、日本語版レジリエンス尺度(BRS-J)、Sense of Coherence(SOC)、単項目プレゼンティーズム質問票(SPQ)を用い、研修参加前の1月と参加後の6月にオンラインフォームにて回答を得ました。
▼アンケートの集計結果
アンケートの回答は以下のようにまとめました。
●2on1の感想(主なもの)
・新たな視点
1対1と違い傍聴者がいることで相談者の受け止め方が異なってくるのは興味深かった
着眼点が広がった。他の人ならどう対処するかという視点が持てそう
自分では否定的な捉え方をしていたことでも、第三者は肯定的に捉えることがあり、考え方次第でプラス思考になることを実感、など
・自己肯定感
新しい感覚で自己肯定感が上がった
恥ずかしさがありつつも、頑張ったことが肯定され嬉しかった、など
・共感してもらえた
・方法に驚いた
・思考の整理ができた
・アドバイスが受け入れやすい
・知らない人だからよかった
また「この研修を同僚へ紹介するとしたら…」という質問に対しては以下のような回答をいただきました。
●この研修を同僚へ紹介するとしたら…
・自己肯定感炸裂!ちょっとした悩みぐらいなら吹っ飛びます
・自分を客観的に見るという日常ではあまりできない体験ができます
・普段見えなかったことが見えてきて、何かヒントが得られるかも
一方、研修を難しいと感じた方もいらっしゃり、以下のような回答を寄せてくださいました。
●課題に感じたこと
・信頼感が必要
・スキルが難しい
・答えが欲しかった
▼統計解析の結果
研修前後におけるそれぞれの尺度の変化については、レジリエンス(BRS)では、資質的要素のうちの楽観性が、また獲得的要素の中の問題解決、自己理解が有意に向上したことがわかりました。首尾一貫感覚(SOC-3)については処理可能感および合計スコアが有意に向上したことがわかります。一方、プレゼンティズム(SPQ)については有意な変化は認められませんでした。
▼考察に代えて
今回の研修で自己理解とレジリエンス、首尾一貫感覚が参加5ヶ月後の時点で向上していることがわかりました。これは研修直後のアンケートで示された肯定的変化の感覚が5ヶ月後も維持されていると推測できます。
通常のグループディスカッションとは異なり、オープンダイアローグ形式の2on1では語りが多声的に扱われるため、問題の外在化が進みやすく、問題を自己から切り離して主体的に扱う感覚や、認知の柔軟性・他者とのつながりが強まることで、自己効力感およびレジリエンスの向上につながるのかもしれません。
オープンダイアローグを学び始めた頃は対人支援職のスキルの一つと捉えていましたが、今回の研修で、対人支援職ではなくても簡単なインストラクションを受ければ、オープンダイアローグ形式の2on1を活用できることがわかりました。以上の結果を改めて整理し、論文化したいと思っております。
▼研修の新しい選択肢のなりうるか
発表が終わってから、たくさんの方が私たちに声をかけてくださいました。みなさんに共通していたのは従業員の研修の手詰まり感で、今回の発表に新たな可能性を感じていらっしゃるようでした。オープンダイアローグ形式の2on1を活用する仲間が増えることを願っております。
