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令和8年度・老健テーマ19の本当の狙い。AIケアプランが「ケアマネを助ける」話ではない3つの理由:なぜ国は2017年から9年、「ホワイトボックス型AI」を追い続けているのか?

ChatGPTでは届かない場所。厚労省が「根拠を語るAI」にこだわるわけ


ある秋の朝、居宅の机に書きかけの第二表が三枚並んでいたそうです。利用者は同じ、アセスメントも同じ。三人のケアマネジャーが書いた長期目標は、似ているのにどこか違う。経験が長いほど、自分の判断の根を言葉にする難しさが立ち上がります。

国がこの秋採択した調査研究の事業名は「ホワイトボックス型AIを活用したケアプランの社会実装に係る調査研究」。九年分の積み重ねが背景にあります。AIケアプランの全体像、介護情報基盤、適切なケアマネジメント手法、ケアプラン点検という四つの輪を、一次情報をたどりながら整理します。読み終わるころには、「AIにケアプランを書かせる」というよく聞く話が、まったく違う景色に見えてくるはずです。

セオドアアカデミー独自まとめ

テーマ19という小さな番号の重み

老健事業一覧を開くと、テーマ19の隣にいくつかの研究が並んでいます。
テーマ17は「適切なケアマネジメント手法の普及推進」で日本総合研究所。テーマ18は「ケアプラン点検の効果的な実施方法」でNTTデータ経営研究所。
テーマ21は「住宅型有料老人ホームにおけるケアマネジメントの在り方」で三菱総合研究所が担当しています(
厚生労働省「令和8年度老人保健健康増進等事業 採択事業一覧」)。

別々のテーマに見えて、向かう先は一つの方角を指しています。
AIケアプラン、標準化された手法、点検、住まいの囲い込み対策。四つの研究が机を並べて走り出した秋です。

ホワイトボックス型AIとは、何者か

国際社会経済研究所、通称IISE。NECグループの独立シンクタンクとして知られています。平成29年度から、ホワイトボックス型AIによるケアプラン作成支援の研究を続けてきました(国際社会経済研究所「ホワイトボックス型AIを活用したケアプランの社会実装に係る調査研究 2021年度」)。

ホワイトボックスとは、判断の根拠を人間が追える形で示すという意味です。ブラックボックスの反対側、ということでもあります。なぜその支援を提案したのか。どのアセスメント項目とつながっているのか。何が抜け漏れているのか。それを画面上で説明できる仕組みが目指されています。

経緯はこうです。
フェーズ1は平成29年度から3年間、AIケアプランの開発可能性と課題が整理されました。フェーズ2は令和2年度から3年間、社会実装を視野に、心疾患・脳血管疾患・大腿骨頚部骨折などを題材としてケアマネジャーの思考フローが見える化されました。
そして令和5年度からの第3フェーズで、ケアマネジメントデータの利活用基盤検討に焦点が移ります(国際社会経済研究所「AIを活用したケアプラン作成支援に係るケアプランデータの利活用に関する調査研究 2023年度」)。

第3フェーズの試作システムでは、ケアマネジャーがアセスメント情報を入力すると、画面に「AIのお薦めするケア」と「適切なケアマネジメント手法に基づく抜け漏れ注意」が表示されます。AIの判断が、ただの結論ではなく、根拠と一緒に置かれる。九年かけて辿り着いた、現在地です。

令和8年度テーマ19は、その延長線上にあります。事業名の「社会実装」という四文字に、九年分の重みが詰まっています。

既に動いているAIケアプランたちの現在地

国の研究と並行して、民間のAIケアプランも走り続けています。
代表的なところを並べると、輪郭が見えやすくなります。

株式会社シーディーアイの「SOIN(そわん)」は、ADL・IADL・認知症状などの将来予測と、自立支援に資するサービスプラン提案を主軸に置いたAIケアマネジメント支援サービスです。2020年12月にエヌ・デーソフトウェアの「ほのぼのNEXT」と連携、2023年10月2日からはワイズマンの「在宅ケアマネジメント支援システムSP」にも搭載されました(ワイズマン「AIケアプラン」)。介護ソフト大手二社の内側に静かに同居している、というのが現在地です。

株式会社ウェルモの「ミルモぷらん」は、自然言語処理を用いて居宅サービス計画書第二表の作成を支援するクラウドサービスです。2021年3月17日から販売されています(株式会社ウェルモ「ケアマネジャー向け ケアプラン作成支援AIミルモぷらん 発売開始」)。文章提案、専門知識補助、地域資源データベース「ミルモネット」と連動した事業所提案。文章と地域資源の支援に強みを置く設計です。

そのほかに、GLORY-WINGの介護ソフト「ケア樹」のフクロウAI、BSNアイネットのケアプラン作成支援、パナソニックの自立支援関連研究などが並びます。各社の方向性は、状態予測型、文章生成型、地域資源連携型、教育補助型と分かれています。

現場の感覚で言えば、AIケアプランは単独アプリとして広がるのではなく、日常使う介護ソフトの中に組み込まれて入ってきています。
ケアマネジャーが「新しいソフトを増やす」のではなく、「いま使っているソフトに新しい機能が一つ増える」かたちで、静かに広がる。これが、現状の浸透の仕方です。

今回概要まとめ図

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