【ヒッチハイク】アラサー女子の「青森」へ向かう旅行③
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■前回のあらすじ
友人とヒッチハイクがしてみたく、2人とも行ったことのない青森県へ向かうことに。
高速道路の東北自動車道にある、各地のSAで車を乗り継いでいく作戦を決行中。
那須高原SAで車を拾えたが、運転手のおじさんの胸元には大きな入れ墨があり…?
6時間かけて関東から脱出できない我々。一向に青森が見えてこないが、果たして到着できるのか?
🚗5台目
(がっつり入れ墨入ってたな)と友人と目が合った。
まぁ、入れ墨入ってたぐらいで必ずヤバい職業とかでもないし。おしゃれで入れてるだけかもだし。
車内は荷物が多くてタバコの匂いがする。
片付けるのちょっと苦労しただろうに、私たちのために座席を確保してくれてありがたい。
切り込み隊長の友人がさっそく車内の雰囲気を温め始めようとしていた。
今のところすべての車内で爆笑をかっさらった、さんま級のトーク回しのプロがおじさんに切り込んでいく。
「車かっこいいですね。ご職業も車関係ですか?」「いや、職人」
「へー、すごい!どういった内容なんですか?」
「電気系だよ」
「そうなんですね!今日は何かお買い物で那須高原へ?」
「うん、服買いに来た」
「良いなぁ、楽しそう!」
「…」
「…」
友人が1分間沈黙したのを初めて見た。
寡黙な方なんだな。
車内には、ゆったりとした洋楽のみが流れている。夕日が我々3人を静かに照らした。洋楽のCDジャケットになりそうな、絵になる1枚だ。
私から話を振っても同じことになりそうで、どうしたもんかと思っていたら、友人の寝息が聞こえてきた。
今日は、ほぼ寝ていないらしく、ずっと眠いと言っていたので、心地良い沈黙につい眠ってしまったようだ。
私も眠くなってきたが、車乗せてもらっているのに寝るのは大丈夫なのか、と腕を組み、下を向いて考えていたら、いつの間にか私も眠っていた。
宮城県(菅生PA)
ハッと目を覚ましたら、次のSAに到着していた。
福島を横断して、ついに宮城まで入っていたようだ。
「寝てしまってすみません!」と2人で平謝りする。
「いいんだよ〜全然大丈夫」とめちゃくちゃ優しい声色で話してくれるおじさん。
おじさんは寡黙で表情もあまり動かないけど、声色が異常に優しい。
優しい人なんだな。入れ墨があるとかないとか、そんなの関係なかった。
お礼を行って、宮城県へ降り立った。おぉ、ついに東北まで来たぞ…!

一時はどうなることかと思ったが、なんとか東北まで進むことができた。
現在17時。残り400km、青森までちょうど半分の地点だ。いけるだろうか。ようやく希望が見えてきたぞ。
仙台に入ったので、一旦食事。
友人はバカみたいに高い牛タン、私はバカみたいに食べづらいおにぎりを注文した。

「卵黄鶏そぼろおにぎり」を注文したんだけど、でかくてボロボロこぼれてくる。
でも、のりの風味があって美味しい。豚汁も温まる。
食事をしたり、お土産を買ったりしていたら、1時間経っていた。
外に出ると、だいぶ寒くなっている。現在の気温が3℃らしい。まるで真冬のようだ。息が白い。
こんなに寒い場所で、30分以上もウロウロしていられない。短期決戦で次の車を見つけなければ。
次の車を探し始めて、ちょうど30分ぐらい経った。声をかけてもなかなか捕まらず、焦り始めたその時。
「ヒッチハイクですか?乗っていきますか?」
車の窓から身を乗り出して、わざわざ声をかけてくれた若い男性。
寒さに震え始めていたので、すごく良いタイミング…!
ありがとうございます!と言って、さっそく車内に乗り込む。
ヒッチハイクを始めてずっと思っていたが、みんな思ったより気楽に乗せてくれる。
優しい人ばっかりだ。日本ってすごい。
🚗6台目
こちらの男性は、実家のある岩手県の盛岡に帰るところだったらしい。
こちらの話にもリアクションよく相槌してくれるし、話もうまい。なんの職業かと聞いたら、「中学の数学教師」とのこと。
教師に出会ったのは始めてだ。
「生徒に変わった体験したって話したいから乗せた」と言っていた。
普段、知らない人についていっちゃいけない、という立場なのに、自分から知らない人誘っちゃったよ、どうしよう笑と、まったく困ってない声で笑っている。
宮城から盛岡まで、約2時間近く。今回のヒッチハイクで1番喋ったのは、この人だ。
学校生活にまつわるスベらない話をたくさんしてくれた。
中学生が昼休みに山に脱走したので追いかけた話、おやつ禁止の修学旅行で、普段はおとなしい生徒会長がスルメイカを食べていた話など、「中学生マジ疲れる、ヤバいんすわ」と楽しそうに話してくれた。
受け持ち生徒の悪口言っていいすか?と始まったが、「結局はこの仕事楽しくてしょうがない」という結論に。めちゃ良い先生じゃん。
私の地元、神奈川県、川崎市による予定があるというから、途中でその話に。
治安が悪くて有名なので、「20時を過ぎて川崎から生きて帰ってこれる確率は6割ですよ」など盛りに盛った話をすると、「やべー楽しみすぎる」とワクワクしていた。刺激が好きな人のようだ。
ぜひ川崎でたくさんハプニングにあって、エピソードを生徒に話してあげてほしい。
岩手県(盛岡駅)
3人で話していたら、2時間のドライブはあっと言う間に終わり間近に。
時間は20時近く。このまま青森に向かうか、それともまた明日、朝から青森に向かうでも良いよね、という話になった。
もし次のSAで、しばらく車が見つからなかったら寒さで凍えてしまうかも、ということで、今日は一旦岩手県で終了。
先生に盛岡駅周辺のグルメを紹介してもらいながら、今回の宿のネカフェ付近で降ろしてもらった。
せっかくなので一緒に写真を撮る。「学級通信に乗せたい」と言っていた。いいよ。
さぁ、8時間ぶりに高速道路から降りたぞ。街だ。盛岡の街だ。

埼玉から500km、ヒッチハイクだけで東北まで来れた。
しかもタダ。人の善意だけでここまでたどり着いた。来れるもんなんだな、すごいな…。感慨深い。
盛岡、めちゃくちゃ寒い。刺されているような、痛みがある寒さ。東京ではこんな寒さ体験したことない。
寒いのに、みんな薄着。秋ぐらいの格好をしている。皮膚が厚いのか?マフラー巻いてるの、私だけだった。
とりあえずせっかく盛岡まで来たので、名産を食べようじゃないか。とのことで、「盛岡冷麺」を食べに行く。
近くに良さげな焼肉店があったので、そこで冷麺を注文。
「冷麺専門店より、焼肉屋の冷麺の方が美味しそうじゃない?」という友人の見立ては大当たりであった。

めっちゃくちゃ美味しい。
今まで食べた冷麺はすべて偽物だったんじゃないか?と思うほどに次元の違う美味しさだった。
麺が全然違う。太さもそれなりにあり、噛み応えがある。
今まで食べた冷麺は、麺とスープがかみ合ってないものが多かったが、この冷麺はうまく調和している。
真っ赤なスープから想像されるような、痛みのある辛さではなく、旨味のある辛さ。
各地のサービスエリアで食べまくった胃と、なんだかんだ気を張り続けていた体が回復していく。
盛岡冷麺、最高。東京でも探そう。
満腹になったので、明日の予定について話合った。
パターンは3つある。
1.このまま盛岡を観光して新幹線で帰る
2.明日、下道でヒッチハイクをする
3.近くのSAまでいって、ヒッチハイクをする
下道でのヒッチハイクは、ほぼ捕まらないのでなし。
近くのSAで行ってヒッチハイクを再開するのが良いが、調べてみたら、徒歩でSAに入れる道はないとのこと。
あれ?ここからヒッチハイクで青森行く手段ないじゃん。
…。
コップに入っていた氷が溶けた音だけが響く。
「…じゃ、今回のヒッチハイクは岩手県で終了ということで…」
「そうだね…」
こうして我々の青森ヒッチハイクの旅は、盛岡の焼肉屋でひっそりと幕を閉じた。
ま、距離的にほぼ青森だからいっか!東北までヒッチハイクで来れたことがすごいんだから!
ということで、気を取り直して明日の盛岡観光の計画を練る。
お昼ご飯で何か名物を食べて、時間が余ったら盛岡城を見て帰ろう。
翌日は純粋に観光を楽しんで帰ることに。
盛岡の寒さに再び震えながら、ネカフェまで戻ってきた。
翌日の集合時間を確認して、ネカフェ内で別れる。
友人はヒッチハイク中ずっとあくびをしていて、とにかく眠そうだった。
今日はあまり眠れていないらしい。
それなのに積極的に声かけして、ルートを考えて先導してくれた。感謝してもしきれない。
友人がいなくて私1人でヒッチハイクを始めていたら、いまだに埼玉から出られていなかっただろう。
ゆっくり眠ってほしい。
私もネカフェの部屋を取る。車に乗っていただけだが、ドッと疲れた。早く横になりたい。
ネカフェで1夜を過ごしたことがほぼないので、眠れるか心配だ。
鍵付き個室なら眠れるかも、と思ったが、あいにく満杯だった。
鍵のない普通のブースならなんとか取れる。
しかし、実際に入ってみると狭いし、誰かが間違えて開けてしまうかも、と思うと気が気じゃない。
常にゴソゴソと周りのブースから音がしているのも気になるし、ネカフェ特有の空気がこもっている感じも苦手だ。
化粧を落としたいが、ネカフェのシャワーってなんか汚そう。完全な偏見だけど。
このままお風呂入らないで寝るのも嫌だし、かといってこのまま眠れる感じもしないし…。
とりあえず横になって、目を閉じる。
…うーん、眠れない。眠れない…ねむれ…

?!
目が覚めたら、真上には見知らぬ天井。
え、ここどこ?
岩手の旅、もう少しだけ続く。

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