AI時代こそ、ハンマーを持つと全てが釘に見える
仕事で年末年始に顧客向けのイベントが計画されたことにより「イベントのチラシを作れ」と指示が出た。僕の部下がそれを担当することとなり、ヒーヒー言いながらその作業を遂行している。
こういった作業をする時に少し前だったら、WordやGoogleDOCSのテンプレートを更新して作成するか、ネットからフリー素材を取得して切り貼りして作成するか、もしくはillustrator等を使えるデザイナーに外注するのが主な方法だったと思う。
しかし今は画像生成AIがある。僕の勤め先ではGeminiProを契約しているので、Geminiで画像生成をすればオリジナルの画像をすぐに作れてしまう。リリースされたnano bananaはクオリティも凄いが、スピードはOpenAIよりも圧倒的に早い。
部下がチラシを作ろうとしながらも、そういった経験はなかったようで動きが鈍っていたため「Geminiで作ってみたら?」と助言をしてみたところ、とりあえず使い始めていた。その精度とスピードに驚きながら。
しかし、生成された画像を用いて仕上がったチラシを確認しても、その出来はイマイチだったのである。だから「やり直そう」と言って何度も作り直しているが、なかなか良い仕上がりにならず、Geminiによる画像生成作業も沼に陥ったような状態になってしまった。
Geminiに何度お願いしても理想のイメージが返されてこない。そのうち作業者の脳も疲弊してきてしまい、たくさんの時間が溶けていってしまった。しまいにはフリー素材を調べてみたところ、生成された画像よりもイメージに合うものがすぐに見つかってしまった。今までのGeminiとの苦闘は何だったんだ。
助言した僕も悪かったと反省しているけれど、こういった現象は本当によくある。欲求段階説で有名な心理学者マズローがこんなことを言っている。
If all you have is a hammer, Everything looks like a nail
ハンマーを手にすると全てが釘に見える
ハンマーのような便利な道具を手にすると、人はその道具に万能感を見出して固執してしまい、他によりよい手段があるにも関わらずそれに気づくことができなくなる。その現象を良く表していると思う。
何かある度にスマホのアプリで解決しようとしていた時代を経て、今ではAIが登場してしまったため、何でもかんでもAIで問題解決ができるように錯覚してしまう。
もちろんそれが最適なソリューションの可能性はあるが、Geminiとのやり取りがうまく軌道に乗らずに食い違いが生じて沼ってしまうようなら、フリー素材を見つけて自分で切り貼りした方が早くて良いものが仕上がる。
より便利な「ハンマー」が生まれ続けていく現代だからこそ、盲目的にならずに本質を見抜けるよう気を引き締めていきたいものだ。
同じような現象が日本中で発生しているかもしれない。みなさんも便利なハンマーにはご注意を。
