見出し画像

漫画の「プロット」ってどうすれば?小説にも使えるかもしれない私なりのプロット構成テンプレート

おはようございます。40代商業漫画家志望者です。
先日のCOMITIA156出張編集部への旅疲れが抜けていませんが、以降のプランを練りつつ脳みその棚卸をしようと思います。

今回、
・冒頭で主人公の行動原理等を強く示す構成
・画力…苦手意識のある動きと描き文字も影響
・得意やクセ強をより活かす(前の編集部では削る方向を提示)

ということがわかったので、今回持ち込んだ作品の冒頭に加筆してプランBに挑みつつ、新しい話を描いたほうが良さそうと考え、企画やプロットから考えてみることにしました。
なお9月は暑そう、11月は本業のイベントが多いのでCOMITIA参加の予定はありません。

キャラクターは以前の2原稿のキャラをブラッシュアップしつつ流用するものとして、プロットの書き出しとネーム作業へと進んでいきます。

漫画を描く過程においては「プロット不要論」みたいのもあります。
必須ではないし、文章を書くことが苦手という人もいるでしょう。

しかしながら、編集者からプロットを要求されることもあり、また、ページ数や構成の”積算”を行ううえでもプロットは有効だと思うので「単に文章が苦手だったり、字を書きたくない、単にめんどくさいと思っているだけならばトライしたほうが良い」と思うのですね。

前に書いた「漫画は設計図に例えられるか?」という観点で示すと、プロットとはボーリング調査(土質調査)や文献調査、工程や工法の検討、工期や費用の算出、構造計算等にあたるように思います。
経験で家を建てる熟練の大工は、かつては設計図を描いても構造計算はしなかったかもしれませんが、現代的な建築では様々な制約があるので、設計図以外の基礎資料が必要であり、それがプロットにあたるのではないかという事です。

なお、プロットに関しては、役者が演技をしたり撮影に必要な「脚本」と違い、明確な形式やルールはないらしく、また、どこまで書き出すべきかも、基本的に作り手にゆだねられています。
(『「好き」を育てるマンガ術』にも様々なプロットがあり、プロットを描かないベテランもいるが推奨するとの記述あり。書き方がないからこそ、プロットは書きにくいとも言えそうですね…)

【プロットでページ配分を積算する】

手書きでプロットを描く場合は原稿用紙などを使って、文字の大きさを統一したうえで文字数を把握することが、プロット作成からネーム作成の流れにおいて重要と感じています。
(今だとスマホのメモアプリなども使えるかもしれません。)

また、面白いことにプロットに起こした文字数(面積)は、概ねページ数とリンクしているので、文字数(面積)で構成バランスやページ配分を積算できます。

なので私はまず、Excelで作ったテンプレートに構成用のプロットを均等に打ち込み、必要があればWord等のワープロソフトにて拡張する、という手法をとっています。

【中の人作成 プロット用テンプレート】

私が使っているテンプレートを紹介します。
あんま出したくない気もしましたが、お悩みの方も多いと思うので、出すことにしました。活用される場合はコメントいただけると嬉しいです。
また、流用される場合は出店元としてこのページのリンク明示をお願いします。

ややこしいですが、入力は縦文字なので「←方向」に進行します。

制作にあたっては起承転結、PDCAサイクル、三幕構成、「SAVE THE CATの法則」のほか、小説の講座を解説されているDK先生の「15セクション」を参考にさせていただきました。

なお、起承転結、PDCAサイクル、三幕構成、15セクション、ブレイク・スナイダーの15BS(「SAVE THE CATの法則」)は言い回しや解像度の違いだけで、基本構成は同じものと解釈しています。
なので、入りやすいところから入ればいいです。

上記の考えを一切無視して作品作りをすると、なんとなくしっくり来ない、意味がわかりにくい作品になりがちでもあります。

漫画仲間とのオフ会等で原稿やネームを見させてもらうこともあるのですが、なんとなくしっくり来ないネームを分析していると、三幕構成的な観点でどこかが不足している、という事が多かったのです。
(私の場合は構成はできているけれど、冒頭部分で示すべき5W1Hが不足していた)
なので、食わず嫌いせずに基本的な理解を深めたほうが良いと私は思います。

このテンプレートに打ち込む前に、「キャラのこういう表情が見たい」「こういうカッコいいカットを描きたい」「こういうエモいシーンを描きたい」などの妄想を盛大にしておきます。

これをやっていないと、プロットに基づいて「ただなんとなく描いた」漫画になってしまうので、見せ場となる場所だけでも先に妄想し、テンプレートの下段にメモしておきます。また、あわせてラフを描き出しておくのも効果的です。

これらができあがったら、「イベント」項目の薄い文字の上に、描こうとしている物語の出来事等を描き込んでいきます。
(Excelで作られており、透明のテキストボックスに物語を打ち込める仕組み)。

書き込む内容に関しては、薄い文字のガイドにそって
・行動や現象を打ち込む。
・セリフは打ち込まない。書くとしても物語上絶対外せないセリフのみ。
・感情表現は「歓喜」「凹む」「嬉しくも寂しい」などで記載。

という感じで埋めていきます。
描きたい表情が思いついたなら、ラフ画などを別途用意します。

また、

「イベント4枠(起承転結及びPDCAサイクル)をまんべんなく埋める。」

というのは重要です。
どこかがスカスカだと、物足りない構成になりがちなのです。
短くても構わないけれど、短いなりに起承転結及びPDCAサイクルのイベント枠の出来事の量(文字数と面積)をだいたい同じ量にします。

描いた漫画のプロット初稿はこんな感じ

次は各パートの打ち込みについてです。

【起(PLAN)】

私の場合は冒頭の5W1Hのうち、「なぜ(Why)」が弱かったことが判明しているので、新しい原稿では、「なぜ」をきちんと打ち込むことを意識します。
※「なぜ」はキャラクターの行動原理を示すものであり、読者の共感に最速でつながる重要な要素なのです。

また、世界観を知らせるため状況説明がだらだら続き、主人公がいっこうに登場しない作品は漫画家志望者のよくある失敗です。
楽曲のイントロすらない曲が流行するせっかちなタイパ時代の昨今ですから、最低でも3ページめまで(できれば1ページ目)で主人公を登場させます。

主人公が登場しない作品がダメというわけではないですが、実績ある先生なら読んでもらえるけれど、初心者や新人は読みとばされる確率が高くなると考えられます。
「○○先生はそういう構成をやっているじゃないか」という反証もあるのですが、××さんは〇〇先生ではないので通用しないのです。

なお、最初の3ページは、映画で言うと「ファースト10」と呼ばれる最初の10分に当たる感じです。「ファースト10」は次の項目で紹介します。

【II(Inciting incident)について】

三幕構成のうち、冒頭の5W1H(ファースト10にあたる)を示したあとに発生する、物語の本筋の導入部分であり、「起」の本番です。

私が好きな映画のたとえで恐縮ですが、こんな感じです(わかる人いるかなぁ)

「山猫は眠らない」の場合
(ファースト10)パナマでの話であり、スナイパーとは一撃必殺の隠密兵士でり、相棒と行動することを示す。相棒が敵スナイパーに撃たれるまで。
基地に帰還するヘリの中で主人公は怒りを爆発させる。
(Inciting incident)舞台がワシントンD.Cに変わり、反乱軍司令官の暗殺任務が、新たな相棒に伝達される

「トップガン(無印)」の場合
(ファースト10)空母艦載機とその魅力を魅せる。F-14トムキャットが2名で運用されることを示し、敵機ミグ28(架空機)と対峙させる。緊急着艦まで。
(Inciting incident)空母勤務から空中戦技学校トップガンに派遣される

という感じですね。

【承(DO)】

私は起承転結の承の意味がわかりませんでしたが、PDCAサイクルにあてはめることで「やってみた」であるとわかりました。つまり主人公らに行動させます。

以外と埋まらない難しいパートで、ここがスカスカだと後の「転結」が物足りなくなりがちです。
思いつかなければ、転、を先に埋めて、逆算します。
というよりも結から埋めたほうがいいかもしれません。

行動させるといっても、ダラダラと物語が進行しても面白みがありません。
なので小さな成功体験を積ませます。
成功体験といっても「たまたまアイテムや食べられるものを拾った」とかでは、面白みがないですよね。

有効なのは小さなピンチを1つ(P1)、または複数設定して問題解決させることにあります。
問題解決はスカッと要素であり、「承(しょう)は小ピンチのしょう」と私は念頭においています。

【MP(ミッドポイント】

承と転の間には転換点があり、物語の流れが大きく変わります。
概ね中間地点に配置するので、漫画ネームなら24ページなら12ページあたりで、物語の流れが大きく変わります。上手く行っていたことが悪い方向に進みます。
(コメディであれば、その逆)

【転(CHECK】

問題解決はスカッと要素と紹介しましたが、ここが大きな「問題」提起となります。
そして主人公をピンチに追い込みます(P2)。
できれば「これでもか」というほどに。

主人公をピンチに陥らせるのが嫌だという作り手もいると思いますが、心を鬼にしてピンチに追い込むか、主人公以外をピンチに追い込みます。
「転」も意外と埋まらないパートなので、埋まらなければ「結」を先に考えます。

【結(ACTION)】

「転」と対をなす解決パートです。
バトルものであれば敵を倒すシーン、恋愛ものだと告白して結ばれるなどのページです。
だいたい「どういう技でどういうカットで敵を倒す」「どういうシチュエーションで告白する」など、事前の妄想で何をさせたいか思いついていることが多いので、あまり困らない項目に思います。

なので、転が埋まらない場合、結を盛り上げるにはどうすればよいかを考えて、埋まらない転を逆算します。
光を描くために影を描くように、転でどん底に落とすことで解決もエモくなります。

しかし、(私が描いている釣り漫画しかり)こまでどん底に落とす要素のない作品もあります。
この場合は小ピンチは小さくても良いのですが、承の小ピンチ(P1)の問題解決と、転(P2)及び結の問題解決が同程度にならないよう注意し、緊迫度やピンチの大きさを調整します。

【おまけ】

結のあとに、次回予告につながる要素や「余韻」、本筋ではないオチを描く場合があります。

【サブプロット】

本筋と違うお楽しみを付加します。
たとえばバトルものでは敵を倒すが本筋ですが、ヒロインとの関係はどうなるか?などがこれにあたります。

だいたいこんな感じです

私はこんな感じでプロットを作り、このテンプレートを使った初稿は平均2時間で完成しています。
この後、もっといいアイディアがないか練りつつネーム作業に移行するか、編集者からもう少し詳しくと言われたら、Wordで作り込みます。

いいなと思ったら応援しよう!