孤独の国で考えるお金と恋愛
人生において「避けては通れないこと」は何か、ふと考えてみた。特に理由はないけれど、なぜかそんな気分になったのである。
真っ先に思いついたのがお金であり、もうひとつが恋愛だった。このふたつは普遍的なテーマになりやすいと思う。他には病気とか家族とか、そのあたりだろうか。
まず、お金が避けて通れないことである理由を考えてみる。確かにお金を掛けずに生きることは難しい。節約すればするほど「お金はたくさんあってもしょうがない」といった気にはなるけれど、必要不可欠なものがあるのも事実であり「なくては困る」ものなのは誰もが実感できるだろう。家賃、光熱費、通信費、飲食…お金は生活のインフレを利用するための費用となっている。
また、日本では生活保護の基準も定められており(単身世帯の場合、日常生活費月額約8万円の生活扶助と住宅扶助)これは国が「生きるためにこれだけのお金は必要」と認めているとも言える。異論はありそうだけれど。
さて、一方で恋愛は人生において避けては通れないものなのか。誰もが結婚を追い求めているように見えるし、映画やドラマでも恋愛がテーマのもので溢れかえっている。ジョンレノンは『All Need Is Love』と歌い、ポールマッカートニーは『Can't Buy Me Love』と歌っている。こうして見ると、お金よりも愛の方が大切そうだ。
しかし、データで考察してみることで、その価値観は推移しつつあることもわかる。日本人の「生涯未婚率」は年々上昇を続け、2020年時点でも男性は約28%、女性は約18%となっている。

価値観の多様化もあるだろうけれど、昔は今以上に「ひとりでは生きていけない」困難な時代だったことも要因のひとつかもしれない。とはいえ、恋愛の必要性が昔よりも減少していると捉えることはできるんじゃないか。
こうして考えると、『Can't Buy Me Love』愛はお金で買えないけれども、愛がなくても金があれば生きていける、という説明ができてしまう。
だから、人生において「最も避けて通れないこと」はお金なんじゃないかと思ってきた。お金がなければ生きてはいけないし、お金があれば安心も手に入り娯楽も享受できる。お金が豊富にあれば、自由だって手に入れることができる時代だ。
人生において「避けて通れないこと」の結論がこんなドライなものでいいんだろうか、と思ってしまったのでもう少し他のデータも考えてみた。生涯未婚率の上昇とともに、目を伏せたくなるような数値も上昇している。孤独死の件数だ。

東京都23区の自宅で亡くなった単身者の数を調査した統計結果によると、2003年に4849人だった孤独死者数は2019年に8433人と1.7倍にも増加している。高齢化が進む日本において、この数字は今後も上昇していくことは簡単に推測ができる。
そう考えると、潤沢なお金を手にして不安なく生きていくことができたとしても、快適な住居のなかでひとり孤独に陥って死んでしまう可能性だってあるわけだ。
愛はお金で買えない。その点ではお金よりも優先順位が高いのかもしれない。
