夏の車中泊はサバイバル。避難するしかなかった|娘と1年半のキャンピングカー旅
夏の車中泊は、対策や工夫で語れるほど甘くありませんでした。
僕と娘は、キャンピングカーを家にして1年半暮らしました。
その中で一番きつかったのが、夏です。
当初は甘く見ていました。
でも実際にやってみると、命の危険を何度も感じたのです。
だから僕らがやっていたのは、まさに「避難」でした。
エアコンのある場所へ逃げる。
標高の高いところへ逃げる。
風が通る場所へ逃げる。
「夏を乗り切る」ではなく、「夏から逃げ続ける」です。
そこで今回は、僕と娘が夏をどう越したのかを、実体験のまま書き残します。
これから長期で車中泊を考えている人の、現実的な判断材料になれば嬉しいです。
夏の車中泊が一番キツい理由
数日の寝不足なら耐えられる。僕も最初はそう思っていました。
でも、夏の車中泊はそんな次元じゃありませんでした。
車の中は、日中だけが地獄じゃない。夜も朝も続く。
夕方になっても熱が抜けず、夜も蒸し暑く、朝は6時台には、もう30度を超えて目が覚めることもあります。
特に子どもと一緒だと、お風呂やご飯が遅くなることは日常茶飯事。
さらに、寝る場所が遠かったり、決まらなかったりで寝付くのは深夜に。
こうして、簡単に寝不足になります。さらに、そういう日って意外と続くのです。
暑さや寝不足は、体調と判断力を直接削ってきます。
それでも毎日、移動は必要です。
こうなると、もう「旅」じゃなくなって、サバイバルでした。
だから僕らは、対策より先に逃げ先を決めるしかありませんでした。
キャンピングカーを乗り換えて変わった
僕らが最初に乗っていたキャンピングカーは、AtoZのキャブコン(マツダのボンゴトラックがベース)でした。
当時の僕は、正直、熱中症を深刻に考えていませんでした。どこかで「キャンピングカーだから、なんとかなる」とキャンピングカーに全信頼を寄せて楽観していたのです。
実際、AtoZのときは体感として、まだマシだった気がします。
FRPボディや断熱のおかげなのか、車内が灼熱で死ぬ、という感じまではしなかったのです。
しかも出発当初は、山梨や長野、栃木などの避暑地にあるADDressの拠点もよく利用していて、日中にエアコンのある場所で過ごすことができていました。
でも、半年後にベンツのバン(トランスポーター)に乗り換えた瞬間、世界が変わりました。
鉄板の箱は、想像以上に熱を持つ
通称ベントラと呼ばれるバンライフでは人気の車種で、カスタムして完成したばかりのキャンピングカーでした。
それもあって、そのベントラに乗り換えたときは、ベッドやテーブル、流し台、照明、ポータブル電源の最低限の設備しかなく、エアコンや扇風機、冷蔵庫などの夏用の電化製品がありませんでした。
致命的だったのは、運転席と助手席のエアコンの効きが悪かったこと。
また、大前提として自動車って、よく考えれば鉄板でできた箱(よく考えなくても…)。断熱材が入っていても、鉄板は関係なく激しく熱を吸収します。
このベントラも同様でした。
だから、日中の移動も、停車中も、寝るときも、全部がやばい環境でした。旅の途中で、扇風機や冷蔵庫は手に入れましたが、それでも夏の車内の過酷さは変わりませんでした。
それで、僕らがまず真っ先にやっていたのは避難だったのです。
とにかく避難。3つの逃げ先
僕らの夏のキャンピングカー生活では、細かい工夫より先に「どこへ逃げるか」でした。
逃げ先は3つ。
逃げ先① 日中は、とにかく車内にいない
日中の過ごし方として、いちばん使ったのはファミレスでした。
涼めて、座れて、充電もできる。
ほかにも商業施設、快活CLUB、温泉の休憩所など、とにかく滞在できる涼しい場所へ逃げます。
逃げ先② エアコンが確保できる拠点を持つ
ベントラに乗り換えてからは、逃げ場がない日が増えました。
そんなとき命綱になったのが、ADDressの拠点でした。エアコンのある屋内に入れる。それだけで、生き返りました。
逃げ先③ まずは標高の高い場所を探す
なによりの一番の逃げ方は、とにかく標高を上げることでした。
標高が上がれば気温が下がります。同じ県内でも標高が変わるだけで別世界になります。
夏の寝る場所は、そうやって決めました。
どうやって決めたかのポイントがあります。
まず、現在地の周辺にある道の駅を調べ、その中でも標高が高いところを探します。
ポイントは、見つかっても、すぐにはそこに決めないこと。
地域によっては、標高が多少低くても涼しいところがあったからです。
だから、必ず天気予報で気温を確認します。
そして、他の候補も探してみて、立地も含め総合的にいいところを寝場所にしていました。
結果的に、山梨県と長野県で過ごすことが多かったです。
一番の逃げ場になった場所:標高2000mの美ヶ原高原
僕らが何度もお世話になったのが、美ヶ原高原の道の駅でした。キャンピングカー旅で利用した好きな道の駅のベスト3に入ります。
真夏でも気温が一桁のときもあり、風がある日は寒いくらい。体も心もリセットできます。ほんとに別世界でした。
道の駅に隣接している美ヶ原高原美術館も、娘と楽しんだいい思い出です。
標高2000mから見渡せば、下には山々。
早朝は神々しいほどの雲海が広がる景色も見られ、大自然の中にアートや造形物が点在していて、不思議な体験を何度もさせてもらいました。
夏の熱帯夜を乗り切る5つの工夫
避難したはいいけど、車中泊には最低限の工夫が必要です。
そこで僕らがやっていた夏の夜を少しでも快適にする工夫を5つ挙げます。
① 風が通る場所を選ぶ
車の停め方ひとつで体感が変わります。
木陰ができる位置、風の抜ける向き、周囲の地形。
スライドドアの方をどっちに向けるか。
「ただ停める」ではなく、風が流れるように停め方を考えました。
② 車内に風を通す
熱帯夜は本当に寝られません。
でも、ドアを大きく開けて寝るのは防犯上できません。
だから、開けられる範囲で最大限風を通しました。
後方のドアとスライドドアを少しだけ開けました。
後方のドアにはすだれをかけ、防虫剤を取り付けました。
スライドドアの部分は広い空間ができるので、それに合わせて大きな網戸を自作してマジックテープで固定しました。
それによって風を入れつつも、虫の侵入は防げましたし、防犯の不安を減らすことができました。
③ 車内の風通しをよくする
もっと風通しをよくするために、首が回る扇風機と、見た目もおしゃれなサーキュレーター(バルミューダ)を購入しました。
体には弱い風を回しながら当てるようにしました。
④ 冷蔵庫と水で体調を守る
体を冷やすことが大事なので、冷蔵庫を購入し、水を冷やして飲んでました。
ただ、冷蔵庫が想像以上に電気を使ったので、稼働時間を意識してうまく調整しながら使いました。
⑤ 冷たいタオルで体を冷やす
タオルを冷たい水で濡らして首からかけたり、体を拭いたりするだけで涼しくなります。
気持ちもすっきりしてリフレッシュできるので、頻繁にやりました。
届かなかったポータブルエアコン
実は、夏のキャンピングカー旅に向け、事前に「対策」をしていたことがありました。
それが、ポータブルエアコンでした。
当時、夏を本気で乗り越えるために、最先端のポータブルエアコンをクラウドファンディングで注文していたのです。
「これで夏は乗り越えられる」
正直、それくらいの期待をしていたんです。
ところが──
1年半の旅の間に、届かなかったんです。
かなりショックでした。
そのせいで、僕らは逃げ続けるしかなかった。
でも、あとで気づいたのです。
もし届いていたとしても、車内を冷やすには相当な電気が必要で、そもそも当時のバッテリーの容量や充電を考えたら、電力的にかなり厳しかったと。
キャンピングカーの電気の現実は前回まとめました。
さらに去年、「EcoFlow WAVE3」を購入し検証してみました。
夜なら十分使えます。でも炎天下の車内を冷やすのは無理でした。
本気で夏を快適にするなら、家庭用エアコン+電源強化(サブバッテリー/走行充電/ソーラー)まで必要です。
かなりお金がかかるので、実現はこれからの課題です。
それでも僕にとって車中泊はホテルの代替じゃなく、モータホーム「移動する家」そのものだと思っています。
夏の想定外が教えてくれた命の話
本当に夏は気をつけないといけないので、注意喚起と僕に対しての教訓として書きます。
ベントラで九州から本州に入って、山口か広島の手前あたり。
その日は春頃だったと思います。でも、突然気温が跳ね上がった日でした。
運転しているうちに、なんとなく体が変だな…と感じ始めたんです。
じわじわ気持ち悪くなる感じでした。
「これは一回、止まらないと危ない」
そう判断して、空き地みたいな場所に車を入れて停車しました。
後ろは平地が広がっていて、遠くに山が見えていて、休憩するには抜群の場所でした。
そこで、後部ドアを全開。
サーキュレーターも全開で回して、風を当てて、とにかく体を落ち着かせることに集中しました。
午後2時ごろ。気温はなかなか下がらない。
でもようやく気持ちも落ち着いてきて、しばらくして、なんとか回復できました。
そのとき、すぐに休んだから良かったと思うんです。
無理して運転を続けていたらと考えるとゾッとします。
ちなみに僕は昨年の夏、人生初の熱中症になりました。なんと2回も。
熱中症は再発しやすいと聞きました。
熱中症は突然きます。
常に水分を補給することを意識しつつ、もし「少しでも変だ」と思ったら、車を止めて休む、または助けを求めましょう。
おわりに

夏は、気合いや根性で乗り越えるものじゃない。「逃げる判断」が命を守ります。
キャンピングカー旅で学んだのはそれです。
ちなみに、夏の旅で驚いたのは娘が夏に強いこと。
車内が30度以上になっても、いつも平気ですやすや寝てました。子どもってそうなんですかね…
娘は体調が悪くなったことは、一度もありませんでした。それには本当に助かりました。
次回は「冬」です。夏とは別のサバイバルでした。
続きはこちら。
👉 冬の車中泊は冷蔵庫だった。眠れない夜と生き延びた6つの装備|娘と300泊
最後まで読んでくださり、本当にありがとうございます。
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初めて僕の記事を読んでくださった方へ──
よければ、最初に書いた自己紹介の記事も読んでみてください。
せきたつや
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