公欲に 私欲を重ね 動き出す | 私欲は悪でしょうか?【働くを詠む #09】
私欲は、本当に“悪”なのでしょうか。
前回の記事では、掲げた旗には共感しているのに、
行動につながらない時に、私のやりたいことを伝えたら、
人が動き出したと書きました。
では、人が動くためには、何が必要なのでしょうか。
公欲と私欲
「公欲」「私欲」という言葉は、専門用語ではありません。
ただ、人が動く本質を直感的に表している言葉です。
私欲とは、
自分の内側から自然に湧いてくる「したい」という
正直な気持ちです。
これをやってみたい
面白そうだと感じたい
自分なりに納得して進めたい
自分の強みや個性を活かしたい
つまり私欲は、
人が本来持っている自然なエネルギーであり、
決して抑えるべきものではありません。
次に公欲とは、
自分以外に向かう「したい」という
正直な気持ちです。
誰かの役に立ちたい
チームや組織を前に進めたい
社会にとって意味のあることをしたい
より良い未来をつくりたい
そして大切なのは、
公欲と私欲は対立するものではないということ。
むしろ、
両方が重なったときに、
人は最も強く動くのではないでしょうか。
ラグビー日本代表が示した「私欲の力」
2019年のラグビーワールドカップ日本代表。
公欲は「ONE TEAMで勝つこと」でした。
しかし、動くためにはそれだけでは足りなかったのです。
そこで問い直したのが、
「自分たちはなぜ勝ちたいのか?」でした。
その中で出てきたのが、
「もっとちやほやされたい」 という、
正直で小さな私欲。
そこから 憧れの存在になりたい
というエネルギーが生まれました。
公欲だけでは正しさはあるが、
動く理由にはならない。
結果は、史上初のベスト8。
公欲に私欲が重なった瞬間、
チームは動き出したのです。
そして、私の体験も、まったく同じ構造でした。
前回の記事で書いたように、
私も「なぜこのサービスを作りたいのか?」を
掘り下げました。
そして、個人の私欲をみんなに伝えました。
すると、動かなかった人たちが動き始めたのです。
私が言葉にしたことで、
みんなの中にも同じ思いがあったことに気づいたのです。
その私欲は、私だけの私欲ではありませんでした。
脳は進化していない
私たちの脳の基本構造は、狩猟時代に形成され、
その時からほとんど進化していないと言われています。
その時代は生き延びるために、仲間と協力して獲物を倒し、
生活をしていました。
その時の「私欲」と「公欲」は何だったでしょうか。
私欲は、
食べたい
生き延びたい
仲間から認められたい
公欲は、
仲間と獲物を倒したい
仲間に貢献したい
仲間と生き延びたい
狩りにでる生活は、私欲と公欲を満たすためでした。
つまり、集団の目的に対して、公欲と私欲が重なり、
動き出すのが、人間の脳なのです。

公欲と私欲の関係
公欲は「羅針盤」
私欲は「エンジン」
羅針盤だけでは動けない。
エンジンだけでは迷ってしまう。

そして、私欲には重要なポイントが2つあります。
①公欲 > 私欲
私欲は公欲を超えてはならない。
人は少しでも自分に引っ張られると、
簡単に方向を見失うからです。
②私欲 ≠ 私心
私心とは、動機のあり方です。
同じ私欲でも、
人を欺いたり、
倫理に反したりして
満たそうとするのであれば、
そこには私心が宿り、暴走させるノイズになります。
私心は、欲求の満たし方が歪んだ状態なのです。
本連載で扱う私欲とは、
動機が善であり、悪ではないのです。
公欲に 私欲を重ね 動き出す
公欲は羅針盤。私欲はエンジン。
羅針盤だけでは、人は動けません。
私欲が重なったとき、初めて動き出します。
つまり、
私欲を否定する組織は、人の「動きたい」を止めてしまいます。
あなたの私欲は何ですか。
でも、ジョブ型が広がる時代、
どうしても、自分の役割に集中してしまいます。
一方、協働し、組織の目標を実現するためには、
本当に、自分のことだけを考えていれば良いのでしょうか?
次回【働くを詠む #10】
前回【働くを詠む #08】
皆旗に 共感するも 他人事
#働くを詠む #人が動く構造 #組織力 #創作大賞2026 #ビジネス部門
※本記事の文章・川柳・構成・内容の無断転載・転用はご遠慮ください。
引用の際は出典明記の上、リンクをお願いいたします。
