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60代のリアル|第34話:【実録・介護の崖っぷち】激しい雷雨の日暮れの衝撃── ただの手続きのつもりだった、ケアマネジャーさんの静かな一言で、母がもう帰ってこないことを知った。


前回までのあらすじ

退院期限が迫るなか、紹介された介護医療院は3ヶ月待ちなどの厳しい現実でした。

費用面を抑えるための「世帯分離」という重い手続きの提案に、深い迷いを抱えます。

さらに病室へ向かうと、母は「おうちに帰りたい」と涙を流したのです。 母の介護保険証の期限は7月31日。

入院している今のうちに区役所の面談を済ませられるよう、 私は手続きを早めるために、激しい雷雨のなかケアマネジャーの元へと向かいました。




5月13日(水)16時過ぎ

病院から帰宅するため、地下鉄を降りたときのことです。見上げた空には、今にも泣き出しそうな、どんよりとした曇り空が広がっていました。

一度自宅に戻った私は、すぐにケアマネジャーさんへ電話を入れました。あいにく不在だったため、メールで「折り返しの連絡がほしい」と伝言を残します。 折り返しの連絡が入ったときには、外はすでに激しい雷雨になっていました。

翌日の5月14日は、私は仕事が入っています。

どうしても今日、5月13日のうちに書類を届けてしまいたかった私は、無理を言って「これからすぐにお伺いします」と伝え、介護保険証を手に激しい雨の中を歩いて向かいました。

このときの私は、明日の仕事のこと、迫りくる期限のこと。ただ目の前の段取りを必死にこなすことだけが頭にありました。

ですが、ケアマネジャーさんに介護保険証を手渡した、まさにその瞬間でした。

「もう、これで終了になるのですね」

ケアマネジャーさんから静かに告げられたその一言に、私は「はっ」と息を呑みました。

ケアマネジャーさんとの長かったお付き合いが、これで終了になる。 それはつまり――母はもう、我が家に帰ってくることはない、ということなのだろうか?

その事実を突きつけられた瞬間、目の前が真っ暗になるような衝撃が走りました。 母はもう帰ってこない。私はもう、独りぼっちになってしまった。

これからどうしたらいいのか、分からなくなってしまいました。

あんなに必死に雨の中を歩いてきたのに、一瞬にして、何もする気力がなくなっていくのを感じていました。窓の外では、ただ激しい雨の音だけが鳴り響いていました。



母のいない、静かすぎる家で、私はただ呆然と立ち尽くしていました。

あんなに必死にこなしていた事務手続きの向こうに、こんなに冷たい現実が待っていたなんて。

独りぼっちになってしまったような暗闇のなかで、時間は容赦なく、次の局面へと動き出そうとしていました。

つづく


第35回はこちらです。↓


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