メンタルは強くなるのか|経験とメタ認知と薬?
世界のメンタルヘルス市場規模は2021年時点で3,974億ドルだったところ、2022年から2030年にかけて年平均成長率3.7%で拡大し、2030年には5,399億ドル規模に達すると予測されているらしい。
日本のメンタルヘルス市場はと言うと、その規模は2024年時点で約265億ドル、今後は年平均成長率3.7%で拡大して、2033年には369億ドル規模に達すると予測されている。成長率ベースだと世界平均と同等みたいだ。
こうして見ると「人々はメンタルを病み続けている」という事実に何とも暗い気持ちになってくる。世界は発展を続けている様に見えて、実のところ誰もが心を病んでいたのではあまりにもやるせない。
メンタルヘルスの課題には国や企業が対応することを求められており、制度やテクノロジーを駆使して人々の心的負担を緩和させる取り組みが成されていくはずだ。
だけど、もちろん個人でも意識をしておかなくてはいけない。国も企業も最終的な責任までは取ってくれないし、自分のメンタルを守る行動をするのはあくまでも個人だからだ。
僕は心理学の専門でも何でもないので、この問題に貢献する資格は持ち合わせていないが、比較的メンタルは強くなった方だと自負している。がんになった時に精神腫瘍科にも回されて抗不安薬を処方してもらっていることもあるので、不安な気持ちを乗り越えていった経験もある。
また、ここ数年は会社で役職が上がっていくごとに業務内容はタフになり、たくさんの責任を押し付けられつつ、仲間だと思っていた同僚や部下に退職代行サービス経由で即日退職されてしまうような裏切りも経験した。いずれも心が折れそうになる経験だったけれど、今でも腐らず元気に働いている。
誰かにこのことを話すと「よくメンタルが持つね」と言われることが多い。僕の病気の経験を知っている人からは「闘病を乗り越えた経験が効いているんだろう」と言われることもある。確かに病気に比べたら仕事の悩みは大したことはない。
ただ、僕と同じように病気を乗り越えた人と知り合ったことはあるが、彼らのメンタルが強いかと言うと、いつも自分に自信が持てずに悩み続けているケースの方が多い。ドラゴンボールでは傷ついたサイヤ人が仙豆を食べて復活したら強くなるけれど、現実の世界では病気を乗り越えた人が自動的に強くなれるわけではなく、余計に不安が強くなることの方が多い。現実は残酷だと思う。
これらを総合的に思い返してみると、確かに困難な経験を乗り越えることでメンタルが強まる側面はあると思う。一方でそれだけでは不十分であり、それとは別に精神的な成長をする必要があるのかもしれない。
僕にとってそれは、旅をしたり音楽を聴いたり、本を読んだり人に会ったり、自分のなかの価値観を拡げていって手にしたメタ認知力だった。世界には色々な考え方があることを知ると、自ずと自分の視野も広くなっていく。視野を広く持てていると、仕事の負荷が大きい時や人に裏切られた時にも、辛いながらも冷静さを保つことは可能になってきた。
そして最後に、静養することも大切だと思う。もちろんハードワーカーの人はそれが難しいのかもしれないが、僕は少しでも休める時間を確保できた時は抗不安薬や精神安定剤を飲んで寝るようにしている。そうすると穏やかな気持ちになることができ、睡眠によって多少は疲れを取ることもできる。
経験とメタ認知、そして時々は薬を飲む。僕だってこれからどうなるかはわからないけれど、今のところはこの3点でメンタルはうまく保っている。
貴重な人生の時間、できる限り健やかに生きていきたいし、多くの人にもそうあってもらいたい。メンタルヘルス市場が縮小していくことを強く願う。
