オランダ妊娠・出産体験談【前編】〜妊婦健診にたどり着けない!オランダ妊婦生活サバイバル⚔️〜
2025年8月に家族3人で渡蘭し、その7か月後の2026年3月に無事第二子を出産しました。ある程度は想定していたものの、なかなかハードで面白い体験だったので記録します。前編は移住後〜出産前までの妊娠生活について。
📒 オランダ妊娠・出産体験談【後編】〜帝王切開後2泊で退院!色々スパルタすぎたオランダ周産期医療〜
(近日公開予定!)
📒 オランダ移住の理由と経緯
下記記事にまとめてありますので、もしよければご一読ください☺️
[1] オランダにはお腹に入れて?出してから?移住前の計画妊活と準備
1. 運転免許取得と妊活を同時並行
移住時すでに上の娘が4歳だったのでこれ以上年の差を開けないように急いであげたいなと思いつつ、出してから運ぶよりお腹に入れて移動した方がまだ楽かなと思い「より早く、しかし出産予定日はオランダ移住後数ヶ月経ってから」になるよう渡蘭前に計画的に体外受精しました。
ヨーロッパで子育てするなら車の免許は必須だろうと2024年6月から教習所に通い始めていたのですが、妊娠すると教習所には通えないため、また橋本病でTSHレベルを整える必要もあり、しばらくは教習所とチラージン処方などを同時並行してコンディションを整えました。
本免試験前に合格できそうな自信が持てたタイミングで妊活よーいどん!長くなるので詳細は省きますが、2025/7/9に妊娠判定 → 8/2に1回目の妊婦健診で一通りの検査だけ済ませ、8/21のフライトで渡蘭しました。超ギリギリ!妊娠11週目だったのでつわりゲロゲロ。
2. 義母への応援要請を頭出し
お義母さんはドイツ駐在を2度経験されていて相方の弟もドイツで出産していたので、ヨーロッパでの子育て経験豊富でとても頼れる存在でした。
とはいえ急に相談されても迷惑になってしまうと思ったので、妊活中からお義母さんには「もし本当に妊娠したらオランダまでヘルプに来て頂けないでしょうかー!」と頭出ししていました。
妊活の詳細までオープンに話していたのでびっくりされてしまったかもしれないのですが(笑)、妊活の進捗、妊娠報告、移住後の様子なども定期的に共有していきました。
3. オランダ産院探しと日本の産院・かかりつけ医からの英文紹介状手配
オランダの産院がどこが良いか判断がつかなったので、新居から一番近くて大きい病院 = UMCに問い合わせをし、紹介状に含めるべき情報を確認して、日本の産院と子宮頸がんの事後観察をしている専門病院の2件に英文紹介状を書いてもらいました。(しかしこの手間と費用が全くの無意味でした。涙)
[2] 妊婦健診に辿り着けない!オランダの医療制度オンボーディングの旅
妊婦健診にたどり着くまでに何をどの順番で進めたらいいのか手探り状態でした。全貌が分かったいまだから書ける工程をざっくりまとめると:
妊婦健診を受ける ⛳️ゴール
↑
Midwife(助産院)を探して登録しないといけない
↑
医療保険を探して加入しないといけない
↑
Digi IDがないといけない
↑
BSN(住民番号)がないといけない
↑
住民登録が完了していないといけない
↑
INDで住民登録しないといけない
という感じで、それぞれのステップで何が必要なのか把握するために、めちゃくちゃリサーチしたりあっちこっち行ったり待ったりしなきゃいけないし、今振り返ったらこうやって時系列でまとめられるものの、その時は因果関係(?)の全貌が見えていなかったので、何を済ませたら次にいけるのか分からず、同時並行で色々進めては、あれが足りない、ここで詰まった、と完全にRPGのダンジョンで迷いまくってるような状態でした。
しかも私の場合、橋本病で妊娠中のTSH値を維持するためにチラージンを飲み続ける必要があったのですが、それをどこで処方してもらえるのかも全く分かりませんでした。日本で2か月分処方してもらっていたのでさすがに2か月もあればこちらで処方してもらうまで余裕かなと思いきや、結局薬が切れるギリギリまで処方に辿り着くまで時間がかかり、めちゃくちゃ焦りました。
当初は英文紹介状もあったので、UMCで妊婦健診もチラージンの処方も分娩もまるっとやってもらえると信じていました。8/23に英文紹介状をメールで提出して、9/19にやっと返事が来たと思ったら、こんなに待たされたのになんと「患者として受け入れ不可能」とか書いてある!!

ここはオランダ、日本とは違う。分かっていたものの、英文紹介状があるのに断られるとは想定していなかったので愕然としました。
BSNとDigi ID取得まで、本来待つ必要がないはずのこのステップに1か月かかり、9/25付で保険加入、実際に保険証番号を受け取ったのが10月に入ってからで、同時並行でMidwife選びを進め、妊婦健診を受けることができたのが10/2。前回の日本での検診から2か月空いてしまいました。(エコー見たら前回は心拍→ただの点だったのに、一気にヒトのカタチになっていてびっくりw)

[3] 縦割りすぎ!オランダの妊娠・出産準備オンボーディング
こちらで妊娠・出産するためには、様々なところに加入・登録・訪問しなければなりませんでした。これも振り返って今だから整理できますが、その当時はこんなに縦割りとは思いもよらず... 登場人物が多すぎて、各所とコミュニケーションを取らなければいけなかったのが結構負担でした。(日本の医療制度、医療機関がいかに素晴らしいか。医療関係者の皆様には感謝しかない。)
健康保険
GP(ホームドクター)
処方箋薬局
Labo(血液検査場)
Midwife(助産院)
Kraamzorg(クラームゾルフ)
産院
GGD(保健所)※産後
前セクションで書いた妊婦健診に辿り着くまでのオランダ医療制度オンボーディングも一苦労でしたが、それはただの一端に過ぎず… 妊娠生活を通じてこれだけたくさんの所を、それぞれGoogleやChatGPTでリサーチして、何軒も当たって、連絡して、予約して、訪問して… というのが、縦割りすぎてどこで何をしてもらえるのか、何が聞けるのかも分からず、なかなかのダンジョン体験でした。
1. 健康保険
オランダは日本と同じく皆保険ですが民間の保険会社とプランを自由に選ぶ仕組みです。移住当初(というか今も)どんなに調べてもよく分からなかったので、HPのUIの綺麗さでZilveren Kruisを選びました。

保険会社をどこにするかというより、どのプラン・オプションにするかを選ぶ方が難しい。
しかも後から知ったのですが、一度プラン・オプションを決めてしまうとその年の年末まで変更ができないので間違えると大変でした。
出産パッケージを無料でもらえるとか、病院での分娩費用を全額カバーしてもらうためには特定のプラン以上にしないといけないのですが、そこまでの詳細はHPには書いてないので、保険会社に電話してアドバイスをもらいました。(合理化・デジタル化がとても進んでいるオランダなのですが、意外と電話社会でこういうことは電話で話さないと正確な情報が掴めないなーと思いました。)
以下、"オランダ人でも分かりづらい" と評判の(!)保険プランをざっくりご紹介。
<選択項目の一覧>







実は2025年9月に加入した時に妊娠・出産費用がカバーされないプランに入ってしまったのですが、運良く出産予定日が年明けだったので12月にプラン変更して事なきを得ました。(私が加入したプランなど詳細は別記事にしようかと思います。)
2. GP(ホームドクター)
妊婦健診や分娩に直接的にGPが関わることはないのですが、どうやらMidwifeでは医療行為ができない = チラージンを処方してもらえないっぽいことがわかったので、登録できるGPを見つけなければなりませんでした。
オランダはホームドクター制で日本のように好きな病院に好きなタイミングで行くことができない、ということは知っていたのですが、まさか4-5件問い合わせても受け入れ許可が下りないとは思っておらず…GPごとに自宅の郵便番号で受け入れできるかどうか病院ごとにきっちり決めていて、自宅から最も近い病院はなぜか郵便番号が対象外で弾かれ…
車で5分自転車で10分程度のちょっと距離のあるGPにメールすると「受け入れOKなのでHPからフォームを入力してくれ」とのこと。この時点で9/8、移住してからGP探すまで3週間もかかった。が、後から聞いたら数ヶ月〜半年見つからないことも多々あるそうで、3週間で見つかったなんてラッキーだね!と言われました。オランダ〜。
が、そのフォームに早速入力しようとしたらひたすらエラー画面で入力できず… またメールで問い合わせをしたら、今度は「明日の朝、受付に来て紙の登録用紙を受け取っていただければ、その方法で対応する」との返信が… 特に謝りもしないオランダ人精神よ。
はぁ…と思いながら早速GPに行ってみると、日本と違って受付っぽいカウンターはあるけど人気がなく… しばらく待ってから強めのおばさん(後に仁義なき戦いを繰り広げることになる相手)に話しかけたら「は?予約もないのに医者には会えないよ」と冷たく門前払いをくらい… 手書きのフォームを渡されて返されました。妊婦の足でDoor to door 片道45分ぐらいかかって行ったのに、塩対応すぎて辛い。
その数日後、登録完了メールと専用ポータルサイトへのログイン情報が送られてきたので、その中からメッセージを送信して「チラージンを処方してほしい」旨を伝えると、「いいよ!どれくらいの量?」とすっごいカジュアルな返事が… (いやいや、それを判断するのが医者だろうよ… というかこの返事してきた人は医者なのか…?そんなあっさり処方してくれるなら、なぜここに辿り着くまでにこんな時間と労力かかったんだろ)と心の中でつぶやきつつ、医者に一度も合うことなく処方までこぎつけた・・・はずだった。



薬は翌日に取りに行くとして、血液検査のために連絡する必要があることだけは分かったので早速電話してみると
オランダ語の自動音声
↓
英語用自動音声の番号を選択("For English, press 9" と言ってくれる自動音声があるだけマシ)
↓
英語の自動音声を聞く
↓
ボタンで選択
↓
いくら待っても出ない
↓
「かけ直してほしければ電話切って待て」との自動音声が流れる
↓
切って待つ(時と場合によって数分後〜数時間後、時には翌日までと振り幅が激しい)
↓
(折り返し電話をミスった場合)、振り出しに戻る
と、人と話すまでの道のりすら遠い。なんとかつながって血液検査の予約を取り付けた。(その後、血液検査を受けるまでの道のりも長かった。)
3. 処方箋薬局
「やっっとチラージンがもらえる!!」と大喜びでGPの建物内に併設されている処方箋薬局のカウンターまで、また片道45分ほどかけて向かうと、
「そんな処方箋は届いてないし、用意していない」
という衝撃の宣告を受ける。
はい?????
なぜだ、昨日、GPから処方箋を送ったと連絡があったんだが、と状況を説明すると、
そもそも処方箋薬局にも登録する必要があつまたが、私はその処方箋薬局に登録されていない
GPの処方箋は確かにデータベースを探したらあったが、見てなかったし、用意もしていない
なぜなら私が登録をしていなかったので、どの処方箋薬局に行くのか分からなかったから
そしてこの薬は特別なので在庫がなく、今日は渡せない
GP側は処方箋薬局の都合など知らないし、医者がそう言ったからといって必ずしもこっちで用意できてるわけじゃない
そもそもGPとうちは何も連携していない独立した組織だ(連携を期待するな)
との説明を受けた。
うん、意味は理解できる。がその処方箋薬局はGPと同じ建物内にある、というかGPの受付の真横にあるので、「同じ組織下にあり連携している」と思い込んでいた。
うん、そう思い込んでいた私が悪いよね、知らない私が悪いよね、でもさ、移住してきたばかりでよく分からない、と受付でも、電話でも、伝えてたんよ。誰かもう少し丁寧に説明してくれなかったもんかい。移住したのはこっちの勝手だけどさ、私妊婦なんよ、つわりだし、ほんと辛いんよ。
という心の奥の弱い私を押し込み、強気で(というか半ギレで)「妊娠中でしんどい、もう一回ここまで来れないので郵送してくれない!」と頼んでみたら、あっさりOK〜とのこと。
後日メッセンジャーボーイ(というかおじさんだったからメッセンジャーマン?) が家の玄関まで手渡ししてくれて、10月初めにようやく薬が手元に届きました。移住してから約2か月かかり、日本から持ってきたチラージンが切れるギリギリだったので本当に焦りました。(橋本病は妊娠中にTSHレベルを正常に維持しないと胎児に影響が出てしまうのです。)
移住当初は足がなかったので、その後も血液検査やらでメトロとトラムを乗り継がなければならず、つわり大絶賛中の妊婦初期〜お腹が重くなってくる妊娠中期まで、妊婦の足だと片道45分ぐらいかかってしまい、秋の寒空・雨風の中、トボトボと通うのが本当に辛かったなぁ… 今は自転車や車でぱっと行けるのでこちらでの生活も慣れたもんだなと思います。
4. Labo(血液検査場)
さて、もうこの時点でお腹いっぱいなほどオランダ洗礼を受けたわけですが、血液検査だけでも随分苦労しました。
なんとか取り付けた血液検査の予約日、GPの受付で血液検査に来たと伝えると、かなり強めなオランダ人中年おばさんから書類を渡され、奥の Laboと書いてある部屋に行くように指示をされました。
その小部屋に座っている女性に書類を渡すと「この書類では採血できないので、他の書類をもらってきて」と言われ… 受付に戻って事情を説明すると、強めなオランダ人おばさんに鼻で笑われて「間違ってるわけがない、この書類で採血できるはずだ」と突き返され、また小部屋に戻らされる。
採血スタッフが困った顔で受付に行ってくれて、オランダ語で受付おばさんと色々やり取りした後、受付おばさんが別の書類を印刷して大声で笑いながら採血スタッフに渡し、その書類にあるバーコードをスキャンしてやっと採血されました。
何が問題だったの?と採血スタッフ聞くと「受付が印刷した書類が間違っていた、このバーコードがないと採血データが送れないから採血できなかったんだ」という。受付おばさん、あんなに偉そうに言っておいて間違ってたのかよ、しかも謝りもせずに大笑いしてスタッフに書類渡して、私には目もくれずおしまいって、あまりにも対応ひどすぎないかーい。
後から分かったところによると、日本の病院と同様GPの中にある一室で採血するのですが、なんとその小部屋が病院とは独立したLaboと呼ばれる血液検査会社?だったらしい。ほんとーに、診察室の一つ、ぐらいのただの小部屋なんですよー。そこが別組織ってどうやって気づけるの?
ちなみに本来のプロセスでは:
GPの医者が "Form" と呼ばれる血液検査依頼書のようなものを発行
そのFormのPDFがGPから患者にメールで送られる
と同時にLaboのデータベースにも登録される?(たぶん)
予約が必要なLaboに行くならウェブで予約を取る(結構日程が埋まってたりする)
患者はそのFormをもってLaboに行く
採血スタッフがFormのバーコードをスキャンして採血する
Laboから血液検査が出たとの自動メール通知が届く
GPのシステムにログインして検査結果を見る
という流れらしい。ちなみにその後も毎月血液検査をしなければいけなかったのですが、Formが届かない時があったり、結果が出てるのにLaboから通知メールが2週間も届かなかったり、まーとにかくGPもLaboも適当で。その都度電話やシステム内メッセージで問い合わせしたり… 毎月そんな感じだったので、時間も労力も奪われるし、そんなずさんな管理で医療ミスに繋がらないかと心配で仕方ありませんでした。
5. Midwife(助産院)
子連れで移住して本当によかったなぁと思うことの一つが、子供を介して、子供と共に、現地のコミュニティにスッと入れたこと。「子育て」という社会の中でも深いレイヤーで国籍人種問わず共通話題の多い「母親」と繋がれることでした。娘を連れて公園に行く度に自然と他のママとお話することになり「移住してきたばかりなんだ〜」「妊娠中なんだ〜」と話すと、みんな親切に「GPは見つかった!?」「Midwifeはここがいいよ!」と教えてくれて嬉しかったしとても助かりました。
Midwifeとクラームゾルフの違いとか、出産体験談とか色々とリアルな情報を収集することができて、いつの時代もどの国でもママ友情報網に勝る一次情報の取得方法はないなぁと。
結局は自宅から一番通いやすい立地で、入っている施設に小学校、保育園、保健所などが色々併設されていて物理的に信頼感があったのと、自宅が外国人駐在員の多いエリアだったのでMidwifeも外国人慣れしているだろうと推察して選びました。
ちなみに海外生活で「物理的な信頼感」って治安や色々な物事の質と分かりやすく直結するのですごく大事だと思っています。
このMidwife、日本語訳すると「助産師」ですが、日本の助産師さんのように看護師資格はないため医療行為はできません。妊婦健診と分娩(自宅もしくは病院)だけを担うので、日本でいうローカルの小規模な産院とお産婆さんの間のようなイメージ。
日本では産院で受ける妊婦健診ですが、こちらでは何か問題がない限りはMidwifeで済まされます。ただしやることはかなーり軽くて、血液検査は初回のみ、エコーも数回のみ、体重も図られないし、ちょっと話して、心拍確認して、お腹触って終わり〜みたいな回がほとんど。
私の場合は持病があったのと、途中から鉄分量が低かったのでGPで毎月血液検査ができてたけど、検査項目はTSH、T4、鉄分関連だけでした。しかも毎回その検査結果を自分でMidwifeに共有しなくてはならず面倒でした。GDPRのおかげで医療関連データの共有はとても厳しく制限されているから、とのことでした。EU〜!
助産院によってはサービスもしくは有料で毎回エコーを取ってくれたりするところもあるみたいです。そういうサービスの違いはHPとか見ても全然分からないのでママ友情報網に頼るしかなさそうでした。二人目だったからまぁよかったけど、初めてだったら不安だったかも。
いざ出産!となった時、病院でも自宅でも分娩をリードし赤ちゃんを取り上げてくれるのもMidwife。私の場合は予定日直前に病院に移動したので、病院に所属するMedical Midwifeが担当しました。(詳細は後編にて。)
産後は元々通っていたMidwifeに担当が戻り、産後に帰宅した当日に自宅まで来てケアしてくれました。
前述した通り、とにかくがさつでずさんなオランダの医療従事者たちですが、ここのMidwifeが一番やさしくて温かかったなぁと思います(涙)
それでも「日本ではこうだったから病院に移動したい」と相談した時は、その日検診してくれたベテランのおばさんMidwifeに「あんた、ここどこだと思ってんの?オランダだよ。日本のスタイルで産みたいなら日本に帰りな」とドスの効いた声で言われたりもしました(笑)それでも怯まずに主張したからか、しょうがないねぇという顔で病院に紹介状を書いてはくれました。
若い女性のMidwifeはみんなもっと共感性が高くてマイルドでした。おばさんもこわいけど、なんか下町の口悪いけど面倒見のいいおばさんって感じで、一人ひとり個性があってキャラめちゃくちゃ濃いんだけど、みんな新しい命と母親を守る!という共通のミッションに燃えていて、すごくいい人たちでした。

6. Kraamzorg(クラームゾルフ)
オランダ出産で最もカルチャーの違いを体感するのがこの「クラームゾルフ」という制度ではないでしょうか。日本と異なり、産後、経膣分娩なら数時間で退院させられるスパルタ出産大国オランダですが、帰宅後数時間以内には訪問してくれて(病院から帰ったら玄関で待ってたという友人もいた)、そこから8日間、毎日4〜6時間自宅で母子のケアをしてくれるのがクラームゾルフとのことでした。(日本だと産院で入院中にやってもらえることを自宅でやるみたいな理解でいたのですが、実際に体験してみると色々と思うところが多かったので、体験談は後編にて…)
人気のクラームゾルフは妊娠20週目ぐらいまでに予約が埋まっちゃうから早めに見つけた方がいいよ!と公園で出会うママたちが口を揃えて教えてくれたり、実際に紹介してもらったりしたのですが、日本人、外国人、オランダ人ママたちから話を聞くと「とってもよかった!」という人と「もう最悪だった!」という人と二極化していて、要するに提供されるサービスよりも人としての相性なんだろうな、と理解していました。
なら事前に面談をして良さそうな人を選べばいいかというとそう簡単な話でもなく、なぜならいつ産気づくか誰も予測できないので、そのタイミングでそのクラームゾルフの予定が空いていない場合、他のクラームゾルフがピンチヒッターでやってくることになり、誰がくるか生まれる日まで確実なことは分からないのです。
"Amsterdam Kraamzorg" で検索すると個人事業主さんからクラームゾルフを複数かかえる会社まで様々なサイトが出てきます。

妊娠20週目ぐらいからリサーチを始めたものの、ありすぎて全然わからない… 保険、GP、Midwife、それから娘の学校入学と送り迎え、妊娠中のつわり・マイナートラブル、移住後の家具購入などでてんやわんやで、あんなに早めに決めた方がいいよとアドバイスをもらっていたのにも関わらず、あっという間に36週ぐらいまできてしまいました。
その頃はお腹が苦しすぎる上に動悸息切れが酷く、一日中横になっていないといけないぐらい体調が悪かったので、物理的にスマホをいじれるとはいえ、マインドシェアが全く取れていませんでした。
最終的に、メールと電話で何度もフォローアップ(営業?)してくれた ProCare Kraamzorg という会社に受動コンバージョン。

電話で話した翌日にはマネージャー的な人が自宅まで来て "intake" してくれました。Intakeとは状況によって訳のニュアンスが異なりますが、今回は「初回面談」といったところ。
サバサバしたマダムがニーズをヒアリングしてくれて、サービス内容について説明してくれます。興味深かったのは「もし派遣されたクラームゾルフに不満があったり相性が良くなかったらすぐに連絡して、他のクラームゾルフに変更するからね」と気さくに言ってくれたこと。
実際に派遣されたクラームゾルフは強烈な個性の方だったので、振り返れば変更依頼してもよかったなと思うのですが、産後フラフラな状態で思考力も落ちていて、我慢してしまいました。詳細は後編にまとめます〜。
7. 産院
前述した通り、英文紹介状を書いてもらったにも関わらずUMCからはお断りされてしまい、産院迷子に。周りの話を聞くと以前は妊婦健診からすんなり受け入れられたらしいのですが、最近はよほどのハイリスクではない限りMidwifeに行け、ということらしい。ちなみに私は日本では①35歳以上、②子宮頸がん(高度異形成)の歴あり、③橋本病のためハイリスク認定され、一人目の出産時はNICUがある病院じゃなきゃいけなかったのですが、オランダ基準ではハイリスクでもなんでもないとMidwifeに言い捨てられました。
驚くべきことに多くのオランダ人が自宅分娩を選ぶそうで(公園や習い事で出会うオランダ人ママが体験談を教えてくれてひょえーとなった)、またこちらで出産した日本人の友人たちからも話を聞いたところ要するに生まれる直前までどの産院になるか決まらないという衝撃の事実が発覚(汗)
色々な人の話から様々な情報のピースをつなぎ合わせ、当日の流れは恐らく以下のようになると推察しました。
陣痛5分間隔になったらMidwifeに電話(10分だと「また後で電話して」と放置される)
Midwifeが自宅にきて様子見
もう産まれちゃいそうだったらそのまま自宅で出産
産院に行きたかったら(行く時間的余裕があれば)Midwifeがその時点で分娩台が空いている病院があるか電話で探す(遅!!)
産院が見つかったら自家用車もしくはタクシーで移動(日本みたいに陣痛タクシーとかはない)
産院でMidwifeが取り上げる
(経膣分娩なら産後2〜4時間程度で)帰宅
いやいやいや(汗)
陣痛5分間隔とか、もう出るやん。
しかも二人目とか出やすいだろうし、ゼッタイ間に合わないじゃん。
しかもMidwifeから頑なに自宅出産を勧められる(ゴリ押しされる)ので、めっちゃ主張しないと病院で産めないよ!と何人もの先人からアドバイスを受け…(汗)自宅近くの産婦人科がある大きな病院を探したところ、Amstelland病院がなんとなく良さそうだったので、何が何でも産前にここで産むことを確定させる方法を探そうと心に決めました。
実はこの病院にはジャパンデスクなるものがあり、日本人駐在員の奥様を想定して提供されているようですが、私のような非駐妻でも妊婦健診や分娩時に無料の同時通訳さんが入ってくれるそうなのです。私の英語力では医療用語とか分からないしいざという時に頼れるのは安心、ジャパンデスクがあるぐらいだから病院の人たちも日本人慣れしているはず、ということでここに決めました。


問い合わせしてみると、何十時間もかかる可能性のある分娩当日もずっと付き添ってくれるそうでした。私のように英語ができる場合でも、日本との医療にまつわるカルチャーが異なり不安になることもあると思うので、気兼ねなく相談・依頼してもらっていいですよ、とのことでした。(電話口の方が美しい日本語の女性すぎて心癒された、日本語って素晴らしい。)
結局は一度もジャパンデスクを使うことはなく妊婦健診も分娩もなんとか自力で乗り切ってしまったのですが、色々イレギュラーな分娩だったのでお願いすればよかったなぁ…と後から思いました。(なぜか出産当日はジャパンデスクの存在を忘れてしまっていました… なんでだろう。)
意を決してMidwifeでの妊婦健診で「Amstelland病院で産みたい!」と伝えたら「おっけー、このあたりは外国人駐在員の奥さんが多いから、病院で産むのはよくあることよ」と言われ拍子抜け。ただ承諾してくれたのは分娩に限った話だけで、妊婦健診のタイミングから病院に移動したいと言ったときは、かなり怖い顔をされました。理由は色々想定できるのですがここでは割愛。
たしか妊娠36週ぐらいから妊婦健診を病院で受けることになったのですが、いかにもオランダ人らしいめちゃくちゃ背の高いボルゾイ犬ような医師に
「それで、(わざわざ病院に来てまで)何を相談したいんだい?」
と言われ「ただ不安だから病院に来たかったんだ」と正直に話したら「どんな些細なことでも不安なことがあったら、24時間いつでも連絡していいからね」と優しく言ってくれて、オランダに来て初めて医療機関でほっとできた気がしました。
妊婦健診でやることは結局Midwifeと大して変わらなかったけど、予定日を過ぎた翌日から分娩当日までの迅速な流れ、特に麻酔や緊急帝王切開に至った経緯を振り返ると、病院に移動しておいてよかったのかな、と思います。ただ、病院で分娩を担当してくれたMidwifeが心無い感じの方だったので、ずっと妊婦健診してくれていたMidwifeたちに立ち会って、取り上げてほしかったなぁ、というのが一番の心残り。
病院の施設はとても大きくて綺麗で入口付近にカフェもあったので、待ち時間に私や相方がPC作業ができたり、診察室付近での待合エリアには無料で飲み物を配ってくれるスタッフ(高齢の人ばかりだったので、たぶんシニアの再雇用的な目的もありそう)が回ってきてくれたり、施設の雰囲気は日本の大きい病院に比較的近く、よりオランダらしい温かさもあってよかったです。



最後の妊婦健診の際には、女性医師の方が自ら上の階にある分娩室エリアまで案内してくれて「産気付いて病院に着いたら、入口にある車椅子に乗ってここまで来てね」ととても親切に説明してくれてとても安心したのですが、その車椅子がスーパーのカートかと思い違うほどかったそうな金属製で、陣痛中にこんなのに乗ったらちょっとの振動でも痛くて死ぬわ!と心の中でつぶやきました。(実際は予定日超過しても陣痛こずで、普通に歩いていった。)

(感想)オランダ移住と同時並行の妊婦生活は大変だったけどめちゃくちゃ楽しかった
2025年8月21日に移住して2026年3月11日に出産するまでの約7か月弱、初めての国で生活を整えながら、子育てしながらの妊婦生活はなかなかにハードでしたが、水を得た魚のように生き生きと過ごせたなぁと思います。
イヤイヤ期というか反抗期真っ只中の4歳の娘の子育てと、新しい学校生活・サイクルを整えるための諸々だったり、お友達づくりのためのママ友パパ友との交流だったり、家具なし物件だったので空っぽの家で最低限のモノで生活を回す工夫だったり家事だったり、家具などの購入、航空便や船便のアンパッキングなどといった移住後の生活を整えるのと、自分の会社のことや仕事もやりながらだったし、妊娠による体調不良やマイナートラブルももちろんあったし。
この記事にまとめた通り移住前の準備と引っ越しでも瀕死だったけど、まだタスクが明確でゴールがあったのでマシだったというか。移住後の方が不確実性が高く、娘や赤ちゃんの命に関わることもあったのと、妊娠や持病に関する医療周りは私がやるしかなかったので大変さのレベルは移住後の方が高かったなぁと思います。
ただこうやって言語化すると海外移住って物凄く苦行そうに聞こえるかもしれないけど、オランダでの新生活はとても楽しくて、RPGダンジョン状態であっちこっち当たり回ったり戸惑ったり、色んなところで色んな人に憤りを感じたりしながらも、オランダ人らしいところにくすっとしたり、思いもよらない言動に(色んな意味で)驚かされる日々はエキサイティングだったし、一つ一つ課題をクリアしていく達成感は、毎日毎秒生きてる!って実感が湧いて、東京にいた時よりすごく生き生きと過ごせています。
あとこれ一応全部英語で乗り切ったので、自分の語学力を再確認できて自信にもつながったかなと!(アムステルダムだったかもしれないけど、オランダ語は全く分からなくてもなんとかなりました。)
ここには書ききれなかった面白いエピソードもたくさんあるので、また折を見て記事にしていこうと思いつつ、次回は📒 オランダ妊娠・出産体験談【後編】〜帝王切開後2泊で退院!色々スパルタすぎたオランダの周産期医療〜 をお届けしようと思います。
あ、あと冬休みにカナリア諸島でマタニティフォトも撮ったので、その旅のことも記事にしたいな🏝️

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