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そのDXプロジェクト、専任は何人いますか?|基幹システム導入に必要な理想9人・最低4人|DX導入の落とし穴 第2回

基幹システム導入に本当に必要な人数は、理想9人・最低4人、そしてPMが1名必須です。

「リソースを確保しろと言われても、具体的に何人?」——前回残したこの問いに、製造業の現場で「こういう体制があればよかった」と痛感した経験から、現実的な落としどころまで踏み込みます。DX推進担当・経営層・情報システム部門の方に向けた記事です。


※本記事は「DX導入の落とし穴」シリーズ第2回です。第1回(4つの落とし穴)はこちら。


前回のおさらい:すべての根っこは「リソース不足」だった

第1回で挙げた落とし穴は、①目的と手段の逆転、②業務分担の曖昧さ、③あるべき姿の不在、④体制とリソース不足でした。①〜③は表面の症状、④こそが真の原因です。

担当者が片手間で兼務させられ、議論する時間も体制もない。だから目的を見失い、分担が決まらず、フローも描けない。

では、その「体制」とは具体的にどういう人員配置か。ここを掘り下げます。


基幹システムは、7つの業務領域にまたがる

基幹システムは、会社の業務全体をカバーします。ざっくり分けると、購買・調達/進捗管理/製造現場/物流・在庫管理/会計処理/受注・売上/品質保証・検査の7領域です。

それぞれ専門性があり、業務も人も帳票も違います。「受注のことは受注担当にしか分からない」——これが実態です。

特に見落とされがちなのが、製造現場そのものです。設計図は机上では立派に描けても、実際にモノをつくる現場の動きと噛み合わなければ、使われないシステムになります。

現場を分かる人が入っていないプロジェクトは、ここで必ずつまずきます。基幹システムを入れるとは、この7領域すべてで「あるべき業務の姿」を描き直すということなんです。


理想は「領域ごとに専任」、現場を含めて9人

7領域それぞれで業務を描き直すには、各領域に専任の業務改善担当を置くのが理想です。さらに製造現場は範囲が広いので、前工程と最終工程で2〜3名は欲しい。足すと、理想は9人前後です。

なぜ専任か。あるべき姿を描く作業は、片手間ではできないからです。通常業務を抱えたままでは、どうしても「今の業務を回すこと」が優先され、「あるべき姿を描くこと」は後回しになります。

でも、正直に言います。9人の専任を確保できる現場は、まずありません。中小の製造業で、改善のためだけに9人を通常業務から外せる会社が、どれだけあるでしょうか。

現実は、各領域から「片手間で1人」出ればいいほう。あるいは情シスの数人が全領域を見ようとして、力尽きる。これが多くの現場で起きていることです。

現実的な落としどころ:最低4人、できれば5人

9人が無理なら、7領域を関連性でまとめて、最低4人でカバーします。

担当A:購買・調達 + 会計処理 — どちらもコストに直結します。材料をいくらで買い、最終製品コストにどう乗るか。お金の流れとして一本でつながるので、整合性が取りやすい。ここは専任を1名以上、必ず置きます。

担当B:進捗管理 + 物流・在庫管理 — 製造の進捗と社内物流・在庫は密接に連動します。モノの流れとして一体なので、同じ担当が見るのが自然です。

担当C:品質保証・検査 + 受注・売上 — どちらも顧客にクリティカルに関わります。顧客接点という共通軸でまとめます。

担当D:製造現場 — ここには必ず専任を置きます。抜けると「現場で使われないシステム」ができてしまう。最低1名、現場の動きを分かる人を。

この4人が最低ラインです。欲を言えば、製造現場を前工程・最終工程で2名に分けたい。工程で動きも課題も大きく違うので、1人で全工程は負担が大きいからです。

ここを2名にできれば5人体制となり、現実的でよく機能します。理想9人、最低4人、落としどころ5人。この感覚を頭に置くだけで、体制を考える基準になります。


専任だけでは足りない。束ねるPMが要る

各領域に専任を置いても、それだけでは回りません。全体を束ねるPMが1名は必須です。7領域は連動しているからです。

購買の決め事が会計に影響し、進捗が現場と物流を左右し、受注の変更が品質に波及する。各担当がバラバラに「自分の領域のあるべき姿」を描いても、つながりが整理されなければ全体は噛み合いません。

そのつなぎ目を見て優先順位を決め、領域間の利害を調整する。これがPMの役割です。ここが欠けると各領域が部分最適に走り、第1回で書いた「いびつなフローがいびつなまま自動化される」状態に戻ります。

そしてPMの仕事は重い。理想を言えば、PMを補佐するメンバーが2名いればなお良い。会議調整、議事整理、各領域との連絡。これをPM一人が抱えると、今度はPMが力尽きます。

まとめると、各領域の専任は最低4人(できれば5人)、束ねるPMは1名必須、PM補佐が2名いればなお良し。「DXを進めろ」と号令をかける前に、この体制が組めるか。

組めないなら、スコープを縮めるか、時期をずらすか、外部の力を借りる。人員の現実から逆算してプロジェクトの規模を決める。これが失敗を避ける、いちばん地に足のついた考え方です。


最後に

前回は「リソースを確保せよ」という抽象的な話で終わりました。今回はそれを「理想9人、最低4人、PM必須」という具体的な人数まで落とし込みました。

会社の規模や業種で、最適な人数は変わります。大事なのは数字そのものより、「業務領域ごとに、そして製造現場にも、専任で考える人が要る」という発想です。

あなたのプロジェクトには、いま何人の専任がいますか? 製造現場の声は、ちゃんと入っていますか? PMは、本当に全体を束ねられていますか?

参考になったら、スキ・フォローをお願いします。DX推進の現場目線で、これからも書いていきます。

このシリーズの前後は、こちらです。

▶ 第1回:DX失敗の真因は「現場の抵抗」ではない(4つの落とし穴)


▶ 第3回:半年かけても現状把握ができなかった。AIなら数日でできた


「人が足りないまま、プロジェクトだけ走っている」と感じることがあれば、コメントで教えてください。

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