私がこの国の代表です ~高校生総理~第一話【#創作大賞2024 、#漫画原作部門】

あらすじ

 その日、日本の大人達は――死んだ

 
総選挙を間近に控えた日本。
 18歳の誕生日を間近に控えた高校生、三島慎吾は幼馴染の空島葵とごく平凡で何気ない日常を過ごしていた。
 
 しかし選挙の開票日、テロにより投票した大人達が皆死亡。統治する者がいなくなり、他国による分割統治の話が進む中、伸悟と葵の家は領土線によって別たれようとしていた。

 このままでは大切な幼馴染の葵と離れ離れになってしまう。
 誰か何とかしてほしい。しかし頼れる大人はもういない。
 その時――慎吾は、一つの決断を下し立ち上がる
 果たして大人の死んだ日本で、伸悟達は一体どうなるのか?

 

キャラクター紹介


三島慎吾 ♂(17)
 ガチャをやたらと当てまくる勘のいい男。
 テストは赤点続きで、その度に幼馴染の空島葵に頼る。
 葵を一人の女の子として意識しているところがある

空島葵 ♀(17)
 伸悟の幼馴染。家が向かい同士。
 家がケーキ屋で自身もケーキ作りが得意。毎年伸悟の誕生日にケーキを焼いてあげている
 伸悟のことを一人の男の子として意識しているが、今の関係も悪くないと思ってる

北条恭介 ♂(19)
 高校生ながら政治討論会で議員の人達を言い負かすほど、政治、戦略等に詳しい。いずれ政治家になり、腐った大人達を排除しようと思っていた

第一話


母 「お父さん、お父さんしっかり!?」
TV 「速報です! 榊原候補だけでなく、鮫島候補も同様に――」
伸吾 「あ、あぁ……」

N その日、日本の大人の半数が――死んだ

 数日前――
 放課後、高校の教室
 集まっている男子生徒達

伸吾 「よっしゃあ! ☆5SSRいただきましたぁ!」
生徒 「だああ、なんでそんなにガチャ当てられるんだよ!?」

 三島伸吾、気持ちのいい笑顔で答える

伸吾 「なんでって、今なら当たりそうだと思ったから?」
生徒 「それ絶対外れるフラグ!」

 教室へと駆け寄ってくる女子、空島葵

葵 「伸吾君おまたせ! 委員会遅くなっちゃった」
伸吾 「葵!」

 二人、仲良く教室を後に
 教室に残ったクラスメイトがそれを羨ましそうに見送る

生徒 「あの二人幼なじみだろ?」
生徒 「家も向かい同士らしいよ」
生徒 「じゃあ、あれか? 窓から彼女の着替えがみえちゃってーみたいな?」
生徒 「見慣れた光景だってさ」
生徒 「ふざけんな!」

 帰り道、仲良く歩く二人

葵 「いっつもゲームばっかりして。また赤点とっても知らないよ」
伸吾 「その時はまた勉強よろしく」
葵 「も~そうやっていつもいつも。それなら今度の日曜日、買い物付き合ってよ」
伸吾 「それならって強引だな。まだ赤点も取ってないぞ」
葵 「いいでしょ」
伸悟 「なにか欲しいものでもあるのか?」
葵 「んーそういうわけじゃないけど」
伸悟 「?」
葵 「いいから、ほら行こ!」

 笑顔で先を行く葵を伸吾もやれやれとついていく
 街頭演説の前を通り過ぎるが、人はまばら。伸吾達も気にも留めない。

 日曜日――
 駅前で待ち合わせする伸悟

葵 「お待たせ!」
伸吾 「!?」

  葵のかわいい私服に伸吾ドキリ

葵 「じゃ、行こっか」

 二人で街に買い物に。服屋や雑貨店を周り、カフェでお茶したり 傍目には完全にデートである
 選挙ポスターの掲示板の前を通り過ぎるも二人は楽しそうで気にもしない

  夕方、帰宅する二人
  家は道を挟んで向かい同士、それぞれの部屋からお互いが見えなんとか話せる距離。不満げな葵が窓から体を乗り出す

葵 「もー……」
伸吾 「どうしたんだよ……」
葵 「…………」
伸吾 「散々付き合ってやっただろ。荷物まで持ってやったんだし」
葵 「……だって……結局伸吾君の欲しいもの分からなかったんだもん……」
伸吾 「は……俺?」
葵 「来週誕生日でしょ? プレゼントなにが欲しいのかなって思って探りを入れたけど、なにも反応示さないんだもん……」

  照れる葵と伸吾 

伸吾 「葵……そんなに知りたかったのか、俺の欲しいもの」
葵 「………………」
伸吾 「それなら、教えてやる。俺の欲しいもの――」
葵 「!」
伸吾 「ガチャの石だ! それさえあれば、俺は☆5SSRを当てまくってやる!」
葵 「……バッカみたい」

 呆れる葵とやれやれと苦笑する伸悟

伸吾 「ケーキ。今年は作ってくれないのか?」
葵 「……作るけど……」
伸悟「ならそれで十分だよ」
葵「それでもさ……」

 不満げな葵に向け、伸悟苦笑

伸吾 「じゃあ去年はチョコだったし、今年はイチゴのショートが食べたいな」
葵 「イチゴ……? 伸吾君イチゴそんなに好きじゃなかったよね?」
伸吾 「でもお前が好きだろ」
葵 「!?」
伸吾 「今年も一緒に食べよう、な?」
母 「伸吾ーご飯よ~」
伸吾 「わり、飯だ。じゃあな!」

 部屋を後にする伸吾を見送る葵。顔真っ赤

葵 「も、もう……」

 部屋から階段を降りていく伸吾 その顔はどこか恥ずかしそう

伸吾 (か、かっこつけすぎたかも……でも、特になんてことない一日。きっとこんな日常が続いてくれるんだろうな)

 リビング
 父、母、伸吾の三人が晩飯を囲んでいる

父 「なにぃ!? お前選挙行かなかったのか!?」
母 「仕方ないでしょ、忙しいんだから」
父 「だからってお前、期日前投票だってあるんだから」
母 「昼間っから寝転んで暇そうなお父さんと違って、主婦は休日もやることがあるの。その食事だって誰が作ったと思ってるの!?」
父 「むぅ…………」
伸吾 「そんなに大事なの? 選挙って」
父 「当たり前だ! 学校で習っただろ」

 苦笑の漏れる伸吾に、呆れる父

父 「選挙ってのは、この国の行く末を決める大事なことなんだぞ」
伸吾 「それは分かるけど……でも、よっぽど変なことをしなければ、誰がやっても同じじゃない?」
父 「……たとえば、お前の好きなその鶏肉、国が肉食禁止と言い出したら、どうする?」
伸悟「どうするって……」
父「文句の一つも言いたくなるし、従いたくもないだろ」
伸吾 「それは、まあ……」
父 「政治は必ずしも正しいことばかりとは限らない。だが黙ってちゃなにも変わらん。『これはおかしい』『間違っている』と言うためにも、選挙は大事なんだよ」
伸吾 「でも、政治って難しいからよく分からないし……」
父 「それは、まあ俺だって同じだよ」

 父の反応に驚く伸悟

父「やれ政党がどうとか、政策がどうとか難しいことばっかで俺だって全部を理解しているわけじゃない。多分大勢の人がそうさ」
伸吾 「ふーん…………」
父 「でもな、だからって誰かに丸投げしていいことじゃない。面倒だからと責任を放棄してたら、その人に都合よく扱われるし、文句を言うことすら許されなくなる」
伸吾 「…………」
父 「たとえ政治がよく分からなくても自分なりにちゃんと考える。責任まで捨てちゃならん」
伸吾 「……よく、わからない」
父 「あと一週間、選挙が遅ければお前も選挙に行けたんだがな。次までに考えておけ」
TV 「えー速報です! 榊原議員、当選確実、当選確実です。選挙事務所に繋ぎます」
父 「おぉ! 榊原さん当確出たぞ! ハハッ!」
伸吾 「そんな野球中継みたいに喜ばないでよ……」
TV 「おい、中継止めろ!」

  中継先の事務所、当選した榊原が突然泡を吹いて倒れ始める

伸吾 「え……?」
TV 「え!? 映像戻せ、スタジオに――!?」

 議員だけじゃなく周りの大人達も一斉に倒れ始める

伸吾 「な、なにが……」
父 「ぅ……ぁっ!?」

 同じように、父も泡を吹いて倒れてしまう

伸吾 「と、父さん!?」
TV 「スタッフなにしてんだ早く! AD!? プロデューサ!? しっかり!?」
 
 カメラが倒れ、映像が乱れる

伸吾 (なんで急にみんな倒れ……テレビだけじゃなく父さんまで……まさか母さんも!?)
伸吾 「母さん!?」

 慌てて振り返る伸悟

母 「いやああぁあああ! お父さん!」
伸吾 「え……」
  (母さんは、無事……なんで?)
母 「お父さんしっかり、しっかりして!? 伸吾救急車! 救急車早く!?」
伸吾 (一体、なにが起きてるんだ……!?)

  騒がしい声は、夜闇に響き続ける――

N 【後に、テロリストからの声明がネットに上げられた――】
 【彼らは選挙に使う投票用紙に毒を塗り、選挙に行った人達が、速報の出る20時に死ぬようにしていたのだ】
  【日本全国で開かれた総選挙、その投票率は――およそ52%。その数が、多いのか少ないのか、俺には分からなかった】

N  【翌日から日本は大混乱に陥った】
   【なにせ大勢の大人が亡くなったのだ。病院も警察もパンク状態】
  【だがそれだけじゃない。社会の歯車である人々がいなくなったことで、交通、配送、経済に各種インフラにいたるまで社会機能のほとんどが機能不全に陥った】
  【それでも、生き残った大人はいた。彼等も賢明に日本社会を元に戻そうとしていたのだが……】

 街頭演説をする大人。

 
演説する大人  「日本は今、危機的状況に陥りました。ですがこの危機をまとめる人物が必要なんです――」

 周囲のサクラのような人たちからオーッと声が上がる

演説する大人 「ですから、私が代表となりこの国を――」
オッサン 「ちょっと待てよ」
演説する大人 「え?」
オッサン 「お前……今生きているってことはよぉ、選挙に行ってないってことだろ?」
演説する大人 「そ、それは……」
オッサン 「そんな奴に政治を任せられるわけねぇだろ!」
 
 大人達が殴り合いはじめ、やがて暴動になっていく

N 【テロは、大人のメッキを強引に引き剥がした】
 【死んだ人間は、選挙に行った人。つまり、今生きている大人は全員、例外なく選挙に行かなかった人々だ】
 【今までは許されてきたことではあっても、この未曾有の危機的惨状で、その愚かさが一気に露呈し、大人達の化けの皮が剥がれたのだ】
 【こうして日本の大人の半数はテロで亡くなり――残り半数は自らの愚かさで死んだのだ】

 二日後――学校帰りの伸吾と不安げな葵

伸吾 「なんだよ、これ……コレが今まで暮らしてきた日本なのか?」

 街は治安の悪さが目立つ

伸吾 「たった数日でこれか。日本が日本じゃなくなったみたいだ……」
葵 「大人がみんな死んじゃって、社会がまともに機能しなくなったんだよ」
 「学校だって先生がほとんど死んで、生き残った先生も選挙に行っていないからってみんなに馬鹿にされて」
伸吾 「…………」
葵 「これから、どうなるんだろう……なんだか、怖い」

 震える葵の手を握る伸吾

伸吾 「大丈夫だ。心配するな……」
「なにがあっても葵は、俺が守るよ」
葵 「伸吾君……」
伸吾 「それに、社会だってなんとかなる。今までだってそうだろ? きっと誰かがなんとかしてくれる、だから――」

 街頭モニターに速報の字幕が流れる

TV 「速報。米政府が日米安全保障条約に基づき支援に乗り出すと発表」
伸吾 「ほら、見なよ! アメリカが助けてくれるって。これでなんとかなるぞ!」
葵 「そう、なのかなぁ…………」

N 【見かねた米政府が人道的支援として、医療、食料などを初めとした様々な支援をしてくれたおかげで、混乱は一時収まりを見せた】
 【治安快復にも乗り出したことで、秩序はギリギリ保たれた。そのことに反論する大人達もいたが……もはや彼らの言い分を聞く者はいない】
 【誰も大人の言葉を聞かず、若年層からはもちろん、大人同士ですら信用しない。醜い言い争いをよく見かけたが、それを浅ましいなと笑える余裕は生まれていた】
 【誰でもよかったのだ。例え他国のアメリカだろうと、あの平穏さえ取り戻せれば……】
 【混乱が集束を見せ始め、安堵の息を漏らしかけた時――それは起こった】
 
N 【中国の侵攻である】
   【「自国民保護のため――」とかなんとかよく分からない言い分を掲げ、日本に軍を差し向けようとした――俺にでも分かる侵略行為だ】
 【無論、米軍はそんな行動を許すわけもなく、米艦隊と一触即発「あわや戦争か!?」と緊張感が走る】
  【ロシアもアメリカの内政干渉を非難し日本への侵攻を示唆。その他の国々も同様に日本へ手を伸ばそうしはじめ、混乱は極まっていく】
  【一昼夜ごとに状況が目まぐるしく変わる今の日本は、まさに世界情勢の中心と言えただろう】

N 【翌日――早くも国連が動きだした。当初はアメリカの庇護下におかれるかと思われた】
 【しかし近隣国による強い反発を受け話は頓挫。日本の機能不全、治安維持、近隣国の侵略危機など早急な対応を求められる中で一つの案が提案される】
【各国による日本の分割統治である】

伸吾 「……………………」
葵  「……………………」

  向かい合うそれぞれの家。いつものように見つめ合う二人
 しかし二人を分かつように、二つの家の間を領土線の壁が敷かれようとしていた

葵「伸悟君……」
伸悟「葵……」
葵「離れたくないよ、伸悟君……」

 壁の向こうで泣き出す葵。しかし、なにもできない

伸悟「…………っ」

伸吾 (俺と葵の家が……別々の国に……!?)
  (変わらないと思ってた。一緒に学校に行って、一緒に遊んで……誕生日にケーキを焼いてくれてそれを一緒に食べて……そんな日常がずっと続くんだって……)
 (このままだと、俺達は別の国同士。離れ離れ……)
 (クソッ、なんでこんなことになるんだ……俺達がなにをした!? 誰か、なんとかしてくれ……っ!)

 無力感にさいなまれベッドでうずくまる伸吾

伸吾 「……………………」

 そんな時、父の言葉を思い出す

父 「でもな、だからって誰かに丸投げしていいことじゃない。面倒だからと責任を放棄してたら、その人に都合よく扱われるし、文句を言うことすら許されなくなる」
伸吾 「…………」
父 「たとえ政治がよく分からなくても自分なりにちゃんと考える。責任まで捨てちゃならん」
伸吾 「………………」
  (責任まで、捨ててはならない……)

 カレンダーを見る。葵の書いた誕生日の印が六日後に迫っていた。
それは分割統治決議の前日。

 一週間後、国会前――
 数人の記者が集まっている

記者 「各国首脳による、分割統治決議の締結はここ、現在ほぼ無人と化したこの国会議事堂で行われます」
  「日本の領土分割は日本国民として受け入れがたい事実です。しかし、それに待ったをかけられる人は日本にいません。はたして、日本は今後どうなってしまうのでしょうか……」

 各国首脳が衆議院議会内へ

米大統領 (遅かれ早かれ、こうなっていた……中国の侵攻は読めていたが、支援を渋れば国内外から批判されるし、彼の国もやりたい放題だ)
    (分割統治案を強引に通したが……それもどれだけ保つか……日本の首相め……頭痛の種を増やしおって、テロに倒れなければ俺が44マグナムで脳天打ち抜いてたぞ)
中国 (クソ、黙って見過ごせよアメリカ野郎!) 
  (アメリカと一戦交えるのはほぼ確実。それが自国内でないだけマシか……?)
ロシア (これをチャンスとみるか、それとも……)

 他の国々も浮かない顔ばかり

米大統領 (クソ、めんどうな事態だ……)
首相陣一同 (誰かなんとかしれくれっ!)

 米大統領、決議に署名しようとした時

伸吾 「お待ちください!」

 首脳陣、誰だ誰だと混乱

中国 「誰だキサマは?」

 制服姿の伸吾が現れる

米大統領 「ここは国連の決議が行われる場だ。お前のような小僧は――」
伸吾 「私は――私は、この国の代表です!」

 驚く一同

中国首相 「なっ……突然なにを言い出すかと思えば……警備さっさと追い出せ!」
警備 「で、ですが……仮にもこの国の代表と名乗る人物を一警備が追い出してよいものか……」
首脳 「なっ……」

伸吾 「日本の代表三島伸吾として申し上げます。たとえ国連の採択といえど、当事者のいない場で日本の領土分割などという採択を進められるなど、断じて許すことは出来ません」
  「これは立派な……な、内政干渉です。皆様、どうぞお引き取りください」

米大統領 「…………」
ロシア 「冗談はよせ、ハイスクールボーイが」
伸吾 「私は昨日、誕生日を迎え18歳となった立派な有権者です」
中国 「馬鹿を言うな! 突然現れてなにを言い出すかと思えば、さっさと――」
伸吾 「うるせーっ!」

 怒声が国会内に響き、驚く首脳陣

伸悟「余所の国の人間に、国の代表の資格がどうとか、とやかく言われる筋合いはないんだよ!」
中国 「なっ!?」
伸悟 「誰か何とかしてくれって思う。責任を丸投げしたい。でも、結局誰かが背負わなきゃいけないんだ!」
伸悟「この国の大人はみんな役に立たなくなった。だったら日本は、俺達若者が背負うしかない。その若者の一人が、この国の代表だと言うことに、なんの問題がある!」

 伸悟の勢いに飲まれたのか、一同無言になる

一同 「………………」
米大統領 「シンゴ・ミシマと言ったな。いいだろう。決議は見送ってもいい」
中国 「大統領!?」
米大統領 「認めざるを得まい。この案は日本の無政府状態を忌避した臨時のモノ。代表を名乗る者が現れたのなら、無視は出来ん」
中国 「だが……」
米大統領 「それとももっと別なやり方がお好みか? 艦隊戦でも市街戦でも、お望みとあらばいつでもいいぞ」
中国 「……っ」

 伸吾、胸をなで下ろす

米大統領 「だが同様に、日本の社会秩序悪化は見過ごすことはできん」
    「一ヶ月だ。一ヶ月以内に臨時政府を立て、社会秩序の安定を計れ」
伸吾 (い、一ヶ月!?)
米大統領 「それができない、またはそれ以内に現状より酷い情勢になったと判断すれば、決議は強行する。いいな?」
伸悟 「――っ」

 緊張を抱きながらも、決心する彼の目は鋭い

伸吾 「――全力を尽くします」

 各国首脳が国会を去り、伸吾も国会を後にしようとする
そこを記者達に取り囲まれる

マスコミ 「三嶋伸吾さんですね! 一言お願いします」
伸吾 「え、ええ?」
マスコミ 「なにか方策はあるのでしょうか?」
「今のお気持ちを!」
大人 「よく言ったぞ!」
大人 「伸吾君、我々が支援するよ!」
伸吾 「は、はぁ……」

伸吾 (たった一ヶ月……その間になんとかしないといけないなんて)

 記者の奥で、待っていた葵と目が合う
 フラッシュの光の中、緊張の糸がほぐれ、ほっと笑顔が溢れる

伸吾 (でも……葵と離れたくない。彼女と離れ離れにならないために、誰かに丸投げするわけにはいかないんだ!)
  (出来るかどうかも分からないけど、それでも、やってみせ――!)

謎の男 「できるわけねぇだろ」

 フードを被った謎の青年が現れ、マスコミの囲いが割れる
 伸悟の前にやってくる青年は背丈が同じくらいで同年代に近い

謎の男 「ダメな大人達に囲まれて、いい気になってるような奴が日本の代表? 臨時政府を立ち上げる? 出来るわけねぇだろ」
伸吾 「なっ……そんなの、やってみないと分からないだろ!」
謎の男 「ほーなるほど……」
   「ところで……臨時政府を立ち上げるということは、お前は総理大臣になるのか?」
伸吾 「え? あ、そ、そうだ……俺は昨日18歳になって立派な有権者――」
謎の男 「選挙権は、選挙に投票できる権利で、議員として立候補できる権利とはまた別だ」
伸吾 「は……?」
謎の男 「お前、被選挙権を知らないのか?」
伸吾 「ひ、せんきょけ……え?」
謎の男 「国会議員に立候補する資格は最低でも満25歳以上。18歳になって有権者になろうが、今の年齢じゃ総理どころか議員にもなれないが、どうするつもりなんだ?」
伸吾 「え、えぇぇぇえ……」

 冷や汗ダラダラの伸悟に、記者たちの容赦のないフラッシュが焚かれる
 
   第一話 END

第二話

第三話

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