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【コピー店長の七つの知恵②】不便を仕組みで解決する

先日公開した本編
「1枚10円のコピー店長から学んだ『三方よしの経営学』」
では、街の小さなコピー店を50年以上営んできた店長から得た学びを「七つの知恵」として紹介しました。

こちらは本編の解説編として、本編でご紹介した「七つの知恵」を中小企業診断士の視点で深堀していくシリーズとなります。

今回は、その二つ目の知恵である
【七つの知恵②】不便を仕組みで解決する
について、5つのポイントをご紹介します。

本編をまだ読まれていない方は、先に読んでいただくと、より理解しやすくなると思います。
▼本編はこちら


【ポイント1】繰り返される顧客のミスに気づく

学生たちは、同じ過去問資料を繰り返してコピーすることがありました。
量が多いため、どこまでコピーしたのか分からなくなる。
同じページをまたコピーしてしまう。
時間もお金も無駄になる。
普通なら、学生側のミスで終わる話かもしれません。
でも店長は、そう見ませんでした。
「なぜ、同じミスが何度も起きるのか」
繰り返されるミスの中に、顧客が本当に困っていることが隠れています。
店長は、そこに気づいたのです。

【ポイント2】過去問資料を店で預かる

店長は、学生たちが毎年同じように過去問資料で困っていることに気づきました。
そこで取った対応が、過去問資料を店で預かることでした。
学生が毎回、大量の資料を持ち込む。
どこまでコピーしたか分からなくなる。
同じ資料のコピーをまた頼んでしまう。
それなら、店で過去問資料を預かればいい。
この判断によって、学生は毎回資料を持ち込む必要がなくなりました。
顧客が毎回抱えていた面倒を、店側が引き受けたのです。
ここから、通常のコピー店とは全く異なる、新しい仕組みが始まりました。

【ポイント3】資料を探せる状態に整理する

過去問資料を預かるだけでは、まだ十分ではありません。
大量の資料を預かっても、必要なときに探せなければ、学生の不便は残ります。
店長は、預かった過去問資料を整理しました。
科目別。
先生別。
年度別。
必要な資料を、必要なときに取り出せる状態にしたのです。
これは、今で言えばアナログ版の検索データベースです。
情報は、集めるだけでは価値になりません。
探せる状態にして初めて、顧客にとって使える価値になります。

【ポイント4】電話1本で注文できる流れを作る

店長は、過去問資料を預かり、整理しただけでは終わりませんでした。
学生が電話1本で注文できるようにしたのです。
どの科目か。 どの先生か。 どの年度か。 何部必要か。
学生は、それを電話で伝えればよい。
店側は、整理された資料から必要なものを探し、コピーしておく。
学生は、でき上がったものを取りに来る。
学生にとっては、資料を探す手間も、店で待つ時間も減る、非常に便利な仕組みが実現したのです。

【ポイント5】理念が共有され、賛同者が増えていく

店長の仕組みは、店長一人の思いつきだけで成り立っていたわけではありません。
過去問資料を店で預かる。
学生の依頼に応じてコピーする。
古くなった資料を一定の時期に整理・処分する。
これらは、関係者の理解と協力があって初めて続けられる仕組みでした。
本編でも触れた通り、この仕組みは、過去問を作成した教授や、試験対策資料を作成した学生たちの許諾を得たうえで運用されていました。
その背景には、店長の「学生たちの学びを支えたい」という思いがありました。
最初から立派な経営理念を掲げていたわけではありませんでした。
しかし、目の前の学生の困りごとに向き合い続けた結果、店長の商売には、自然と「学生たちの学びを支える」という理念が生まれていきました。
この理念が、教授や学生たちの共感を呼び、賛同者を増やしていったのです。

まとめ

【七つの知恵②】不便を仕組みで解決する
この知恵から学べることは、以下の通りです。
繰り返される顧客のミスを見逃さない。
同じ不便が何度も起きている理由を考える。
顧客が毎回抱えている面倒を、店側で引き受ける。
集めた情報を、必要なときに探せる状態にする。
理念に賛同する人を増やし、関係者の共感と協力を集める。
店長は、学生が同じページを何度もコピーしてしまう姿を、単なる顧客のミスとして見ていませんでした。
そこには、学生が毎年繰り返し困っている不便がありました。
店長は、その不便を店側で引き受け、過去問資料を預かり、整理し、電話1本で注文できる流れを作りました。
その結果、店は単なるコピー店ではなく、学生の試験準備を支える存在へと変わっていきました。
小さなコピー店の中に、不便を仕組みで解決する経営の知恵がありました。

さいごに

次回は、「七つの知恵」の三つ目。
【七つの知恵③】混雑を流れで解消する
について紹介します。
店内に学生があふれる。
注文が重なる。
待ち時間が伸びる。
店の外に行列ができる。
近隣から迷惑駐車の苦情が出る。
次回は、繁盛した店がぶつかった「混雑」という壁を、店長がどのように乗り越えたのかを紹介します。
▼【コピー店長の七つの知恵③】はこちら

(完)

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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本編では、コピー店長から学んだ「1枚10円・三方よしの経営学」を物語として紹介しています。是非、あわせて、お読みください。
▼本編はこちら

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