車内が真っ暗になった日。娘と1年半、電気は生命線だった
「え、消えた。」
車内の照明が落ちて、一瞬で真っ暗になりました。
ある日、僕はキャンピングカーの中で、5名の塾生さんに向けてオンライン講座の最中でした。
照明につないでいたポータブル電源の残量が、いつの間にかゼロになっていたのです。
ノートPCとテザリングをしていたスマホは、充電が残っていたので無事でした。でも、照明だけは戻りません。
幸い、外がまだ明るい時間でした。
後部のドアを少し開けて光を入れて、講座をそのまま続けました──
「電気」は生活だけでなく、仕事まで止めてしまいます。
あのとき、それがはっきり分かりました。
そこで今回は、キャンピングカー生活の中で、僕が電気をどう確保し、どう工夫していったのかをまとめます。
特に長期の車中泊やキャンピングカー旅をしたい人の参考になれば嬉しいです。
車内の電気は何に使っている?
普段の生活なら、電気の残量なんて気にしません。
スイッチを押せば照明が点く。コンセントを挿せば充電できる。
でも、キャンピングカー生活では違います。
「電気がある前提」で動いていた日常が、いきなり「電気は有限」という世界に切り替わります。
僕と娘が車内で電気を使っていたものをまとめてみました。
生活
照明/水道モーター/空気清浄機/除湿機/扇風機/電気毛布仕事・通信
スマホ/ノートPC/タブレット/ポケットWi-Fi機材
GoPro/ドローン/スピーカー調理
炊飯器/湯沸かし器/IH/電子レンジ身だしなみ
ドライヤー
ここで厄介なのは、どれも削れないことです。
前回取り上げた「水」なら、工夫次第で多少の節水ができます。また、どこにでもあるコンビニで買うこともできます。
でも電気は、そう簡単に削れないし、調達も困難です。
旅を続ければ続けるほど、いかに電気を確保するかに悩み、電気問題は深刻化していきました。
暮らしがどんどんサバイバルに寄っていったんです。
当然、電気を蓄える容量も必要ですし、どこでどうやって充電するかを真剣に考えるようになりました。
キャンピングカーと電気環境は、こう変わっていった
ここで僕らのキャンピングカーと電気環境が、どう変わっていったのかを時系列に紹介します。
① 最初のキャンピングカー期(キャブコン AtoZ)
最初のキャンピングカーは、マツダのボンゴ(トラック)をベースにしたAtoZという車種のキャブコンでした。
電気の主力はこれでした。
ポータブル電源:500Wh(1台)
サブバッテリー:容量不明(走行充電はできたが、すぐ切れるレベル)
ポータブル電源の500Whは、単純計算なら100Wで約5時間持つ計算です。
スマホ程度の少ない電気ならあまり気になりませんが、冷蔵庫を使えば数時間でなくなるし、ドライヤーなど使ってしまえば、本当に一気に残量が減るイメージです。
だから、冷蔵庫とドライヤーはほぼ使わなかったです。
電子レンジは、ポータブル電源の出力が小さいためそもそも使えませんでした。
また、キャンピングカーに乗るのが初めてだった僕は、サブバッテリーという仕組みをよく知りませんでした。容量はもちろん、どの程度充電されているのかなどの把握がほとんどできていませんでした。
とにかくすぐに電気がなくなるイメージでした。いま考えれば、劣化の進んだ鉛のバッテリーで、走行してもあまり充電できてなかったのかもしれません。
ポータブル電源は万が一のための保険として考えていたので、とにかく電気をあまり使わないようにしていました。
② 半年後、ベンツのバンに乗り換え
AtoZから、メルセデス・ベンツのバン(トランスポーター)に乗り換えたタイミングで、「車の状況」と「僕の考え方」が一気に変わりました。
まず車の状況ですが、サブバッテリーがありませんでした。
構成はこうです。
ポータブル電源:500Wh×2台
ソーラーパネル(ルーフに1枚):さほど充電できない
ポータブル電源が1台増えました。
ただ走行充電はできないので、ルーフのソーラーパネルからの充電を期待しました。
それでも、二桁程度のW数しか充電されなかったので、厳しい状況は変わりませんでした。
バンライフに、僕が描く自由があった
次に僕の考え方です。
「バンライフ」と「オフグリッド」という概念が僕の心を揺さぶったのです。
このベンツのバンは、内装をすべてウッドでカスタムしたキャンピングカー。ログハウスみたいな空間で、まさにバンライフの世界そのものでした。
この雑誌に僕の車が出ています。
キャンピングカー旅を始める前に、バンで暮らす「バンライフ」という文化があることを知りました。知れば知るほど、僕が目指す自由がバンライフにあることがわかったのです。
こちらはバンライフの原点、世界観を味わえる本。車にも積んでます。
そして実際にバンライフを始めて、ぶつかった壁が「電気」だったのです。
そこから僕は、電気を考える延長で「オフグリッド」を意識し始めました。
オフグリッドとは、電気を自給自足する暮らしのことです。
水と同じで、電気も「買わずに成立させられるか」を試したくなったんです。
③ 折りたたみ式のソーラーパネルを買った
電気の自給自足を目指して試したのは、折りたたみ式のソーラーパネルです。
ルーフのソーラーパネルは1台のポータブル電源しか繋げません。
また充電量も少なく、間に合わない。
だから持ち運んでどこでも設置できる、折りたたみ式のソーラーパネルを買ったのです。
実際に購入したのはこの120Wのものです。
このソーラーパネルを、車の屋根やフロントガラス、車の後ろに広げて一番充電できる場所を探しては設置しました。
正直、思ったほど充電できない日が多かったです。
120Wって書いてありますが、半分出ればいいほう。
ただ、ないよりはマシ。積極的に活用していきました。
④ サブバッテリー(1200Wh)を自分で取り付けた
120Wソーラーパネルを追加しましたが、結局ポータブル電源500Wh×2台では全然非力。
さらにバンライフで走行充電ができないのは相当厳しい。
そこで次に考えたことは、走行充電ができるサブバッテリーを導入することでした。
自分で一から組むことはできないので、専門の業者にサブバッテリーシステムの発注をして、設置と取り付けを自分でやることにしたのです。
サブバッテリーシステムはかなり高額なので、コスパのいい1200Whを依頼。
30キロの重さで到着。滞在先でお世話になっていた人たちに手伝ってもらい、バンの中に運びました。
サブバッテリーとエンジンルームの配線は自分で行い、走行充電をしてみると、最大で600W充電ができたのです。それには感動しました。
これは約2時間走行すれば、1200Whが満充電できる計算です。
そうして、電気環境は
サブバッテリー:1200Wh(走行充電あり)
ポータブル電源:500Wh×2台
ルーフのソーラーパネル:?W
持ち運びソーラーパネル:120W
当初のポータブル電源1台と比較すると、かなり強化されました。
容量が増えたぶん、ようやく電子レンジやIH、電気毛布などの使用がそこそこできるようになりました。
⑤ 外部充電もできるように(AC入力)
サブバッテリーシステムを入れたことによって、走行充電だけではなく、「外部充電」もできるようになりました。
外部充電とは、家庭用のコンセントからサブバッテリーに充電できる機能のことです。キャンプ場やRVパークなどによく設備されています。
充電手段が増えたという意味では、大きな前進でした。
ここまでが、僕らの電気環境の変遷です。
僕が工夫した充電と節電
ただ、こうして容量や装備を増やしても、電気の心配がなくなったとはまったく言い切れませんでした。
それは、どう「充電」するかと、どう「節電」するか、この2つの問題は常につきまとうからです。
どう充電するか?
先に結論をいうと、僕のメインは「走行充電+ルーフソーラー」、足りない分を「折りたたみ式ソーラー+外で充電」で埋める形でした。
バンライフでは、以下の充電手段がありました。
走行充電(サブバッテリー)
ソーラー(ルーフ+折りたたみ式)
どこかでコンセントを借りる(ポータブル電源)
外部充電(サブバッテリー)
充電することが目的で、走る距離を増やしたこともあります。
停車中に余裕があれば、折りたたみ式のソーラーも使いました。
また、ファミレスで食事するときに、「コンセント借りてもいいですか?」と声をかけてポータブル電源を充電することもありました。快活CLUBでも同様です。
外部充電については、オフグリッドを目指していたこともあり、AC電源付きの施設に泊まることはほとんどありませんでした。
どう節電するか?
どの電気を優先して使うかは、いつも意識しました。
無駄遣いしないようにしつつも、まず一番は体調面です。
暑い時は水や体を冷やすために冷蔵庫と扇風機、寒い時は電気毛布は優先して使いました。また、米は主食だったので炊飯器、そしておかずを作るためのIHも同様です。
さらに、仕事用の電気も重要です。
ノートPCとスマホ、ポケットWi-Fiの充電は最優先、そして照明分の電気があるかも事前に確認していました。
電子レンジは、まずは買ったお店で温めて、再度どうしても温めたいときは車内のを使うようにしていました。
いまの電気環境は、こうなった
4度目のどん底から再起中の今ですが、昨年あたりから、じわじわとキャンピングカー旅が再燃してきました。
1年半の旅を終えてから3年ちょっとが経ち、今の電気環境はこうなりました。
サブバッテリー:1200Wh
ポータブル電源:2500Wh
ポータブル電源:2048Wh+2048Wh
順番に説明すると、サブバッテリーは同じものです。
ポータブル電源(2500Wh)は、キャンピングカー旅の途中にクラウドファンディングで注文したものでしたが、発送が大幅に延期され、旅を終えた数カ月後に受け取りました。
ポータブル電源(2048Wh+2048Wh)は、EcoFlowというメーカーで去年買い揃えました。
合計容量でいえば、当時と比べものにならないくらい増えました。余裕が出ました。
ただ、容量が増えたとて、充電できなければただの箱です。だから「走行充電+ソーラーパネル」が生命線なのです。
そこで今後強化したいことのひとつに、400Wのソーラーパネルをルーフに2〜3枚設置したいことがあります。
おわりに

旅のつもりで始めた生活が、途中から本格的なバンライフに変わったとき、オフグリッド生活を目指しました。
今も、車に住めるようになるには、他になにができるだろうと妄想を膨らましているところです。
あなたがもし、車中泊やバンライフに少しでも興味があるなら、まずは1日にどれくらい電気を使うだろう?と想像してみると当たり前の見え方が変わると思います。
次回は、キャンピングカー生活で一番きつかった「夏」について書きます。
続きはこちら。
👉 夏の車中泊はサバイバル。避難するしかなかった|娘と1年半のキャンピングカー旅
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初めて僕の記事を読んでくださった方へ──
よければ、最初に書いた自己紹介の記事も読んでみてください。
せきたつや
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