見出し画像

【あなたに会えて幸せ】/第4章第17話「オレンジジュースと未来の話」


「トモキ?」

お義母さまも私も、同時に呼びかけた。

お義母さまがつぶやく。
「カジュウ? オレンジジュースが飲みたいのかしら? それともグレープフルーツ?」

「プッ!」と吹き出した私。

「トモキ、バッグの強度ね。
 大丈夫。ちゃんとテストしてから販売しようよ」
「ミクさん、どういうこと?」
「トモキさんと話し合って、
 《車椅子用の両がけトートバッグ》
 を作って販売することになってたんです。
 ほら、あのトートバッグ」

ミクが指差した先には、トモキの車椅子。
その背もたれには、【両がけトートバッグ】。

「私も作ってもらう予定だったんです」
「まぁ。YouTube だけでなく、
 車椅子用トートバッグの販売を?」
「トモキさん言ってました。
 《バッグの強度をしっかりしないとね。
  荷重テストが大切なんだ》
 荷物の重さと書いて《荷重》。
 私も、最初はオレンジかグレープフルーツかと思ったんです」
「あら、カジュウ違いだったのね。
 あはは~」
「あはは~」

お義母さまと私は、笑ってしまった。

「あれ? ここはどこ?」

包帯の隙間から、懐かしい真っ直ぐな瞳が、ゆっくりと私たちを見つめていた。

「ミク! お母さん! おはよう」
「おはよう、じゃないわよ!
 一週間も眠ってたのよ。
 心配したんだから!」

お義母さまと私が同時に叫ぶ。

「心配したんだから。
 また、トートバッグの夢観てたんでしょ?」

こうして、トモキは回復した。
涙を拭いながら、私はトモキの手をもう一度、そっと自分のお腹へと当てた。
さあ、トモキ。
今度はあなたをびっくりさせる、最高に幸せな未来の話をしよう。


第18話に続く


最初から読む







いいなと思ったら応援しよう!

もうひとつの《1リットルの涙》 よろしければ、サポートをお願いいたします。