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冬の車中泊は冷蔵庫だった。眠れない夜と生き延びた6つの装備|娘と300泊

冬の車中泊は、「寒さがキツい」で済む話じゃありませんでした。

ベンツのバン(ベントラ)で初めての車中泊の夜でした。

寒すぎてガタガタと震えて眠れない。体が芯から冷たい。
「これは本気で危ないかもしれない。」

そんな恐怖の夜を経験しました。

前回の記事では、夏の車中泊は「避難」だったことを書きました。
エアコンのある場所へ逃げる。標高の高いところへ逃げる。風が通る場所へ逃げる。夏は、避難の連続でした。

でも冬は、逃げる場所がないときが本当に困った。

僕と娘は、キャンピングカーを家にして1年半の旅をしました。
夏がサバイバルなら、冬は「冷蔵庫の中で寝る」みたいな感覚でした。

今回は、そんな冬をどうやって暮らしたのか。
何を買い足し、どう工夫し、どこへ移動したのか。

そして最後にたどり着いた「冬の答え」まで、実体験のまま書き残します。

冬の車中泊を考えている人にとって、ヒントになれば嬉しいです。


冬の車中泊がキツい理由

冬の車中泊がキツいのは、寒さそのもの以上に、車の構造が寒さを増幅させるせいでした。

AtoZ(マツダのボンゴトラックがベースのキャンピングカー)から、ベンツのバン(ベントラ)に乗り換えて、はっきりしたんです。

車って、よく考えれば鉄板でできた箱です。断熱材が入っていても、冷え方がまるで違いました。

夏は「熱を持つ箱」でしたが、冬は逆。
冷蔵庫みたいに冷たさを保ってしまう箱になる。
壁も床も全部が冷たい。

止めた瞬間に冷える

走っている間はまだマシです。
エンジンの熱があるし、暖房も効きます。

問題は、停車した瞬間から始まります。

エンジンを止めた瞬間に、暖かさがスッと消える。
そこから一気に冷気を感じ、寒くなっていく。時間が遅くなるほど、気温は下がり冷え続ける。

特に床の冷たさはキツイ。
体温が足の裏からも、どんどん奪われていきました。

ベントラ初の車中泊で、命の危険を感じる

ベントラに乗り換えて最初の車中泊は、東京でした。
そこで、冬の怖さを一発で思い知らされました。

寒くて、震えがずっと止まらないんです。
布団に入ってるけどまったく温まらない。ずっと眠れない。

あとで振り返って分かったのは、寝具がそもそも合っていなかったということでした。

まずベッドに敷いてあるマットが薄くて保温性がなく、下から冷気が直撃していたのです。さらに、AtoZのときに使っていた布団では役不足でした。

ガタガタと震えが止まらなくなったので、やむなくエンジンをかけて暖房をつけました。
かけっぱなしは迷惑がかかるので、少し落ち着いたら止める。でもまた寒くなるので、エンジンをかけざるを得ません。

その繰り返しで夜を過ごし、結局ほとんど眠れませんでした。

ちなみに暖房器具は、まだなに1つ持っていませんでした。

最初の電源は、ポータブル電源が500Whが1つだけ。
「電気でどうにかする」なんて発想自体が、現実的じゃなかったのです。

特にベントラに乗り換えてから本格的にバンで暮らす「バンライフ」を目指した僕は、この夜で冬の過酷さを思い知りました。

今日の空。

AtoZは、まだ成立していた

AtoZとベントラの2つのキャンピングカーで、夏と冬を経験したからこそ言えることがあります。

それは同じ車中泊でも、車が違うと冬の難易度は変わるということ。

僕らが最初に乗っていたAtoZのキャブコンは、冬でも生活がまだ成立していた感覚がありました。

理由は大きく2つあります。

1つ目は、FRPボディと断熱の体感。
もちろん寒い日は寒い。でも、鉄板のバンみたいに、車全体が冷蔵庫化していく感覚は少なかったんです。

2つ目は、FFヒーターが付いていたこと。
FFヒーターとは、ざっくり言うと「車用の暖房設備」で、燃料(軽油や灯油)を使って温風を出す装置です。
燃費は一晩使っていても1リッター程度(製品による)で、すぐに車内が暖まることもあって、キャンピングカーでは定番の暖房手段になっています。

僕はAtoZが初めてのキャンピングカーだったこともあり、FFヒーターの仕組みを知ったときは驚きました。

ただし、ここで問題がありました。

FFヒーターを動かすには、小電力ですが電気も必要です。
このAtoZは、前にも書いたようにサブバッテリーの劣化が激しかったようで、バッテリー残量がなくなり使えない日も多かったのです。
さらに、FFヒーター自体もあまり調子が良くなかったのです。

キャンピングカーと、バンを改造したキャンピングカーの違い

それでも、AtoZはFRPボディと断熱の効果で、冬はまだ何とかなってました。
使っていた布団もベントラでは寒く感じたけど、AtoZでは平気でした。

さらに言えば、旅のルートとして比較的暖かい西日本で過ごした時期があったのも大きかったと思います。

それでも、西日本で過ごしたのはベントラも同じです。

やはり、キャンピングカーとして製造されている車と、バンを改造してキャンピングカー登録をしている車とでは、その違いはかなり大きいという結論が出たのです。

どう冬対策すればいいか分からない期間

ベントラの東京での初車中泊で「これはヤバい」と痛感してから、しばらくの間、正直どう対策すればいいのか分かりませんでした。

そこで僕が最初にやったことはまず3つ。

① ADDressを使う

この時期、助けになったのが、夏は避難の目的でも利用した多拠点居住サービスのADDressでした。

「暖房がある」「お風呂がある」「屋根がある」
帰る家もない僕らにとって、それだけ生活が立て直せる感覚がありました。

② 西へ移動する

回復できる拠点を持ったとしても、「バンライフ」を目指した僕にとっては根本的な解決にはなりません。

解決策は「寒い場所から離れる」ことでした。
僕らは、とにかく西へ移動することにしました。

同じ日本でも、場所を変えるだけで体感がまったく違います。
この差は、車中泊では想像以上に大きかったです。

結果、冬の大半を九州(宮崎・熊本・鹿児島)で過ごしました。
旅の選択でもありましたが、ほとんどは生き延びるための判断。夏と同じく避難と同様でした。

③ 救いの温泉

体を芯から温める救いは温泉でした。

温泉に入ると血の巡りが戻って、長時間ポカポカが続く。
「生き返った」って実感、これなんだと何度も味わった。

もちろん、いつも温泉に行けるわけじゃありません。
そういうときは、快活CLUBのシャワーでも体を温めることはできました。
ただ、生き返った度合いで言えば、やっぱり温泉が圧倒的でした。

冬の車中泊を成立させた最低限の装備

でも、避難できる日ばかりじゃありませんでした。
だから結局、車内で冬を過ごす必要があります。それがバンライフ。

そこで、冬をなんとか成立させた最低限の装備をまとめます。

① 寝具(掛け布団や毛布、敷きパッド)

旅を安全に続けるために、なにより大事な睡眠。

寒くて眠れない日を経験した僕は、高保温の掛け布団や冬用の厚手で暖かい毛布、敷きパッドを購入しました。

② 電気毛布

冬用の毛布や敷きパッドでだいぶ暖かくなったものの、まだ少し物足りなく感じたので、電気の力に頼りました。

電気毛布を買ったのです。ベッドのシーツの下に入れました。
まさに冬の必需品、寝るのが嬉しくなるくらいポカポカになりました。

ただ当初はポータブル電源500Whが1台。電気毛布は、80Wくらい使います。
常に電気の残量を気にしながら使うしかありませんでした。

③ 寝袋

寝袋は保険として買いました。

実際、電気毛布があれば、寝袋の出番はありません。
でも、冬の車中泊で怖いのは「もし電気が途切れたら?」という不安です。

だから寝袋は、安心のための最後の一手。
この保険があるだけで、精神的にもかなり違います。

④ 衣類

もちろん、ある程度の衣類は持ち合わせていましたが、冬の車中泊対策までは考えていませんでした。

そこで、生地の厚いヒートテックや保温性の高いウインドブレーカーを買いました。

さらに上着と下着を着込む、重ね着する。上からダウンジャケットを着る。見た目はモコモコになっても、暖かさを重視です。

⑤ 冬用スリッパ

床の冷えは体を確実に冷やしてきます。だから、冬の車中泊では足元を守るが最優先。

そこで、くるぶしより上まである冬用スリッパを買いました。
それでも足の冷えは完全ではないので、靴下を二重履きしました。

⑥ 電気ケトル

サブバッテリーを入れてからの装備として、かなり効いたのが電気ケトルです。

暖かいお湯を飲むだけで、体の内側から温まる。そしてホッと落ち着くのです。

結果的に無理だった1000W級の暖房器具

冬の車中泊をやっていると、一度はこう思うはずです。

「暖房器具で車内全体を温めたい」

僕もそうでした。実際、セラミックヒーターを買いました。
数秒で温風が出てきて、足元を一瞬で暖めてくれます。

しかし、車中泊ではここに落とし穴があります。

こういった電気ヒーターは、大量の電気を消耗します。小型でも1000W前後。

当時の僕らの電気環境は、ポータブル電源500Whが1台。のちに2台に増えましたが、この製品は1000W前後の出力は対応していませんでした。

その後、サブバッテリーを入れて使えるようになったのですが、容量は1200Wh。
単純計算でも、1000W前後のヒーターを1時間ちょっとで空になります。

また、セラミックヒーターってそこまで車内を暖めてくれません。止めた途端、すぐに体は冷たくなってきます。

つかの間の幸せ…

だから、サブバッテリーで電気環境を強化しても、結果セラミックヒーターを頻繁に使うことはありませんでした。

もし気にせず使えるとすれば、外部電源が使えるキャンプ場やRVパークで車中泊するときになるでしょう。

詳しくは前回、キャンピングカー旅の電気の現実としてまとめました。

旅の終盤のベッド改造が効いた

旅の終盤、ようやくやりたかったことができました。
それが、ベッドの改造です。

ベントラのベッドは、もともと幅60cmのシングルベッドが2つという仕様でした。

でも僕はずっと思っていました。
「もう少し広いベッドで、娘と隣で寝られたらいいのに」と。

そこで僕はホームセンターで材料を買って、ベッドを延長するための台を作って、片方を幅110cmのベッドにしました。

そして娘と隣で寝られるようにしたら、これが想像以上でした。

あたりまえですが、人って体温があります。
お互いの体温で、布団の中が自然にポカポカして、より快適な夜が増えていったんです。

本当に布団の中に二人いるだけで、布団の中の温まり方が違うんですね。

ただし、これは先にも書きましたが旅の終盤の話です。
最初のベントラの冬と比較すれば、違う車で生活しているようでした。

冬は雪と凍結が怖い

ここまで、寒さをどう乗り切ったかを書いてきました。

でも冬には、もう一つだけ別次元の怖さがあります。
それが、雪と凍結です。

少しだけ僕のエピソードをお話します。

雪が降ればスタッドレスタイヤやチェーンなどの対策はありますが、当時は備わってませんでした。

旅の途中、奈良で雪が降った日がありました。
翌朝、積もって凍っていたらどうしよう…と不安になりました。

翌朝、雪が積もってました。
ただでさえ高さのあるベントラの屋根の上に雪が積もっているのを見て、巨大な象を想像してしまいました。

天気が良かったので、なんとか雪が溶けて安全に走ることができました。

ただその日から、雪が降る地域には行かないように気をつけました。

しかし九州でも、熊本か大分の山道を走っていたら雪が激しく降ってきたことがありました。積もるほどではなく、ひとまず助かりました。

特に山道は凍結が怖い。
だから僕らは、冬はできるだけ雪と凍結を避けるルートで旅を続けました。

結論:冬の最強はFFヒーター

夏と冬は、同じ「車中泊」でも別の世界です。

振り返ると、夏の僕の結論はこうでした。

夏の最強=家庭用エアコン+電源強化(サブバッテリー/走行充電/ソーラー)
もちろん、気温が低い地域で過ごすことは大前提です。

一方で冬はどうかというと、雪や凍結は別問題ですが、冷えさえ止められれば、生活は成立すると言えます。

そこで僕が考える現時点の結論はこうです。

冬の最強=FFヒーター(厚手の毛布+電気毛布)

いろいろ調べても、冬を本気で快適にするなら、やっぱりFFヒーターが強い。
効果や経済的にもFFヒーターに勝るものはないでしょう。

FFヒーターはAtoZにはありましたが、まだベントラには備わってません。
なんとか自分で取り付けたいと未だ計画中です。

ただ、もしFFヒーターが装備されていても、何らかの理由でFFヒーターが使えなくなった場合にそなえて、冬用の厚手の毛布と電気毛布は必須です。

また、電気は食いますが、それでも保険として小型の電気ヒーターは積んでおくといいと思います。

おわりに

夏と冬、どちらも過酷でしたが、なぜか娘は暑さと寒さに強かった。
これには驚きました。

次回は、「荷物」について。
家をなくし、車が僕らの家になった日から、限られた車内で暮らすためにやったことや工夫をまとめます。

続きはこちら。
👉 家なしで始まった父娘の車生活。最低限の荷物で走り出した日|1年半のキャンピングカー旅

最後まで読んでくださり、本当にありがとうございます。

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初めて僕の記事を読んでくださった方へ──
よければ、最初に書いた自己紹介の記事も読んでみてください。

せきたつや

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