【特別編】中学2年生の私の世界を変えたドラマ『ルーツ』(Roots)【映画×授業#12】
中学2年のある日、私はテレビの前で言葉を失いました。それまでの私にとって「歴史」(歴史の授業)とは、教科書の中にある遠い出来事にすぎず、あまり勉強する意義を感じていませんでした。
しかし、その認識は一夜にして崩れたのです。
当時の社会科の先生が「このドラマは、絶対見ておいた方がいいぞ!」と強く勧めてくれた連続ドラマ。それが今回紹介する『ルーツ』(Roots)です。
みなさんは、1970年代のアメリカで、空前の大ブームを巻き起こしたこのドラマをご存じでしょうか。
アフリカ系アメリカ人の作者アレックス・ヘイリーが、アフリカから奴隷として連れてこられた自分の先祖のクンタ・キンテから、現在の自分に至るまでの歴史を記した長編小説が原作です。
いつもは「映画×授業」シリーズとして書いていますが、今回はこのドラマについて紹介したいと思い、特別編「ドラマ×授業」でお届けします。
※本記事はアフィリエイトプログラムを利用して商品を紹介しています。
1.奪われた日常と、人間が「荷物」になる衝撃
当時の私は、「あれだけ先生が勧めるのだから、ちょっとだけでも見てみるか。」と、なんとなくチャンネルを合わせたことを覚えています。
けれど、物語が進むにつれて、画面から目をそらすことができなくなりました。
主人公のクンタ・キンテは、当時の私とそう変わらない年頃のアフリカにいる黒人の少年です。家族と過ごす穏やかな日常が、突然、白人の暴力によって引き裂かれます。
奴隷狩りの場面。抵抗もむなしく連れ去られるクンタ・キンテ。
残された家族の悲しみ。「こんなことが本当にあったのか」
ただ、呆然とするしかありませんでした。
さらに衝撃だったのは、奴隷船のシーンです。人間が荷物のように、狭い船内に押し込められます。身動きも取れない劣悪な環境。尊厳という言葉すら存在しない世界でした。
それは、それまで自分が知っていた「歴史」という言葉からは、
あまりにもかけ離れていました。
2.「名前」すら奪われても、自分を失わない
アメリカに到着した後も、状況は変わりません。彼らはすぐにオークションにかけられ、「いくらで売れるか」で値踏みされます。
人が人を値段で評価する現実に、言葉を失いました。
その後の綿花農場での生活も過酷です。自由を奪われ、名前すら変えられてしまう。それでもクンタ・キンテは、抵抗し続けます。
自分が何者であるかを、失わないために。
そして、アフリカへ帰るために逃げ出すシーン。
「アフリカに帰りたい。家族のもとに帰りたい。」
その思いだけを頼りに、命がけで走る姿が、今でも強く心に残っています。
3.教科書の向こう側にある「人生」に触れて
このドラマを見て、私は初めて気づきました。
歴史は、単なる出来事の積み重ねではない。歴史の勉強とは、単に年号や重要語句を覚えるだけでもない。
全話を見終わった後、私は迷わず原作の単行本『ルーツ』を購入しました。あまり読書が好きではなかった私が、毎日のようにページをめくり、ドラマのシーンをもう一度追いかけました。
「もっと知りたい」
「この現実を理解したい」
その気持ちが止まらなくなったのです。
今振り返ると、この作品との出会いが、私の進路を決定づけたのだと思います。「世の中の『なぜ』を見つけたい。」「『なぜ』を自分の力で追究したい。」「それを自分の言葉で伝えたい。」
そう思うようになり、私は社会科の教師を目指しました。
4.授業で扱うということ
この作品は、授業の中で扱うこともあります。
・地理で、多民族国家のアメリカを扱うとき
・歴史で、アメリカの独立戦争を扱うとき
・公民で、人権問題を扱うとき
ただし、このテーマはとても重く、扱い方を間違えると、単なる「つらい話」で終わってしまう難しさもあります。
だからこそ、どう問いを立てるか。どこまで踏み込むか。教師の側の設計が問われる教材でもあると感じています。
5.今だからこそ、この物語を
現在、この作品は手軽に見られません。
というのも、主要配信サービスで扱われていないためです。そのため、DVDをレンタルするか購入する、または古本で探す必要があります。(AmazonなどでDVDや原作本を購入することは可能です)
それでも、あえてお伝えしたいです。ヘイトスピーチや分断、差別が語られる今だからこそ、この作品に触れてほしいのです。
「自分だったら、この歴史をどう感じるか」という視点で。
あのとき中学2年生だった私の世界を変えたこの物語は、きっと今を生きる誰かの見方も、静かに、しかし確実に変える力を持っているはずです。
今日の映画の話が、社会科の面白さを思い出すきっかけになれば嬉しいです。 この作品を「中学社会科の視点」で読み解く授業は、メンバー限定でお届けしています。 大人の学びなおしとしての社会科を、一緒に楽しみませんか。
👉 入学案内はこちら
▼映画×授業シリーズ
前回:
第11話『ライフ・イズ・ビューティフル』
次回:
第13話:『フラガール』
▼映画×授業シリーズがまとめて読めるマガジン
いいなと思ったら応援しよう!
よろしければ応援お願いします! いただいたチップはクリエイターとしての活動費に使わせていただきます!