経営計画は「売上目標」から作らない方がいい理由|利益から逆算する効果的な計画の作り方。
「来期の売上目標、どうする?」
予算計画案の会議で、まず最初にこんな話から始まる会社は多いと思います。
しかし、私はこの言葉に違和感がありました。
本当に大事なのは、売上ではなく「利益」ではないでしょうか。
私は以前、メーカー系企業で管理会計のマネージャーをしておりました。
その中で感じていたのは「売上から考える予算づくり」は、後から苦しくなるということです。
売上目標だけ高くても、
✅最終的に利益が残らない
✅固定費を回収できない
✅キャッシュが足りない
という状態になることは普通にあります。
売上はもちろん大事ですが、各部門が売上の目標を達成したとしても、最終的に利益や現金が手元に残らなければ、会社としては苦しくなります。
だから私は、まず「目標利益」から逆算して予算を作ることを提案したいです。
■予算策定は「売上」ではなく「利益」から考える。
予算策定というと、まず「来期の売上目標をどうするか」から考える会社が多いと思います。
しかし私は、管理会計の実務では、むしろ逆だと考えていました。
最初に考えるべきなのは「最終的にいくら利益を残したいか」です。
例えば、
✅設備投資をしたい
✅借入を返済したい
✅社員へ還元したい
✅内部留保を厚くしたい
✅将来の不況に備えたい
こうした目的があるなら、まず必要利益を決める必要があります。
利益は“会社の未来につなげるための原資”だからです。
そのため、予算編成は次の順番で考えていました。
①まず「目標利益」を決める
②その利益を確保するために必要な「固定費」を算出する
③固定費を稼ぐために必要な「限界利益」を算出する
④最後に必要な「売上」や「原価」を算出する
つまり、売上は“結果”です。
「とりあえず前年より売上5%アップ」
のような予算は、一見わかりやすいですが、利益やキャッシュが伴わないことがあり危険です。
大事なのは「その売上で、本当に利益は残るのか」です。
そして必要売上が見えたら、最後に販売戦略や原価低減策を考えます。
✅単価を上げるのか
✅販売数量を増やすのか
✅高利益商品の比率を増やすのか
✅材料や外注費をいかに下げるのか
などなど、ここまで考えて、初めて“実行可能な予算”になります。
単なる希望的観測ではなく、利益から逆算して作る。
これが、管理会計としての予算策定の基本だと思っています。
■固定費は「統制可能費」と「統制不能費」で分けて策定する。
目標利益を決めたら、次に固定費を整理します。
固定費とは、売上の増減にかかわらず、毎月ある程度固定で発生する費用のことです。
例えば、
✅人件費
✅事務所の賃料
✅システム利用料
✅備品代
などが代表例です。
売上が増えても減っても、基本的には一定額発生するため、会社の利益構造に大きな影響を与えます。
固定費を管理するとき、私は必ず、
✅統制可能費:費消をコントロールできるコスト
✅統制不能費:費消をコントロールできないコスト
に分けて考えていました。
なぜなら「コントロールできる費用」と「できない費用」を分けないと、改善するための議論がぼやけるからです。
例えば、消耗品や旅費交通費・広告宣伝費などは、比較的コントロールしやすい統制可能費です。
一方で、賃料や税金・減価償却費・リース料・保険料などは、短期では簡単に変えられない統制不能費になります。
「固定費を削ろう」という話ばかりになりやすいのですが、実際には削れるものは限られています。
ここを分けて考えることで、削れそうなものの議論も容易になります。

■統制可能費は「使う部門」と一緒に策定する。
また、統制可能費については、経理だけで決めるのではなく、実際にその費用を使う部門も交えて予算を作ることが重要です。
例えば、広告費なら営業やマーケ部門、採用費なら人事部門など。
現場と一緒に、
「なぜ必要なのか」
「費用対効果がどのくらいあるのか」
「どれくらい削減できるのか」
などを議論しながら作ることで、予算に納得感が生まれますし、使う部門の責任感も生まれやすいです。
予算は、経理だけのものではありません。
会社全体で“未来の数字”を作っていく作業だと思っています。
■固定費は削りすぎずに「限界利益」を増やす計画を立てる。
固定費は会社を運営するための“土台”でもあります。
人・設備・システム、こうしたものを削りすぎると、短期的には利益が出ても、長期的には会社が弱くなることがあります。
だから私は、固定費はムダを省きつつも、必要なものはしっかり使うべきだと考えていました。
そして理想は、固定費を無理に削らずに「限界利益」を増やすことです。
限界利益とは「売上から変動費を引いた、固定費や利益の原資になる利益」のことです。
簡単に言えば「売上が増えたとき、どれだけ会社に利益が残るか」です。
例えば、同じ100万円の売上でも、値引きが多かったり、原価率が高かったりするのであれば、会社に残るお金は少なくなります。
逆に、限界利益率が高ければ、固定費を回収しやすくなり、利益も残りやすくなります。
そのため、予算策定では、
✅単価を改善できないか
✅高利益商品の比率を増やせないか
✅不要な値引きを減らせないか
✅生産性を上げられないか
✅利益率の低い取引を見直せないか
といった視点が重要になります。
「どれだけ売るか」だけではなく、
「どれだけ利益を残せる売上なのか」を考える。
これが、管理会計における予算策定の本質だと思っています。
■ 利益計画だけでは足りない。キャッシュ計画も必要。
そして最後に、とても大事なのがキャッシュです。
利益計画だけ作って終わる会社は多いですが、実際の企業活動は「現金」で動きます。
利益が出ても、キャッシュが足りなくては会社は回らない。
だから、予算立てるときは必ず、
✅設備投資
✅借入払い
✅税金支払い
✅賞与支払い
なども含めて、キャッシュフロー計画も策定し、資金ショートにならないかを確認しておくことが重要です。
利益計画だけでは、会社は守れません。
「いつ、どれだけ現金が使えるのか」
ここまで見て、初めての経営計画になります。
■【最後に】経営計画は「未来の意思決定」を数字にする仕事。
予算策定というと「前年を少し伸ばして数字を置く作業」になってしまう会社も少なくありません。
しかし本来、予算とは単なる数字合わせではなく、「会社をこれからどうしていきたいか」を具体化する作業だと思っています。
だからこそ、予算を作るときには、
✅利益から逆算する
✅固定費を整理して考える
✅現場も巻き込んで作る
✅限界利益を意識する
✅キャッシュまで見る
ということを大切するべきだと考えます。
特に重要なのは「売上を作ればなんとかなる」という発想だけで終わらせないことです。
売上が伸びても、利益や現金が残らなければ、会社としては苦しくなります。
逆に、利益構造とキャッシュフローを意識した予算は、経営の安心感を大きく変えます。
予算策定とは、未来を予言することではなく、未来をより良くするために、先回りして考えること。
私はそう思っています。
また、予算は“作って終わり”ではありません。
月次で予実を確認し、
「なぜズレたのか」
「今後どう修正するのか」
を考え続けることで、初めて経営の武器になります。
月次での効果的な予実管理方法については、こちらの記事に書いてありますので、よかったら参考にしてください👇
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