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頑張らない美学|無風のSlackに浸る

僕はあまり人のアドバイスを素直に受け取るタイプではないが、ひとつ素直に従ってみたところ物凄くうまくいったことがある。

それは僕がマネージャーに昇進し、仕事の立場が変わったことで上司からも複数の部下からも無数に連絡が来て情報の渦に飲まれてしまい疲弊していた時のことだ。

電話が鳴りやむことはなく、Slackの未読マークは常に「99」を下回らない状態。情報が整理できずに凡ミスが発生し、リスクの対応が素早くできないままに、そのミスを上司から責められる。そんな日々だった。

その時に昔の上司と何気なく話すことがあった。何の会議だったかは忘れたが、時間が余ったので「最近どうですか?」といった雑談の時間になったのである。

その時に複数の連絡に対応できていないことを愚痴るように伝えたところ「Slackのグループとチャンネルから抜けちゃえばいいんですよ」と言われた。これはハッとさせられる助言だったのである。

上述の通り、当時の僕のSlackには未読マークが「99」を下回らない日々が続き、通知が頻繁に来過ぎて何が重要なのかがわからなくなっていたのだ。現場全体を何とか把握しようと責任感を持って全て捌こうとしていたが、結果的に重要ではなく自分が関与しなくてもいい連絡にも目を通すことになっていたのである。

しかし、重要な情報を見逃してしまったらどうするのか。そんな不安にも彼はこう答えた。

「本当に重要なことは何が何でも伝えてくるものですよ」と。

これもまたハッとさせられる助言だったのである。報告する側の立場を考えると、電話でも何でもいいから何とかして伝えなければどうすればいいかわからなくなるだろう。だったら不要な情報を削減する方が効率的になるのである。

これを聞いてから、複数のグループやチャンネルから退出をした。退出する作業をする際に、もう何年も使われていないゾンビのようなチャンネルやグループがあったことにも気づけた。人は何かを始めはするものの、古いものを捨てることは忘れてしまうのだ。

こうして使命感や責任感で使命を全うするような働き方ではなく、引き算をするような働き方ができるようになったのである。

一見すると、Slackのあらゆるチャンネルに素早く網羅的に返信をしている社員の存在感が際立ち、彼らが最も仕事の貢献しているように見える。しかし彼らがSlackの返信だけで業務時間の大半を費やし、自分が本当にやるべき仕事は残業代を貰いながら遂行している事実もあるのだ。

今はまるで無風に感じるSlackの画面を眺めながら、本当に必要なことにあまたを使える仕事の時間をとても有意義に感じている。仕事には引き算が必要らしい。良い勉強になった。

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