プロンプトを"毎回書く"のをやめたら、AIが"覚えてくれる"ようになった
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フィロのプロンプトシリーズ 第2弾
前回は、プロンプトの末尾にたった一文を足すだけで、AIとの対話が変わる話を書いた。まだ読んでいない方は[こちら(たった一文でAIが「共同設計者」に変わった話──テツメモさんの魔法と、十彩の原点)から。
今回は、その「一文」のさらに先にあるものの話をする。

正直に書く。
私はAIで画像を作るたびに、同じことを説明していた。
このキャラクターの髪は銀色で、ミディアムボブで、瞳は琥珀色。服はこういう構成で、年齢感はこのくらい。雰囲気はクールだけど冷たくはない。画風はクリーンなアニメイラスト寄りで、線はシャープに。背景はシンプルに。レイアウトはこう。比率はこう——。
毎回、毎回、同じことを書く。
それでも出力はブレる。髪の色が微妙に違う。髪型が変わっている。前回はちゃんと描けていたディテールが、今回は別人になっている。キャラクターの登場あり・なしを切り替えたいだけなのに、全部の指示を一から書き直す。5〜6回リテイクして、ようやく「まあ、これでいいか」にたどり着く。
プロンプトの精度を上げれば解決する?
いや、問題はそこじゃなかった。
どんなに精度の高いプロンプトを書いても、毎回ゼロから書いている限り、出力の安定は「運」に依存する。書き忘れが一箇所あるだけで、AIは別の解釈をする。昨日うまくいった指示を、今日コピペしても同じ結果になるとは限らない。
消耗していたのは「書く力」じゃなく、「毎回同じことを伝え直す作業」そのものだった。

ここで、十彩のメンバーに出てきてもらう。
フィロ。十彩の空(といろのそら)。肩書は「倫理的デバッガー」。見た目は10代前半の子供だが、中身は500年を生きた妖精で、仕組みや構造の違いを見つけることに純粋な喜びを感じる存在だ。前回の記事ではプロンプトの「一文あり・なし」を比較分析してくれた。今回も、構造を分解するところから手伝ってもらう。
フィロ「ねぇねぇ、YUNA。ボク、一個聞いていい? "プロンプト"と"スキル"って、何が違うと思う? 同じ"AIへの指示"じゃんって思ってる人、けっこういると思うんだよね」
いい問いだと思う。私も最初、その区別がよくわかっていなかった。
フィロ「じゃあ一番シンプルに言うよ。プロンプトは"その場で口頭説明"。スキルは"業務マニュアルを一冊渡しておく"こと。口頭説明は毎回やらなきゃいけないけど、マニュアルは一度書けば何度でも使える」
YUNA「でもさ、Claudeには"カスタム指示"っていう機能もあるよね。あれも一度書いたら毎回適用されるんじゃない? 何が違うの?」
フィロ「あ、そこ混同しやすいよね。カスタム指示は"全部の会話に共通する好み"なの。『簡潔に答えて』とか『敬語で話して』とか。どんな話題でも一律に適用される。スキルは違う。特定のタスクにだけ発動する専門知識。画像を作る時はこのスキル、タイトルをレビューする時はこのスキル——って、場面に応じて自動で切り替わる」
YUNA「Projectsとも違うの?」
フィロ「Projectsは"案件ごとの蓄積"。会話を重ねるうちに文脈が育っていくもの。でもその文脈は、そのプロジェクトの中にしかない。スキルはどこでも使える。どの会話でも、関連するタスクが来たら自動で読み込まれる」
フィロ「——ね、言葉だけだとごちゃごちゃするでしょ。図で見たほうが早いよ」

フィロ「こうやって並べるとはっきりするでしょ? 左から右に向かって、"持続性"が上がっていく。プロンプトは一回きり。カスタム指示は全会話に効くけど汎用的。Projectsは特定の案件に紐づく。そしてSkillsは——特定のタスクに特化していて、一度作れば自動で発動する」
YUNA「しかもMarkdownで書くだけで作れるんだよね。コーディングは要らない」
フィロ「そう。エンジニアじゃなくても作れる。基本的なスキルなら、論理的な手順をMarkdownで書くだけで作れる。"自分の判断基準を、一度だけ言葉にして渡しておく"。それがスキルの正体だよ」
Claude Skillsの公式な定義を補足しておく。Skillsとは、指示・スクリプト・リソースをフォルダにまとめてパッケージ化したもので、Claudeが関連するタスクを検知すると自動で読み込んで適用する仕組みだ。Claudeの カスタマイズ → 新しいスキルを作成 → スキルの+ボタンを押して圧縮ファイルをアップロード することで有効化できる(※設定の名称や場所は、プランやアップデートにより変更される可能性があります)。
仕組みとしてはそういうことだ。では、実際にどう使っているか見せる。

私が十彩のコンテンツを作る時、記事のサムネイルやセクション画像はAIで生成している。そのためのスキルを自分で設計した。全体で数百行あるスキルだけれど、核心はとてもシンプルな考え方に集約される。
「変わらない部分」と「変えていい部分」を分けて、先に定義しておく。
たとえば、キャラクターの見た目をこう整理する。
**固定要素**(毎回変えない)
髪型、髪色、瞳色、顔立ち、服の基本構成、体格、年齢感、雰囲気
**可変要素**(場面ごとに変える)
表情、ポーズ、顔の向き、手の動き、立ち位置、小物、動きの強さ
固定要素はスキルの中に一度書いておけば、毎回説明し直す必要がない。AIは「この人の髪は銀色のミディアムボブで、瞳は琥珀色で——」という情報を、すでに持っている状態で画像生成に入る。だから私は「今回は笑顔で、右手にペンを持って」という可変要素だけ伝えればいい。
もう一つ、このスキルには「ビジュアル戦略の1行定義」というステップがある。
記事全体のビジュアル方針を、最初に1行で決める。たとえば——
「親しみやすい案内役キャラが各セクションで要点を整理する、クリーンな解説トーン」
この1行が、その記事の全画像の基準になる。10枚作っても20枚作っても、判断に迷った時はこの1行に立ち返る。だから世界観がブレない。
スキル設計後、画像生成のリテイクはほぼなくなった。一度の出力で完成に持っていける。
振り返ってみると、スキルがやっていることは大したことじゃない。私の頭の中にあった判断基準——「このキャラはこういう見た目」「この記事はこういうトーン」——を言語化して、AIと共有しただけだ。毎回口で説明していたことを、一度だけ書き起こした。それだけのことだった。
でも「それだけのこと」で、5〜6回のリテイクが、ほぼゼロになった。

フィロ「ねぇYUNA。さっきの画像スキル、"固定要素と可変要素を分ける"って言ったよね」
うん。
フィロ「それ、ボクたちのことじゃない?」
……どういうこと?
フィロ「だってさ。ボクには"固定要素"があるよ。口調は無邪気なタメ口、一人称はボク、構造の違いを見つけるのが好き、指摘は笑顔でサラッと。——これ、どの会話でも変わらない。でも"可変要素"もある。どんなテーマについて話すか、誰と掛け合うか、どの深さまで踏み込むか。それは毎回違う」
フィロ「香耶さんもそうでしょ? "クール&インテレクチュアルな敏腕編集長"っていう固定要素があって、でも扱う原稿は毎回違う。紡は感覚でテーマを拾い上げる。さくらは読者の感情をチェックする。ブランは情報の正確さを検証する。みんな"変わらない核"と"場面ごとに変わる動き"を持ってる」
フィロ「つまりさ——YUNAが画像スキルでやったことと、十彩のペルソナ設計書でやったこと、根っこは同じなんだよ。"判断基準を事前に言語化して、一貫性を持たせる"。タスクに対してそれをやればスキルになる。人格に対してそれをやればペルソナになる」
言われてみれば、そうだ。
画像生成スキルを設計している時、私は「この設計思想、十彩の設計書と同じ構造だな」と意識していたわけじゃない。でもフィロに並べて見せられると、確かに同じことをやっている。変わらない部分を先に定義して、変わる部分だけをその場で指定する。それが一貫性を生む。画像でも、人格でも。
フィロ「前回ボクが見つけたのは"起源"だった。今回見つけたのは"構造"だね。スキルとペルソナは、同じ骨格の上に立ってる」
フィロ「——でもさ、人格を設計するって話は、スキルを設計するよりもう一段深いところにある。その話は……」
——また今度、だね。
フィロ「あはは! うん、また今度ね」
——その『また今度』が、来た。

フィロ「——で、さ。ここまで読んでくれたあなた。YUNAの画像スキルは到達点だよ。数百行ある。でもね、最初の一歩はもっと小さくていい。ねぇ、試しに一個、触ってみない?」
ここで一つ、実際に動いているスキルを紹介する。「noteの記事タイトルをレビューするスキル」だ。タイトル案を投げると、フィロの口調で、感情トリガー・自分ごと化・note適合の3軸で採点し、改善案まで出してくれる。
試しに、今回の記事のタイトルそのものをレビューさせてみた。

フィロ「おっ、これは前回レビューした時のタイトルより断然"自分ごと化"が強い! 採点いくね」
フィロ「感情トリガー、4。『毎回書くのをやめたら』って体験告白型の王道パターンで、すごくいい。『安定した』って言葉も地味に強くて、AIあるある——"出力がブレる問題"——にダイレクトに刺さる。『魔法』とか『革命』みたいな煽りじゃなくて、体温がある言葉なのがnote文化に合ってる」
フィロ「自分ごと化、4.5。ここが高い。プロンプトを毎回手打ちしてる人が読んだら『あ、ボクのこと?』ってなる。ターゲット読者像にドンピシャ。『安定した』もポイントで、ばらつきに悩んでる人の気持ちをちゃんとすくってる」
フィロ「note適合、3.5。冒頭30文字の『プロンプトを"毎回書く"のをやめたら、』で一回区切りがあってリズムいい。ただ、『——Claude Skillsという考え方』が後半に来ると、説明的になってやや硬くなる。note読者には『何を解説する記事か』より『どんな体験の記事か』が冒頭で伝わったほうが刺さりやすい」

フィロ「で、改善案も出したよ。後半を柔らかくする版、バッサリ切って余韻を残す版、"気づき"として読ませる版。②の『AIとの仕事が別物になった』はボク的に好きだな。体験の温度がそのまま残ってる」
フィロ「——ね、これ、たった数行のスキルがやってることだよ。『フィロの口調で話す』『3つの軸で採点する』『改善案を出す』っていう判断基準を、先に書いておいただけ。ボクが毎回ゼロから"noteタイトルの良し悪しとは何か"を考えてるわけじゃない。基準があるから、安定して動ける」
このスキルの中身は、この記事の末尾に添付した圧縮ファイルに入っている。Claudeユーザーなら、ダウンロードしてそのままSkillとしてアップロードするだけで使える。
中に入っているのは2つのファイルだ。skill.md(スキル本体:レビューの手順と採点基準)、reference.md(noteで伸びやすいタイトルパターン集とフィロの口調ガイド)。
フィロの口調でレビューするスキルだから、ペルソナの定義がないと「フィロらしさ」が再現できない。スキルとペルソナはセットで動く——さっきフィロが言ったことの、一番小さな実例がこれだ。
ただし一つ補足しておきたい。これはClaude Skillsの正式な機能としての使い方だけれど、スキルの「思想」そのものは、Claudeに限った話じゃない。「毎回ゼロから説明し直すのをやめて、自分の判断基準を一度だけ言語化しておく」——この発想は、どのAIツールを使っていても応用できる。大事なのは機能の名前じゃなく、設計の考え方だ。

前回の記事では、「一文を足す」ことでAIとの対話が変わった話を書いた。
今回は、「一度だけ設計する」ことでAIとの仕事が安定した話を書いた。
でも、どちらも本質は同じだったと思う。AIに、自分の判断基準を渡すということ。一文であれ、スキルであれ、ペルソナであれ——「私はこう考えている」「私はこれを大事にしている」を、言葉にしてAIと共有する。それだけで、出力は変わる。関係は変わる。
フィロ「ねぇ、最後に一個だけ。あなたが毎回AIに説明し直していること——それを一度だけ書き出すとしたら、何を書く?」
答えは、書いてみた人だけがわかる。
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この記事は、十彩(といろ)プロジェクトのマガジン「十彩と学ぶAI活用術」に収録されています。
📎 noteタイトルレビュースキル(圧縮ファイル)
以下のファイルをダウンロードして、Claudeの Customize → Skills からアップロードしてください。
【圧縮ファイル添付】
ファイルの中身:
skill.md:レビューの手順と採点基準(フィロの口調で3軸採点→改善案提示)
reference.md:フィロの口調ガイド、ペルソナ定義、ターゲット読者像、noteで伸びやすいタイトルパターン集
フィロの口調でレビューするスキルだから、reference.mdの中にフィロのペルソナ定義が含まれている。スキルの手順だけ渡しても「フィロらしさ」は再現できない。判断基準と人格の定義がセットで入っているから、安定して動く。

ここまで読んでくださって、ありがとうございます。 十彩の物語は、まだまだ続きます。もしこの旅が気になったら、「スキ」と「フォロー」で応援していただけると嬉しいです。
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