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【事業再生#5】第二会社方式を活用した事業譲渡。軌道に乗った第二会社|建設業者の再生プロジェクト vol.5

破産寸前の会社に、希望の道は残されているのか──。

実際に再生支援の現場に立ち会った私が、再建に挑んだ企業の「リアル」を記録します。

今回のクライアントは東北地方の建設業。
彼らの事業再生実録を5話に渡って綴ります。

夫婦で切り盛りして、年商3億。
再生スキームや、経理・総務体制の再構築といった実務も含め、"机上の空論ではない"企業再生の記録です。

経営に悩む方、再建を模索する方、支援を仕事にする方にとって、現場感のあるヒントとなれば幸いです。

▼過去の記事はこちらから▼



第5話(最終章):再生から3年──出口と“その先”の設計


「うちの会社、もうダメかもしれない──」
車両はリース会社に回収され、税金も借入も滞納。
毎月の支払いすら見通しが立たない。

それから3年。この会社は、確かに立て直された。

・利益が毎月残るキャッシュ体制
・トラックを買い戻せるスキームの設計
・第三会社を活用した承継準備
・債務と“どう折り合いをつけたか”

第二会社方式での再建から、出口戦略、そして承継設計へ──本記事では、企業再生支援の“その先”に踏み込んだ実録をお届けします。


第一会社のその後

第一会社には、いま利益を生む事業は残っていない。

一部の社会保険料や労働保険料は、時効を迎えていた。

金融機関の借入は、保証協会付きの融資を中心に代位弁済がなされ、債権者は信用保証協会へと移った。

残債は大きく残っているが、資産も収益もない状態で、もはや返済は実質不可能だ。

代表者には個人保証がついていたが、個人資産もほぼ残っておらず、現実的な影響は限定的だった。

税金の滞納は一部残っているが、それについては無理のない範囲で分割で返済中である。


第二会社は軌道に乗った

一方、第二会社は明確に再生を果たしていた。

クラウド会計・kintoneの導入により、案件の受注・進捗・入金管理がすべて見える化され、経営判断のスピードも精度も格段に上がった。

外部コンサル(私)との月次ミーティングを通じて、経営課題と資金状況のすり合わせを継続している。

営業会議も活発化し、社内には明確な“風通し”が生まれていた。

人事評価制度を導入し、評価されるべき人が評価される仕組みを整えたことも大きかった。

次の管理職が育つ道筋が、ようやく見え始めていた。


人件費と車両効率の最適化

かつては、正社員雇用ばかりを繰り返していたことで人件費や社会保険料が肥大化していた。

再生後は、業務委託(親方業)への切り替えも進め、コスト構造の適正化を進めた。

車両についても、当初リースで確保していたトラックを償却後に買い戻し、
さらに新たに導入したスキームでトラックを追加調達。

・自己所有
・リース
・繁忙期はレンタル活用

という三段構えで、車両稼働率とコストバランスを両立。

結果、利益率は大幅に改善し、毎月キャッシュが確実に残る体制が整った。


第三法人の設立と承継スキーム

ただし──第二会社にキャッシュが残りすぎてもいけない。

そこで旧経営陣による出資で第三法人を設立。

そこに資金を適切に移すスキームを構築した。

第三法人は、第二会社からのトラックリース料を受け取り、将来的には第二会社の株式を取得して事業承継を完了させる構想とした。

第二会社の代表は詐害行為を避けるため、同業他社から招へいした人物を就任させていたが、いずれは旧経営陣の家族に承継していく準備を進めている。

第三法人は、その受け皿であり、布石でもある。


「支払わなくても大丈夫」は、簡単じゃない

第一会社に残した債務の一部は、結果的に“踏み倒す”形になった。

時効を待ったもの、繰り延べたもの、そして支払わなかったもの──

「そんなに厳しいなら、破産すればいいじゃないか」外部からは、そう見えるかもしれない。

でも、実際に破産手続きを依頼するにも、費用がかかる。

法人破産で弁護士に依頼する場合、通常は50〜100万円前後の弁護士費用がかかる。

加えて、裁判所への予納金や諸費用を含めると、100万〜150万円程度の現金が必要になることも珍しくない。

代表者個人の破産も別途必要になれば、さらに数十万円の負担が重なる。

あのときの第一会社には、その費用すら用意できなかった。

たとえ破産申立書を作成しても、提出までたどり着けない。

現場を回している社長にとって、時間的・精神的・金銭的に“破産さえできない”という現実があった。


このやり方が正しいとは限らない。評価が分かれることも十分に理解している。

ただ──「どうにかして従業員と家族を守りたい」と思っていたあの社長にとって、この方法しか“現実的な選択肢”は残されていなかった。

債権者からの督促が毎日続く中で、頭は次第に思考停止に陥る。

電話が鳴るたびに動悸がする。
ポストを開けるのが怖くなる。

そんな中で、「払わなくても大丈夫」と言われても、心はとても追いつかない。

だからこそ、外部のフォローが必要になる。それが、私がこの仕事を続ける理由でもある。

「事業を立て直し、利益を生み出し、その利益で払うべきものは払っていく」──これではダメなのか?

私はこのやり方で、何社もの再生に関わってきた。そのうちの1社が、この第1弾の物語だ。

完璧な解決ではない。誰もが満足する道でもない。だが、生き残る選択肢として、確かにここに一つの道があった。


🙌終わりに


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