【あなたに会えて幸せ】/第3章第12話「油断の踏切と飛んで来た車輪」
横浜駅プロポーズの後、私たちはのんびり散歩した。
私は、まだ夢の中にいるような気分だった。
学生時代はイジメられ続け、
両親も私を否定し続けた。
そんな私が幸せいっぱい❗
足が動かないトモキ。
自分の体が大変なのに、いつも優しく抱きしめてくれる。
お義父さんお義母さんも、私を支えてくれる。
「こんな所に踏切が。
ミク、気を付けてね」
車椅子ユーザーにとって、踏切は難所のひとつだ。
ある意味、命がけと言える。
動画配信でも何度か取り上げた。
ガタッ!
大きな音がして、車椅子が傾いた。
前輪が、レールの隙間に落ちてしまった!
「ミク、大丈夫か?
前から引っ張ってみようか?」
慌てるトモキ!
周囲には、誰もいない!
カンカンカンカン
こんな時に、鳴り響く警報器!
遠くに電車が見えた!
うそでしょ?
私は、死を予感した。
踏切の警報機の柱には、赤く光る非常ボタンがある。
だけど、車椅子に座ったトモキの低い目線からは、それはあまりにも高く、遠い場所にあって届かなかった。
ボタンの下の地面は、砂利。
入ってしまったら、動けなくなってしまう。
「ミク! 飛び降りろ!」
「無理よ! 足が無いもの!」
「腕の力で前に出るんだ!」
「ダメ! 硬いアスファルトに叩きつけられるかも!
体がすくんで動けない!
ひとりで逃げてー!」
「だめだ、必ず助ける!」
プァーン。
電車が警笛を鳴らす。
トモキが手を握ってくれた。
渾身の力で、私を抱き寄せた。
トモキの車椅子もろとも、私たちは踏切の外に転がった。
その直後、背中で大きな音が!
キィーッという軋み音!
バキバキと車椅子が壊れる音!
倒れた私たちに、何かが降り注ぐ。
私の顔のそばに、前輪とブレーキ・レバーが転がっていた。
トモキは?
トモキは私と手を繋いだまま、ピクリとも動かない。
第13話に続く
最初から読む
いいなと思ったら応援しよう!
よろしければ、サポートをお願いいたします。