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60代のリアル|第51話:【実録・介護の崖っぷち】排水制限でトイレが使えない!?台風の日に職場で起きた、前代未聞のトラブル


前回までのあらすじ

6月2日(火)の夕方、私は母の入院先である病院の退院調整看護師さんから一通のメールを受け取りました。

その内容は、見学と面談を終えたばかりの「二つ目の介護医療院」から、母の受け入れにあたっていくつかの具体的な質問がきている、というもの。

「ついに前向きな検討が始まった!」と期待を弾ませた私は、一刻を争うと思ってすぐにその施設へ電話をかけますが、一歩遅く、担当者はすでに退勤したあとでした。

もどかしいすれ違いに焦りと落胆を覚えながらも、私はすぐにパソコンを開いて看護師さんへ状況とお礼のメールを返し、翌朝の電話を待ち侘びることにしたのです。



6月3日(水)、朝5:10

目が覚めて新聞を取りに玄関を出ると、外は物凄い風と雨の音に包まれていました。ゴーという地鳴りのような風の音が、容赦なく窓を打ちつけています。

今日(6月3日)はちょうど、燃えるゴミの収集日でした。

けれど、母が一時入院してからは、我が家から出るゴミの量は格段に減っています。出そうと思っていたゴミ袋を持ち上げてみると、驚くほど軽いものでした。

(こんなに軽いと、外に出した途端に強風でどこかへ飛ばされてしまうかもしれない……)

ご近所に迷惑をかけてもいけないと思い、私は今日ゴミを出すのを思いとどまりました。

外の様子を見る限り、交通機関への影響も十分に予想されます。

「電車が遅れるかもしれないから、今日は早めに家を出よう」

そう心に決めると、大急ぎで朝食を済ませて身支度を整え、いつもより前倒しのスケジュールで駅へと向かいました。

一歩外へ出ると、視界が白むほどの激しい雨。

土砂降りの中、ゴミ出しをしている人の姿はちらほら見かけるものの、自分と同じようにこれから仕事へ向かうような出勤姿の人は、不思議なほど見当たりませんでした。



地下鉄では

その違和感は、地下鉄の駅に着いたとき、確信へと変わります。

「……誰もいない」

いつもなら、この時間帯の駅は通学する学生さんたちでごった返しているはずでした。

けれど、ホームを見渡しても学生さんの姿は一人もありません。台風のせいで、今日は休校措置が取られたのかもしれず、あるいは一般の会社員の方々も一斉に在宅勤務に切り替えたのかもしれせんでした。

それにしても、人が少ない。

やがてホームに入ってきた電車に乗り込むと、私はさらに驚くことになりました。 遅延を覚悟していたにもかかわらず、ダイヤが乱れるどころか、車内はガラガラで余裕で座れるほどだったのです。

(いつもこのくらい空いていてくれたら、通勤も楽なんだけどな……)

そんなことを場違いにも思いながら、電車は驚くほどスムーズに私を職場へと運んでくれました。



職場に着くと大変なことに・・・

無事に職場に到着したものの、一歩ビルの中に入っても、外の嵐の凄まじさは肌で伝わってきました。

窓ガラスは叩きつける激しい雨で白く遮られ、外の景色はほとんど見えません。ただ、建物越しにも「ゴー」という不気味な風の音が響き渡っていました。

席についてしばらく経った頃、館内に突然、防災センターからのアナウンスが流れました。

『業務連絡いたします。現在、排水の許容量を超えており、これ以上使用すると水が溢れてしまう恐れがあります。そのため、館内のトイレは地下1階を除き、すべて使用禁止とさせていただきます。

「えっ、地下1階以外は使えないの……?」

まさか職場のトイレが制限されるなんて。

ビルのトラブルを耳にして、私は改めて、外の台風が尋常ではない規模であることを突きつけられたような気がしました。

外の景色も、社内の空気も、どこか緊迫した非日常に包まれている。 そんな落ち着かない空気の中で、私の心には、昨日からずっと喉にトゲのように刺さったままの「宿題」がありました。

二つ目の介護医療院の担当者の方は、もう出勤されているだろうか?

私は手元にある受話器を見つめながら、昨日聞くことができなかった「質問の返事」を受け取るため、タイミングを計り始めていました。

つづく


第52回はこちらです。↓


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