第9話 入学式と、愉快な先輩たち(メイド✶アリサ―Wishmoreな学園日記)
※区切りの関係で、文字数がいつもの倍になっております……!
お休みしつつ、ゆっくりお楽しみください🌿
前回のお話📕
登場人物紹介など、おおまかな内容がわかるページ📝
(✶新学期初日。『宝探し』の手がかりが見つからないまま、朝の業務をこなしたアリサ。
担当生徒のルミナスに素っ気なくされつつ、時間は過ぎて……)
時刻は午前九時ちょっと前。
あたしはずらーっと横並びになったメイドの一員として、講堂の一番後ろに立っている。もうすぐ、ここで入学式が行われるのだ。
赤いビロードの背もたれがついた座席には、すでに二、三年生、そして教員たちが腰掛けてる。
ステージ手前の一列が空いているのは、これから入場してくる新入生が座るからだろう。
あたしは、談笑している生徒たちの背中をぼんやり見つめた。
フローラ芸術学園の全校生徒は、例年六十人前後。そして、どの年も男子が多いらしい。こうして見ても、たしかに男、男、男……。
お嬢様、大丈夫かなあ……。
幼いころ、体が弱かったこともあって屋敷にこもりきりだったお嬢様は、同年代の男子と接した機会なんてほとんどない。女子だって、あたしくらいのものだ。
この学園で、お嬢様にお友達がたくさんできるといいな。あんなに頑張って合格されたんだもん、すっごく楽しい学園生活を送ってもらいたい。
……お。いつの間にかステージには……って。
「(シーナ先輩っ?)」
あたしは思わず目をまん丸くしちゃった。
ステージ端に置かれたスタンドマイクの前に、シーナ先輩が立っているからだ。
「(あはは、新人ちゃんナイスリアクション~)」
顔をパッと隣りに向けると、丸眼鏡が印象的な先輩があたしを見下ろしていた。
オレンジっぽい髪を肩上で切りそろえてて、ぱっちり二重の瞳は栗色。八重歯を覗かせて、にたあって悪戯っぽく笑ってる。年はあたしより少し上くらいかな。
「(司会進行はずっとメイド長がやってたんだけど、今年はシーナちゃんが抜擢されたんだよ)」
「(へえ……! すっごいんですね、シーナ先輩って)」
「(ほんとそれ。新学期前にはさあ、王城勤務の試験を受けないかってメイド長から声かけられたらしいよ? だけど、断ったんだって)」
「(えー、なんでですか?)」
「(わっかんない。まあ、ウチら的には助かったけど。あの生徒会長のお世話は、シーナちゃんにしか務まらないし)」
「(生徒会長……?)」
「(あ、まだ見てないか。シーナちゃんの専属なんだけどさ、いやあ、超個性的な人――)」
「(ふ、二人とも! 静かにした方がいいですよ……!)」
丸眼鏡の先輩が盛り上がり始めたところで、逆隣りの先輩が慌てて声をかけてきた。
焦茶色の髪をハーフアップにしてて、頬に散ってるそばかすが素朴で可愛い。すっごい困り眉……って…!
メイド長にめっちゃ見られてる…っ!
教員席の一番後ろから、あたしと丸眼鏡先輩を凝視……というか、睨みつけてるんですけど!
「(やばっ! また後でお話ししようね~、新人ちゃん)」
あたしの返事も利かずに、悪びれもなく前に向き直った丸眼鏡先輩。なんか大物そうだ。
「(ありがとうございました)」
お説教の危機から救ってくれた困り眉先輩にこっそりお礼を言うと、無言で微笑みかけてくれた。丸眼鏡先輩と同い年くらいかな。いい人そうだ。
そんな感じで両隣の先輩との交流を終えると、前方の扉が開き、新入生たちが入場してきた。その中にお嬢様の姿を見つけた瞬間、あたしのテンションは急上昇!
うんうん! やっぱり制服がよく似合ってらっしゃる……! 眼福っ!
お嬢様が蜂蜜色の髪をさらりとなびかせながら席につく。背筋がぴんと伸びていて、凛とした後ろ姿だ。
……はあ。お嬢様の専属メイドって誰なんだろう? 羨ましい……。
ため息をつきつつ、あたしは視線を動かした。
あ、ルミナス様だ。
薄桃色の髪が珍しいし、後ろ姿だっていうのにイケメンオーラがすごいから目立ってる。
……朝、素っ気なかったよなあ……。
いや、恩人にケチつける気はないんだけどさ、どうせお仕えするなら仲良くなりたいし、ちゃんとお役に立ちたいなって思う。
もやもやしているうちにもシーナ先輩の司会進行により入学式はどんどん進み、ポッコリお腹の学園長(有名な画家らしい。たしかに、ベレー帽が似合いそうな感じだった)からの祝いの言葉やら、初々しい新入生代表の挨拶やらが終わった。
ちなみに、名誉学長であるシルビオ・ローズさん、つまりルミナス様のお父様は事業の関係で欠席らしい。
忙しいんだね、さすが国を代表する建築家。
「――生徒会長挨拶」
お、ついに噂の生徒会長のお出まし?
わくわくしながらステージを見ていると、壇上に上がってきたのは……超濃ゆい美男子だった!
長い金髪を赤いリボンを使ってポニーテールにしてて、鮮やかな青い瞳はここから見てもわかるくらい長い睫毛に縁どられている。
それに……顔半分には、蔓草みたいな模様が描かれてて……
いったん落ち着こう。
……いやいや! その制服アレンジあり!?
肩の部分にキラキラな金の飾りがついてて、どこの王子様!? って感じだし、背中からでっかい翼が生えてるんですけど!
「この日を待ちわびていたぞ、新入生諸君!」
バーン! と両手を広げて、生徒会長が声高らかに叫んだ。
お嬢様が、びくっ! ってしたのが遠目から見てもわかる。可愛いっ!!
「俺が生徒会長のクレオ・カウベリーだ。見ての通り絶世の美男子だが、なに、緊張することはない。クレオ会長と気軽に呼んでもらえたら幸いだ。よろしく頼む」
上級生の列から「クレオ会長〜!!」って元気な声があがった。続いて、どこからか起こった拍手がだんだんと大きくなっていく。その合間からは、控えめだけど楽しげな笑い声が聞こえてきた。
ふむふむ。この会長、色々とあれだけど、なかなか慕われてるみたいだ。
「フハハ! いいじゃないか、その調子だ!」
「クレオ様、続きを」
「ああ、そうであったな。まずは入学おめでとう。君たちを心から祝福しよう」
シーナ先輩のおかげで、ようやく挨拶が始まった……と思いきや。
「さあ、この翼をとくと見るがいい! これは入学式……つまり! 『希望に満ちた日々への旅立ち』をイメージした作品だ! 隣にいる専属メイド、シーナと白鳥の羽根を採取し、翼を模して……」
ちょっと待って……。あんな巨大な翼、つくるのに何本羽根必要なの!?
シーナ先輩……なんてタフ。
「クレオ様、話が脱線しています」
「いかんいかん、つい白熱してしまったな! ――つまりだ、新入生諸君。この学園に在籍している上級生は、みな俺のように才能溢れる者ばかりだ。素晴らしい講師の先生方からはもちろん、俺たちからも存分に学び、自らの世界を広げてもらいたい」
まっすぐな瞳で会場を見回したクレオ会長。
その声は静かに、だけどはっきりと会場に響いた。新入生たちの熱気が高まったのが、なんとなくだけど伝わってくる。
「……さて、ここからは上級生諸君にもよく聞いてもらいたい。今年は創立十五周年を記念して、例年にはない催しが行われることが決定した。
シーナ、詳しい説明を頼む」
「はい、畏まりました」
シーナ先輩が説明したのは、『最優秀生徒賞』についてだった。
学園では毎年一回、学科ごとにコンテストが催されているらしい。自分の作品や演奏を披露して、来場した審査員——王族や芸術家に存在をアピールするチャンスになっているんだって。
で、それとは別に、全校生徒の中から一年を通して審査員を最も楽しませた生徒『最優秀生徒』をひとり選ぶっていうのが今回の試み。
その生徒には、豪華記念品が贈られるらしい。
「――と、いうことだ。発表は十二月。終業式にて行われる」
会長はシーナ先輩の説明をまとめると、大きく息を吸った。
「諸君! 学年など関係ない、みながライバルだ。全力でぶつかり合おうではないか!」
おお~っとどよめきが起こる。熱気がすごい。生徒たちの芸術家魂に火が点いたって感じだ。
なぜかあたしまで燃えてきたぁ!
ここまで士気を高めるクレオ会長って、すごい人なのかも!
* *
入学式後。メイドたちはそれぞれの仕事にとりかかるべく、分散して講堂の外に散っていった。
生徒たちが授業を受けてる間、メイドは基本的に雑務をこなすことになってるんだ。敷地内の掃除とか、備品の確認とかね。
あたしは洗濯係だから、今から洗濯場に行かなくちゃいけないんだよね。
案内板をじぃーっと見つめる。
ええと、場所は――。
「新人ちゃ~ん」
ちょんちょん、と肩を叩かれた。
軽く振り返ると、そこには入学式の前にちょっと話した、丸眼鏡先輩と困り眉先輩が。
「今週洗濯係でしょ? ウチらもなんだ。シーナちゃんに洗濯場まで案内するように言われてるし、一緒行こ~」
丸眼鏡先輩が楽しそうに笑う。隣りの困り眉先輩も控えめな笑顔だ。
「ありがとうございます。よろしくお願いします」
あたしがぺこりと頭を下げると、丸眼鏡先輩がぴょんと近付いてきた。
「おっけーおっけー。あ、ウチはロッタ。シーナちゃんと同期で、今年で四年目だよ」
「わ、私はノエルノといいます。に、二年目です」
困り眉先輩あらためてノエルノ先輩が、どもりながら困ったような笑顔で自己紹介してくれた。
「あたしはアリサです。よろしくお願いします、ロッタ先輩。ノエルノ先輩」
「ロッタ先輩、だって~。かっわいい~」
急にむぎゅっと抱きつかれた!
「なんですかいきなり!」
「いやあ。アリサっち、ちっこいのに礼儀正しいねえ~」
「アリサっち!?」
「可愛いでしょ~?」
「はあ。っていうかあたし、身長は確かに低いですけど、十八歳です」
「ええ!?」
あたしからパッと体を離すと、今度はオーバーに仰け反ったロッタ先輩。
かと思うと、人差し指を顎に当てながら腰を軽く曲げて、まじまじとあたしの顔を覗き込んできた。ちなみに、ノエルノ先輩もぽかんと口開けてびっくりって顔してる。
「近いです……先輩」
「へえ、童顔だねえ~。十二歳くらいかと思ったよ」
聞いちゃいない!
「よく言われます。……っていうか、そんなにまじまじ見ないでください」
「ああ、ごめんごめん。ウチってば、かわいい女の子大好きでさあ~」
「はあ」
「やだ、もしかして引いてる?」
けらけら笑うと、ロッタ先輩はあたしの肩をバシバシ叩いてきた。
「ウチは十九。一歳しか変わらないし、カッチカチの敬語じゃなくていいからね。あ、ちなみにノンノも十九……ってなわけで、三人仲良く出発しますか!」
「わっ」
遠慮なく腕を組まれて、あたしは引っ張られるようにして歩き出した。その後ろに、苦笑いのノエルノ先輩が続く。ノンノって、ノエルノ先輩のことだよね? 可愛いニックネーム。
あ、そうだ。
「お二人の担当生徒ってどんな方なんですか? あたしは――」
「ああ、ルミナス様でしょ~? もち知ってるよ~」
ロッタ先輩はにたあって笑うと、あたしの斜め後ろを歩いてるノエルノ先輩に視線を向けた。
「ノンノ、良かったねえ~。仲間ができて」
「仲間?」
「この子の専属、ルミナス様のいとこなんだよ。カリム・ローズ様っていって、建築科の二年生。これまた美形でさあ、二人合わせて学園の二大イケメンって呼ばれてるんだ。顔は全然似てないんだけどね」
「へえ……ルミナス様のいとこ……。って、クレオ会長はイケメン枠に入ってないんですね」
「そりゃあ、あの人異次元だもん! やけに彫り深いし、彫刻かっての!」
「たしかに!」
思わず吹き出すと、ロッタ先輩も「でしょ~?」って楽しそうに笑った。
「話を戻して〜っと。
ルミナス様とカリム様の女子人気はねぇ、ほんと凄まじいんだよ」
ロッタ先輩が語りだす。
「女子生徒は少ないしメイドは表立ってきゃあきゃあ騒げないから、普段はそれほどでもないんだけどさ~。
去年のコンテストの時なんて、目も当てられないくらいだったんだから」
「……というと?」
「島を外に開放したんだけどね。ルミナス様とカリム様はローズグループの御曹司でしょ? おまけに顔もいいから、女ども……失礼、一般の女性たちがプレゼント持って押しかけてさあ~」
「げ。そうなんですか?」
「そうそう。でも、アリサっちは運がいいよ~?
去年の騒ぎを受けて、今年は入場を制限しようって話になってるらしいから。
いやあ……ほんとに大変だったもんねえ? ノンノ」
あ、あれ? ノエルノ先輩、暗ーい顔して俯いてるんだけど。
「あの時は、さすがに見てて不憫になっちゃったよお。女たちの波に飲まれて押しつぶされて、『お話しくらいさせてくれたっていいでしょ!?』なんて叫ばれて」
「うわあ……」
「ほんと、女の情念って怖――」
「怖いんですっ! ええ、とっても!」
「ひえっ!」
ノエルノ先輩が急にものすごい勢いで会話に入ってきた!
面白いくらい青ざめてる!
「カリム様が、怖いんです……」
「へ? ファンの人たちじゃなくて……?」
「ええ……。二年経っても、私のことは『メイド』としかお呼びにならないし……そ、それはいいんですけど、何よりあの目が……いつも、睨みつけられてる気がして……っ!
初めての専属生徒があんな大物だなんて……私、本当にツイてないんですよ……! ああ、もう嫌!」
「え? ちょ、大丈夫ですか……?」
わっと顔を覆ってうつむいたノエルノ先輩を前にあたふたしていると、ロッタ先輩が呑気に笑った。
「だいじょぶだいじょぶ。平常運転だから」
「平常運転って――」
「アリサさん!」
どういうことですか? って聞こうとしたあたしの声を遮って、ノエルノ先輩がでっかい声を出した。がしっと肩を掴まれ、その場に引き留められる。目が血走ってるんだけど!?
「あなたは私の同士です! 助け合い、共に生き延びましょう……!」
「はい!?」
「いいですか? 何か失敗でもした日には、私達はローズグループの手によって存在自体抹消されるに違いありません……! ええ、そうですとも! カリム様のあの獲物の狙う蛇のような目は、まるで殺し屋――」
「ノンノ、落ち着きなって~。さすがに抹消はないないっ」
「いいえ! アリサさん、よく聞いてください……! カリム様だけではありません、ルミナス様だって優しい顔をしておきながら、お腹は真っ黒な方なんです! アリサさんの前任は、あの方にクビにされたんですから!」
……。
「ええっ!? そうなんですか!?」
「噂だよ、う・わ・さ」
「噂?」
「うん。あの子がどうして辞めたのか、真相は闇の中なんだよ。
ルミナス様と何か揉めたんじゃないかって話だったけど、まさかご本人に聞くわけにもいかないしね。……にしても、泣いて寮に帰ってきたかと思ったら、次の日いなくなっちゃっててさ~。
メイド長から辞職したって聞いた時には、さすがのウチもびっくりちゃった」
えええ〜……。
「ロッタさん、噂なんかじゃありませんよっ。大きな失敗をしてルミナス様の怒りを買い、辞職に追い込まれた……そうに違いありません!」
「おお、自信満々だねえ~。ルミナス様は爽やか王子様だし、メイドをクビにするような真似しないと思うけどなあ」
呑気に笑うロッタ先輩に合わせて笑ってみてるけど、あたしの顔、今絶対引きつってるわ。
ルミナス様と前任の間に何があったんだか知らないけど、ヘマはしないように気をつけよっと……。追い出されたら、ほんとシャレになんない。
っていうか。
「私がこのタイミングで雇われたということは、前任の方が辞めたのって、最近なんですか?」
「ううん、もう七、八ヶ月は経つんじゃないかなぁ?」
「え?」
ロッタ先輩の意外な返しに、あたしはきょとんとした。
「じゃあ、その間は誰がルミナス様のお世話を?」
「メイド長だよ。これまた謎なんだけど、新人を雇うっていう話をルミナス様がことごとくつっぱねたらしくてさ」
「へえ……なんでですかね?」
「そんなの、こっちがアリサっちに聞きたいくらいだよ~。ルミナス様がようやく迎え入れた新人……しかも、ご本人の推薦ときた! 実際、どういう関係なんですかあ~? お子ちゃまだと思ってたけど実際そうじゃなかったし、実は秘密の関係だったり……」
「ええ!? アリサさん……命知らず……っ」
「違いますから! ノエルノ先輩も、そんな化け物を見るような目で見ないでください!」
思わずムキになっちゃったよ。だって、あたしとルミナス様がどういう関係だって?
誤解されたままなのも嫌だから(というかルミナス様に申し訳ないから)、あたしは事の顛末を二人に説明した。
お嬢様云々の話は伏せたから、専属メイドの試験を受けたかったのに募集が終わってて、困ってたところにルミナス様が現れて救いの手を差し伸べてくれたってことだけね。
「――ふうん、なるほどねえ。なーんだ」
「……怪しい。声をかけてきたのには、絶対裏がありますよ」
唇を尖らせたロッタ先輩と、震えてるノエルノ先輩。
なんていうか、今更ながらタイプが全然違くて面白いな、この二人。
「とにかく、あたしはクビにならないように頑張ります! お二人とも、ご指導のほどよろしくお願いします!」
「まっかせて~」
「こちらこそ、あたらめてよろしくお願いします。同士」
同士……っ!
たぶん何とも言えない顔をしているだろうあたしの目に、煉瓦造りの建物が小さく映り込んできた。あそこが洗濯場だ。
「それで、ロッタ先輩の担当はどんな方なんですか?」
到着したらのんびりお喋りしてる暇なんてないだろうから、今のうちに聞いておくことにした。
待ってました! って感じで、ロッタ先輩の眼鏡の奥の瞳がきらめく。
「それが! 超絶美少女なの! 前の担当生徒は男だったからさあ、この日を待ってたんだよ! 美少女万歳!」
ようやくあたしから腕を離すと、ロッタ先輩は言葉通り空に向かって万歳をした。
美少女かあ。まあ、フリィジアお嬢様には敵わな――。
「デュフフフ……。そのお方はね、美術科の新入生で、フリィジア・シャロン様っておっしゃるんだけど」
「ええ!?」
「な、なんですか……!?」
「およ? アリサっち、どした?」
「ロ、ロッタ先輩……。今、フリィジアって……」
「そだよ? あれ、もしかして知り合い?」
「知り合いも何も、あたしがお世話になっていた屋敷のお嬢様で……命よりも大切な方なんです! ここに来たのも、お嬢様のおそばにいたいからで――」
あ、余計なこと言った……!
後悔したけど、もう遅い。ロッタ先輩のきょとん顔が、みるみるうちにニヤニヤ顔に変わって……っていうか、待って。めっちゃ接近してきたんだけど!
「ち、近い近い! なんですか!?」
「その話、もっと詳しく聞かせて! 女の子同士の秘密の関係……大好物なの!」
肩に手を置かれて、ぐいっと顔を寄せられた。目がキラキラしてるし、ほっぺた赤いし、鼻息がめっちゃ荒い! ザ・興奮状態!
てか、女の子同士の秘密の関係!? 何の話!?
「ノエルノ先輩、助け……」
「アリサさん……。が、頑張ってくださいね」
「え!? やだ! おいていかないでください!」
「うんうん、これはいいネタになりそう……! 最高!」
「ネタって何ですか!? 離してください!」
「はい、まずは二人のなれそめからお願いしま~す!」
「ちょ、話を聞いてー!」

(✶次回も、メイドのお仕事回。
洗濯係の激務と、カフェでの席取りの模様をお送りします! ゆっくりペースですが、そのあとの更新で大きな展開がありますので、ぜひお付き合いください🥞🍴)
˚⊹⁺‧┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈‧⁺ ⊹˚.
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