【コピー店長の七つの知恵③】混雑を流れで解消する
先日公開した本編
「1枚10円のコピー店長から学んだ『三方よしの経営学』」
では、街の小さなコピー店を50年以上営んできた店長から得た学びを「七つの知恵」として紹介しました。
こちらは本編の解説編として、本編でご紹介した「七つの知恵」を中小企業診断士の視点で深堀していくシリーズとなります。
今回は、その三つ目の知恵である
【七つの知恵③】混雑を流れで解消する
について、5つのポイントをご紹介します。
本編をまだ読まれていない方は、先に読んでいただくと、より理解しやすくなると思います。
▼本編はこちら
【ポイント1】繫盛は次の問題を連れてくる
店長のコピー店は、学生たちにとって必要不可欠な場所になっていきました。
試験前になると、多くの学生が店に集まる。
注文が重なる。
店内が混み合う。
待ち時間が長くなる。
繁盛していること自体は、もちろん良いことです。
でも、繁盛は同時に新しい問題も連れてきます。
売れているから大丈夫。
忙しいのはありがたいこと。
そう思って放置していると、顧客の不便は少しずつ大きくなります。
店長は、繁盛の裏側で起きている混雑に目を向けました。
商売は、売れ始めてからも改善が必要なのです。
【ポイント2】混雑を人数ではなく流れで見る
混雑している店を見ると、まず「人が多いから混んでいる」と考えがちです。
もちろん、来店者が多いことは混雑の原因です。
しかし、店長が見ていたのは、人数の多さだけではありませんでした。
誰が来ているのか。
何を必要としているのか。
どの資料を探す必要があるのか。
どの順番で注文を処理するのか。
どこで待ち時間が生まれているのか。
店長は、混雑を「人数」ではなく「流れ」の問題として見ていました。
同じ店内に、異なる学生の流れ、異なる資料の流れ、異なる注文の流れが重なっている。
そこに、混雑の本当の原因がありました。
【ポイント3】顧客の違いで流れを分ける
店長は、学生の流れを分けるために、店を2つに分けました。
低学年向けの店。
高学年向けの店。
低学年と高学年では、必要とする資料が違います。
試験の内容も違います。
注文のタイミングも違います。
探すべき過去問資料も違います。
それを同じ店でまとめて対応すると、どうしても混雑します。
そこで、店に来る学生を学年で分けたのです。
これは、単なる店舗拡大ではありません。
顧客の違いに合わせて、対応する流れを分けたということです。
低学年向けの店舗は奥様が担い、高学年向けの店舗は店長自身が受け持ちました。
流れを分けることで、店も学生も楽になっていったのです。
【ポイント4】探す範囲を狭くする
店舗を分けた効果は、店内の混雑を減らすことだけではありませんでした。
むしろ重要なのは、店の裏側の作業が楽になったことです。
低学年向けの店舗では、低学年用の過去問資料を中心に扱えばよい。
高学年向けの店舗では、高学年用の過去問資料を中心に扱えばよい。
そうすれば、注文を受けたときに、資料を探す範囲が狭くなります。
資料の保管場所も分かりやすくなる。
取り違えも起きにくくなる。
探す時間も短くなる。
学生を待たせる時間も減る。
店長は、表の混雑だけでなく、バックヤードの作業負荷まで軽くしていました。
【ポイント5】店の外の流れまで整える
繁盛した店には、店内の混雑だけでなく、店の外の問題も起きました。
学生たちが車で来店する。
店の前や周辺に車が増える。
近隣から迷惑駐車の苦情が出る。
これは、店の外で起きている問題です。
でも店長は、これも経営課題として受け止めました。
特に車利用が多い高学年向けの店舗を、医科大学の近くに出店したのです。
その結果、学生たちは歩いて来店できるようになり、迷惑駐車の問題も解消されていきました。
混雑とは、店内だけで起きるものではありません。
人の流れ。
車の流れ。
近隣との関係。
そこまで見直して、初めて本当の改善になります。
「店の中だけよければよい」では、商売は長く続かないのだと思います。
まとめ
【七つの知恵③】混雑を流れで解消する
この知恵から学べることは、以下の通りです。
繁盛の裏側で起きている新しい不便を見逃さない。
混雑を、単なる人数の多さだけで捉えない。
人・注文・資料・作業の流れが、どこで重なっているのかを見る。
顧客の違いに合わせて、入口や対応の流れを分ける。
店内だけでなく、バックヤードの作業や店外の人・車の流れまで含めて改善する。
店長は、繁盛している状態に満足していたわけではありません。
学生が増え、注文が重なり、店内が混み合い、近隣から迷惑駐車の苦情が出る。
その状況を、単に「忙しいから仕方ない」とは考えませんでした。
その結果、店内の混雑だけでなく、バックヤードの作業効率や近隣への迷惑駐車まで改善していきました。
さいごに
次回は、「七つの知恵」の四つ目。
【七つの知恵④】低価格を構造で守る
について紹介します。
1枚10円という低価格を守る。
学生たちが利用しやすい価格を維持する。
それでも商売として利益を残す。
善意だけで安くしても、商売は長く続きません。
次回は、店長がどのようにして1枚10円という低価格を守りながら、商売として成り立つコスト構造を作っていったのかを紹介します。
▼【コピー店長の七つの知恵④】はこちら
(完)
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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本編では、コピー店長から学んだ「1枚10円・三方よしの経営学」を物語として紹介しています。是非、あわせて、お読みください。
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