60代のリアル|第62話:【実録・無謀な事務作業】『2名体制はできない』と言われ、限界ギリギリのスケジュールを一人で乗り切らなければ・・・
前回までのあらすじ
退院調整看護師さんから届いた、転院先候補に関するシビアな打診メール。そこには月30万円を超える医療費の提示や、食事量が減っても点滴をしないという施設方針、お薬の変更確認など、母の命とお金に関わるリアルな現実が並んでいました。
私は冷静な目と娘としての愛情を込め、費用面の見通しやお薬の安全性を第一に考えた丁寧かつ毅然とした返信を送り、一息つきます。
そんな介護の緊迫したやり取りの裏側で、日々の仕事もまた、待ったなしの怒涛の局面を迎えていたのです──。
6月11日(木) 朝
時は少し遡り、退院調整看護師さんからあのシビアなメールを頂く日の朝のことです。
この日は社用での外出が控えていたのですが、前日は引き継ぎボックスの書類対応や突然の電話(子宮脱のリング交換の件)に追われ、外出準備は完全にゼロのままでした。
「このままでは絶対に間に合わない……!」
焦る私は、いつもより大幅に時間を早めて出社しました。
ところが、ここでパートタイム勤務ならではの壁にぶつかります。セキュリティの関係上、正社員の方でなければ事務所の鍵を開けることができないのです。
早朝の静かな廊下で、どなたか社員の人が来るのを今か今かと待つ、あのもどかしい時間。 1分1秒が惜しいのに、ただ足踏みをするしかありません。
やがて出社してきた正社員の方に鍵を開けてもらうやいなや、私は自分のデスクへと飛び込みました。
パソコンを立ち上げ、猛スピードで外出用の資料を作成。仕事の基本であるダブルチェックを正社員の方にきっちりしてもらい、資料をカバンに滑り込ませて、予定通り社用外出へと出発したのです。
外出から戻ると
無事に書類を提出し、オフィスへ戻ってきた私。ここからが、この日の本当の戦いでした。
午後からのスケジュールには、気が遠くなるような重労働が待っていました。手作りで作成しなければならない請求書が「60件」、そして監査用に使用する伝票類の山のような整理業務です。
以前、私はあまりの業務量に「2名体制にしてほしい」と直訴したことがあります。しかし、そのとき課長から返ってきたのは「2名体制はできない」という冷たい一言でした。
つまり、この膨大なスケジュールを、誰にも手伝ってもらうことなく、たった一人で時間内に片付けなければならないのです。
しかも、翌日の6月12日(金)は、以前から決まっていた「健康診断」のために休暇をいただくことになっていました。
休むということは、その間の引き継ぎも今日中に終わらせなければならないということ。 迫る定時。終わらない60件の請求書。頭をよぎる母の介護の心配。頭が破裂しそうなほどの猛烈な忙しさの中で、私は必死に手を動かし続けました。
限界ギリギリの状態でキーボードを叩きながら、私はふと、おかしな矛盾に気づいて心の中で突っ込んでいました。
(これだけ寝不足とストレスでボロボロの状態で、明日受けるのが『健康診断』だなんて。これじゃあ『不健康診断』の間違いじゃないかしら……?)
そんな自虐的なユーモアでも浮かべなければ、やっていられないほどの過酷な1日。なんとかすべての業務と引き継ぎを終えた私は、泥のように眠るために帰路についたのです。
つづく
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