第2話 採用試験と救世主②(メイド✶アリサ―Wishmoreな学園日記)
前回のお話📕
専属、メイド……。
え? 聞き間違いじゃ……。
「スカウトだよ。僕は学園に在籍しているんだが、わけあって今専属がいなくてね。推薦者がいれば教えてほしいとメイド長に声をかけられていたんだ。だから、ちょうど君みたいな熱意溢れる子を探して――」
聞き間違いじゃなかったあっ!
目の前の美男子に、ぱあっと後光が差す。
大天使様がここに……!
あたしは、すぐそばにあった彼の手を思わずぎゅっと握った。びくっと震えたのがわかったけど、この興奮は抑えられない……っ!
「やります! やらせてください! アリサと申します! よろしくお願いします!」
「……アリサさん、ね。こちらこそよろしく」
よろしくと言いつつ、さっと手を離された。
いきなりすみませんでした、だけど本当に嬉しいんだもん!!!!
「ル、ルミナス様! 困りますよ、そんな勝手に」
ん? ルミナス……って、なんか聞いたことがあるような……。
「何が問題なんだい? もちろん正規の試験は受けてもらうよ。メイド長ともその約束だしね」
ルミナス、ルミナス……。どこかで……。
「君も、それで構わないかな?」
「は、はい!」
って、思わず返事しちゃったけど、何の話!?
「いい返事だね」
超絶イケメン・ルミナス様がにっこり笑った。ま、眩しい……。
「というわけで、早速試験をお願いできるかな? 僕も早く結果が知りたいし、何度も足を運んでもらうのも申し訳ないからね」
あ、試験を受けるってことか。元々そのつもりだったし、全然問題ない!
こんな幸運滅多にないもん、絶対に受かってみせる!
ああ、神様天使様、ルミナス様ありがとう!
「うーん……わかりました。では、とりあえずメイド長をお呼びしますね。
えっと、アリサちゃんだっけ? ローズグループ御曹司の専属なんだから、試験、いつもより厳しいかもしれないよ? 頑張ってね」
「はい! ありがとうございます!」
お兄さんが扉の向こうに消えていくのを見送り……って。
「ローズグループ!?」
ぎょっとしてルミナス様を見上げると、彼は「ああ」と爽やかに微笑んだ。
「自己紹介がまだだったね。僕はルミナス・ローズ。こういう話はあまり好きじゃないけど、一応は名誉学長シルビオ・ローズの息子さ」
「め、名誉学長っていうか……めっちゃ……とても有名な建築家でいらっしゃいますよね!?
ローズグループといったら、国内で知らない人なんてほとんどいないってほど大きな建設会社ですし! そんなところの御曹司様が、あた、わたくしみたいな者を専属メイドにしてよろしいんですか!? もっとグラマーな美人の方がいいんじゃ……!」
「は、そんなのはお断りさ。僕は、君だから声をかけたんだ」
「ありがとう、ございます?」
つい疑問形になった。
だって、あたしのどこをそんなに気に入ったのかまるでわからない。だけどまあ、本人が良いって言うんだからいいか。
……って、あっぶない! 今この流れで「やっぱりこの話はナシで」なんて言われたら困るんだから! 余計なことはもう言わないようにしよう!
それにしても、だ。そりゃあ聞いたことがある名前のはずだよね。
シルビオ・ローズに容姿端麗な息子がいるってことはもちろん、その息子が建築じゃなく音楽の道を選んだって話もけっこう有名だし。
たしか、優秀なお姉さんがいずれ会社を継ぐ予定だとかなんとか……。
遠い世界の話だと思ってたけど、あの有名人が今目の前に……。はあ、びっくりしすぎて思わずでっかい声出しちゃったじゃん。
「ルミナス様、許可下りました! さ、こっちに」
扉の前で、事務員のお兄さんがあたしに向かって手招きしている。
「あ、はーい」
「頑張ってね」
「ありがとうございます! 絶対に合格してみせます!」
思わずガッツポーズをしてルミナス様を見上げると、紫色の瞳がぱちくり瞬いた。だけど、すぐにふっとやわらかく笑う。お、王子様だ……!
「それは頼もしいね。結果を楽しみにしているよ」
**
そんなこんなで、あたしは天使あらため、まるで王子なルミナス・ローズ様の協力を経て、無事に学園メイドの採用試験を受けることができた。
待ち構えていたのは白髪頭をすっきりまとめた
メイド長で、試験の内容は礼儀作法を試される面接と、準備された道具を使っての、家事一般に関する実技試験だった。
シャロン家では、もう一人のメイドであるクリスおばちゃんと二人で掃除に洗濯に料理……なんでもこなしてた。
だから腕に自信はあったし、お嬢様のおそばに行くためだもん。そりゃあもう、死ぬ気で頭と体を働かせたよね。
その甲斐あって、無事に合格!
結果を待ってくれていたルミナス様にお褒めの言葉をいただき、再会を誓い合ってあたしは上機嫌でアーティラスをあとにしたのだった。

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