「基礎代謝を上げるだけでは不十分|理学療法士が教える“代謝が落ちにくい身体”の作り方」
「最近、太りやすくなった」
「昔より疲れやすい」
「食事量は変わらないのに体重が増えた」
こうした相談を受けたとき、理学療法士として考えておきたいのが基礎代謝と身体活動量の変化です。
基礎代謝は、生命を維持するために安静時にも消費されるエネルギーです。
しかし、臨床では「基礎代謝を上げる=筋トレをする」と単純に考えるだけでは不十分です。
重要なのは、
筋肉量を維持すること
そして、
1日の身体活動量を維持・向上させること
です。
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1.基礎代謝とは?
基礎代謝とは、生命維持に必要な最低限のエネルギー消費を指します。
呼吸、循環、体温維持、脳活動などにもエネルギーは使われています。
基礎代謝量は、年齢、性別、体格、体組成などによって異なります。
特に理学療法で注目したいのが除脂肪量、とくに骨格筋量です。
筋肉は身体活動を生み出すだけでなく、エネルギー代謝にも関係する重要な組織です。
そのため、
「体重だけを見る」
のではなく、
体重+筋肉量+身体活動量
を見ることが重要になります。
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2.加齢で基礎代謝が低下する理由
加齢に伴って、
* 筋肉量の減少
* 身体活動量の低下
* 歩行速度の低下
* 座位時間の増加
* 日常生活でのエネルギー消費低下
などが起こります。
特に問題になるのが、「動かなくなることで、さらに動けなくなる」サイクルです。
例えば、
筋力低下
↓
歩くのが億劫になる
↓
外出が減る
↓
身体活動量が低下
↓
さらに筋力・持久力が低下
↓
ADLが低下
という悪循環につながります。
これは訪問リハビリでも非常に重要な視点です。
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3.「基礎代謝を上げる」より「筋肉を減らさない」
理学療法士として患者さんに説明するとき、
「基礎代謝を上げましょう」
だけでは少し抽象的です。
むしろ、
「筋肉を減らさない身体をつくりましょう」
と説明したほうが臨床的には分かりやすいでしょう。
高齢者の筋力トレーニングは、筋力だけでなく、筋肉量や身体機能を維持するためにも重要です。2024年の日本老年医学会誌でも、高齢者における筋力トレーニングの重要性が整理されています。(J-STAGE)
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4.基礎代謝だけを考えてはいけない
ここが理学療法士として重要なポイントです。
1日のエネルギー消費は、基礎代謝だけではありません。
大きく考えると、
基礎代謝
+食事による熱産生
+運動によるエネルギー消費
+日常生活での身体活動
などから構成されます。
そのため、
「筋肉をつければ全部解決」
というわけではありません。
例えば筋肉量が維持されても、
・一日中座っている
・外出しない
・歩数が少ない
・家事をしない
・階段を使わない
という生活であれば、1日の総エネルギー消費は低くなります。
そこで理学療法では、
筋力トレーニング+日常生活活動
の両方を見る必要があります。
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5.理学療法士が評価したい5項目
基礎代謝やエネルギー消費を考えるとき、私は以下の項目を評価します。
① 筋肉量
可能であれば、
* InBodyなどの体組成
* 下腿周囲径
* 握力
* BMI
* SMI
などを確認します。
特に高齢者では、体重が減っているからといって必ずしも健康的とは限りません。
筋肉量が減少している可能性を考える必要があります。
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② 下肢筋力
特に、
* 大腿四頭筋
* 大殿筋
* 中殿筋
* 下腿三頭筋
などは歩行や立ち上がりと深く関係します。
評価としては、
* MMT
* 握力
* 5回立ち上がりテスト
* 30秒椅子立ち上がりテスト
などが活用できます。
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③ 歩行能力
歩行速度は非常に重要です。
例えば、
「最近、歩く速度が遅くなった」
という変化は、筋力・持久力・バランス・活動量の低下を反映している可能性があります。
10m歩行や6分間歩行などを活用することで、経時的な変化も確認できます。
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④ 1日の身体活動量
訪問リハでは、ここを必ず確認したいところです。
「リハビリの40分間だけ頑張っている」
では不十分な場合があります。
むしろ、
残りの23時間20分をどう過ごしているか
が重要です。
確認したい質問は、
「日中はどのくらい座っていますか?」
「買い物には行きますか?」
「家の中ではどのくらい歩きますか?」
「テレビを見る時間はどのくらいですか?」
などです。
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⑤ ADL・IADL
最終的には、
「どれだけ筋肉があるか」ではなく「筋肉を使って生活できているか」
を見ることが重要です。
例えば、
買い物
↓
歩行
↓
荷物を持つ
↓
階段を上る
↓
自宅で家事をする
これらすべてが身体活動です。
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6.基礎代謝を意識した運動療法
高齢者では、単純な有酸素運動だけではなく、筋力トレーニングを組み合わせることが重要です。
厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では、高齢者に対して、筋力・バランス・柔軟性などを含む多要素な運動を週3日以上、筋力トレーニングを週2~3日行うことが推奨されています。(健康日本21アクション支援システム)
例えば、
スクワット
10回×1~3セット
椅子からの立ち上がり
5~10回×2~3セット
カーフレイズ
10~15回×2~3セット
ヒップアブダクション
10~15回×2~3セット
など。
ただし、回数を一律に設定するのではなく、
疾患・年齢・筋力・疼痛・循環器リスク・疲労度
を考慮して個別に設定します。
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7.「筋トレ+歩行」が重要
基礎代謝を考えるとき、筋力トレーニングだけに注目するのはもったいありません。
例えば、
午前:筋力トレーニング
↓
午後:買い物
↓
夕方:10~20分歩行
というように、日常生活の中で身体を使う時間を増やすことが重要です。
特に高齢者では、長時間の座位を減らし、可能な範囲でこまめに身体を動かすことも重要です。(健康日本21アクション支援システム)
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8.「痩せたい高齢者」ほど注意する
ここは臨床上かなり重要です。
「体重を落としたい」
という高齢者に対して、食事制限だけを強く勧めると、
脂肪だけでなく筋肉も減少する可能性があります。
すると、
体重減少
↓
筋肉量低下
↓
筋力低下
↓
歩行能力低下
↓
活動量低下
という悪循環につながる可能性があります。
したがって高齢者では、
体重を減らすことだけを目標にしない
ことが重要です。
「体重」だけでなく、
筋肉量・握力・歩行速度・身体活動量
まで確認することが理学療法士の役割になります。
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9.訪問リハでは「基礎代謝」を生活に落とし込む
訪問リハでおすすめなのは、
「毎日30分運動してください」
だけではありません。
例えば、
・テレビを見る前に立ち上がり5回
・トイレの後に家の中を1往復
・食後に5~10分歩く
・買い物は可能な範囲で歩いて行く
・エレベーターではなく階段を一部使用する
など。
つまり、
「運動をする時間を作る」だけでなく、「生活そのものを運動に変える」
という発想です。
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10.理学療法士が考える「代謝改善」の本質
基礎代謝という言葉だけを見ると、
「どうやったらカロリーを多く消費できるか?」
と考えがちです。
しかし、理学療法の視点では少し違います。
重要なのは、
筋肉を維持する
↓
身体機能を維持する
↓
歩ける・立てる・家事ができる
↓
日常生活で身体を使う
↓
身体活動量を維持する
という流れです。
つまり、
「代謝を上げるために運動する」
だけではなく、
「動ける身体を維持することで、結果的に活動量を維持する」
という考え方が重要です。
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まとめ
基礎代謝を考えるとき、理学療法士が見るべきなのは「体重」だけではありません。
重要なのは、
①筋肉量
②筋力
③歩行能力
④身体活動量
⑤ADL・IADL
です。
特に高齢者では、筋力トレーニングと日常生活での身体活動を組み合わせることが重要です。
「基礎代謝を上げる」という言葉を、
「筋肉を守り、動ける身体を維持し、日常生活で身体を使い続ける」
という理学療法の視点に置き換えると、より臨床的なアプローチになります。
基礎代謝を考えることは、単なるダイエットではありません。
「その人がこれからも動き続けられる身体をどう守るか」
を考えることでもあるのです。
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