金にならない知識を求めて
世は副業、AI、投資と稼ぐための情報が溢れんばかりの資本主義の全盛時代である。過熱気味であるがゆえに近い将来に崩壊するかもしれないが、まだまだ世界経済が成長を止める気配は見えてこない。過去を遡れば、崩壊しても数年かけて結果的に株価は過去最高値になっている事実もあるので、今後もこの流れはしばらく続きそうだ。
そんな時代だからか、noteでも「AI×副業」とか「FIREしたい人のための○○術」とか、そんな記事がやたらと増えている気がする。
確かに金は欲しいし必要だし稼ぎたい。会社員やアルバイトの場合、給料には上限があるようなものだから、何か他に稼ぎ口を見つけたいと思うのも当然だろう。
そのためにはスキルと知識が必要である。そして時間をうまく活用することも大切になる。だから、できる限り忙しいなかでも継続することができる、自分の得意分野や興味があることに取り組んだ方がいい。
僕もたくさん金を稼ぎたいとよく思っているけれど、どうしても金を稼ぐのが下手くそで困っている。というか、興味を持てることと金を稼ぐことがリンクしない傾向にあるのだ。
例えば僕は小説を読むことが好きだが、仮に『失われた時を求めて』を全巻読んだところで給料が上がるだろうか。副業収入に繋がるだろうか。それはなかなか難しいだろう。その時間にアルバイトをした方が金は稼げる。
他にも、僕は語学を勉強するのが好きだ。もっとも、最近は時間が取れずにできていないが、また学習を再開したいと常々思っている。
一般的に最も役立つと言われている言語は英語で、その次は中国語だろう。英語は世界共通語のポジションを占めているし、中国語は日本のお隣に中国があるから関係性も深くビジネスに繋がる機会が多い。
だけど僕はスペイン語の勉強にハマっていた。みんなが勉強していない言葉を勉強したかった天邪鬼な気持ちと、発音や語感がわかりやすそうだったから挑戦をしてみたのである。しかし、スペイン語圏は日本からはかなり遠く、気軽に旅行に行くこともできなければ、日本国内で活用できる機会もほぼないに等しい。
しかし、こういった金にならない趣味であるほど、何故かやたらと夢中になれる傾向があるのも事実だ。これは何故なのか自分でもわからない不思議な現象であり、僕を困らせてもいる。
もしかしたら僕なりの資本主義へのささやかな抵抗なのかもしれない。「金のために動いているわけではなんだぞ」と。そしてそれが心地よいのだろう。
また、今は役に立たないことが将来役に立つかもしれないという期待がそうさせているのかもしれない。これは池上彰が『学び続ける力』という本で書いていたことで、意味がないように思えることが後で役に立つことを教えてくれる。
池上彰は「メソポタミア入門」という役に立たなそうな本を純粋な知識欲で読んだところ、世界情勢を説明することになる数十年後にその知識が非常に役に立ったと言っている。点と点は遠い将来に振り返ると線で繋がることがあるのだ。
だから、これだけ発展した資本主義社会の渦中にありながら、金にならない知識とスキルばかり身についていったとしても、あまり悲観的にならないようにしよう。それは資本主義へのささやかな抵抗でもあり、長い目で見た資本主義への順応でもあり得る。そして何より、楽しければそれでいいじゃないか、と思うからだ。
