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外国人技能実習制度改正に向けた最終報告書を読む【4】

外国人技能実習制度が大きな転換点を迎えている。本noteでは、外国人技能実習制度の改正を前に、改正に向けた提言をまとめている最終報告書を読む連載を実施している。今回は、その4回目である。

内心、本連載が終わるより前に改正の内容が公表されるのでないかと思っていたが、遠からずその予想は当たったようである。

つい昨日となる2月9日に、外国人技能実習制度が育成就労制度に変わる旨、今国会に法案が提出される旨が公表された。速度感それ自体は想像以上である。この速度感で改正が行われるとなると、その大枠は本連載にて紹介している最終報告書に概ね準じる形になるのでなかろうか。

というわけで、今回も最終報告書を読んでいく。前回は、3章 提言「1 新たな制度及び特定技能制度の位置付けと両制度の関係性等【総論】を読み進めた。今回はその続きである。総論以下の各論の話となっていくため、より具体的な内容が見えてくると思われる。

3章 提言「2 新たな制度の受入れ対象分野や人材育成機能の在り方」

本提言の内容は以下の通りである。

(受入れ対象分野)
① 新たな制度の受入れ対象分野については、現行の技能実習制度の職種
等を機械的に引き継ぐのではなく、新たな制度と技能実習制度の趣旨・目
的の違いを踏まえ、新たに設定するものとする。その際、新たな制度が人
手不足分野における特定技能1号への移行に向けた人材育成を目指すも
のであることから、新たな制度の受入れ対象分野は、特定技能制度におけ
る「特定産業分野」が設定される分野に限ることとし、国内における就労
を通じた人材育成になじまない分野については、新たな制度の対象とせ
ず、特定技能制度でのみ受け入れることを可能とする。
(人材育成・技能評価)
② 新たな制度は特定技能1号の技能水準の人材に育成することを目指す
ものであるため、外国人が従事できる業務の範囲については、外国人が現
行の技能実習よりも幅広く体系的な能力を修得できるよう、特定技能の
業務区分(注1)と同一としつつ、人材育成の観点から、当該業務区分の
中で修得すべき主たる技能を定めて計画的に育成・評価を行うものとす
る。
③ 受入れ機関は、技能修得状況等を評価するため、外国人に対して、
○ 育成開始から1年経過時までに、技能検定試験基礎級等及び日本語
能力A1相当以上の試験(日本語能力試験N5等)
○ 育成終了時までに、技能検定試験3級等又は特定技能1号評価試験 及び日本語能力A2相当以上の試験(日本語能力試験N4等) をそれぞれ受験させるものとする(注2)。
④ 従事させる業務の内容について、現行の特定技能制度において季節性 のある分野と整理している農業・漁業については、その業務の実情に応じ た受入れ・勤務形態も認めることを検討する。 (注1)農業分野の「耕種農業全般」、「畜産農業全般」等、特定技能外国人が従事する ことになる業務の区分をいい、各業務には、当該業務に従事する日本人が通常従 事することとなる関連業務も含まれる。 (注2)ただし、日本語能力に関しては、現行の技能実習制度における取扱いを踏ま え、各受入れ対象分野でより高い水準の試験の合格を要件とすることを可能とす る。

最終報告書

提言①について

簡素化してまとめれば、「技能実習制度の対象職種・対象分野と特定技能の対象職種・対象分野を一致させた方が良い」と提言されている。一方で、技能実習制度と特定技能制度の差異を丁寧に考慮すべきともある。

また、人材育成の観点において対象分野とすることが不適切なものについては対象から外す必要がある旨も盛り込まれている。つまり、現状の単なる人手不足をカバーする目的でのみ実施されるような在り方は適切でないといった考えが根底にあるように見受けられ、私としては好ましさを感じる。

提言②について

技能実習生が担当できる業務範囲を拡大できるようにする必要性が書かれている。人材育成・キャリア形成の観点において、職種・作業が細分化された上で従事可能な業務が制限されている状況では、特定技能への移行面でもネガティブに働く点に言及されており、納得感はある。

とはいえ、無制限に何でもやれるようにした方が良いと書かれているわけでない。条件付きで従事可能な業務を広げられるようにした方が良いと書かれている。この点についても納得感がある。

日本企業、とりわけ外国人技能実習生を必要とするような中小零細企業によく見られる、一人の人間が多岐にわたる業務を行わなければならなくなる状況に、外国人技能実習生が陥らないようにするための牽制でないかと想像する。

提言③について

平たく言えば、外国人技能実習生に対して日本語能力に関する試験の受験を義務化させるべきだと書かれている。また、その合格率等を受け入れ機関の評価として考慮すべきである点について触れられている。

現状の技能実習生の扱いが、実習生ではなく安く使える体の良い単純労働者になっており、技能実習という本来の目的に沿っていないことが、本提言の背景にあるのでないかと推察する。

そもそもの話、技能実習生を人手不足の対策として考えるのは不適切であり、人手不足に喘いでいるような育成能力を十分に持たない企業が、技能実習生を受け入れるべきではない。受け入れ機関の評価指標として、育成能力が加味される必要性は高い。

提言④について

提言に記載されている通り、主に農業や漁業といった季節性により労働需要が大きく変動する業務・分野に関する言及である。現状でも特殊な運用が実施されているが、今回の改正に際して、そうした現状や特殊な事情を考慮する必要性が盛り込まれている。

在るべき論としてどうかは悩ましい点があると見られるが、少なくとも対象業務・分野として季節変動性が大きい内容が入る以上は、考慮しなければならない。そもそも農業や漁業といった分野に育成能力があるのか甚だ疑問であるが、それこそ大人の事情といった話なのだろう。


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