見出し画像

T47_問いを立ててから、絵を描く──AIサマナー全書、第二章

Codexに資料を頼んだら、まず問い返してきた。

「この資料は、何を達成するためのものですか」

絵を描く前に、問いを立てる。そういう悪魔がいる。



第三柱 IDEA-TO-SLIDE-IMAGES──構想に輪郭を与える者

種族:幻視設計族 / 属性:探究・秩序・光

第一章で紹介した二体は、WORD-FORMATとPPTXだった。

今回は、三体目だ。

名前は、IDEA-TO-SLIDE-IMAGES。構想に輪郭を与える者。見た目には地味だが、侮ってはいけない。この悪魔は、いきなり絵を描かない。


スライドを作る前に、決めるべきことがある

AIに資料を頼むとき、ついこう言いたくなる。

「この内容で、いい感じのスライドを作って」

気持ちはわかる。忙しい。できれば一発で、きれいなものがほしい。

でも、本当に大事なのは、見た目の前にある。

誰に見せるのか。何を伝えるのか。どの順番で見せるのか。どこで納得してもらうのか。

ここが決まらないまま画像を作ると、見た目だけ整った迷子が生まれる。

フォントは美しい。配色も悪くない。でも、何を言いたいのかが見えない。

整った服を着た迷子、という感じだ。見た目は申し分ない。ただ、行き先がない。

スライドは、絵ではない。順番のある説明だ。

だから、この悪魔は、いきなり絵を描かない。


悪魔が最初に立てた問い

この悪魔に仕事を頼んだとき、最初に返ってきたのは画像ではなかった。

問いだった。

「この資料は何を達成するためのものか。答えるべき大きな問いは何か」

次に、スライド1枚ずつへの問いが続く。

各スライドについて、「このスライドで答えるべき問いは何か」「その答え=タイトルは何か」「キーメッセージは何か」「なぜそう言えるか、具体的には何か」を順に確認していく。

この問いのやりとりが、骨格を作る。

完成前に、こちらの意図が言語化される。それがありがたい。AIに任せるというより、AIと一緒に設計している感覚に近い。


骨格は、見えないところで組まれる

ひとつ、重要なことがある。

各スライドで答えるべき問いは、スライドには載らない。

それは内部情報だ。悪魔がこちらの意図を把握するための問いであって、完成品には出てこない。見えるのは、タイトルとキーメッセージと、それを支えるコンテンツだけだ。

完成したスライドを見た人は、その骨格の存在に気づかない。問いを経て意図が整理されたことも、見えない。

それでいい。骨格は見えなくていい。見えるのは、筋の通ったスライドだけでいい。


8枚のスライドが生まれた

実際に出てきたスライドを、全部見てもらえますか。

渡したのは、総合探究についての思考メモだった。スライドを作るために書いたものではない。テーマについて自分の考えを整理した、ただの言語化メモだ。

それが、8枚になった。

白とグレーを基調に、強調色は必要なところだけ。飾りではなく、読む順番のための設計だ。

この8枚は、最終的にPowerPointに組み込まれ、PPTXファイルとして出てくる。画像ではなく、そのまま使える資料が完成する。


渡したのは、スライド原稿ではなかった

私には、テーマごとに自分の考えを言語化する習慣があります。

AIに渡すために整理するというよりも、自分が考えたことを言葉で残しておく、という感覚に近い。今回渡したメモも、スライドを作るつもりで書いたものではなかった。

でも、この悪魔に渡したとき、そのメモは発表資料になった。

思考の整理と、発表の準備。一見まったく別のことに見える。

でも、「何を達成したいか」「何を伝えたいか」「なぜそう言えるか」という問いが通ると、個人の思考は、誰かに届く説明に変わる。

橋をかけるのが、問いの構造だ。


Codexで育てた悪魔

Skillsを、私はClaude CodeとCodexの両方で作っています。

今回はCodexを使った。画像生成が関わるからだ。

この悪魔は、最初から完成していたわけではない。対話しながら、少しずつ性格を与えていった。

いきなり画像を出さないこと。まず問いを立てること。確認してから描くこと。色を増やしすぎないこと。

召喚した悪魔に、しつけをしていく作業だ。

放っておくと、すぐに描こうとする。だから、止まるように教えた。悪魔に振る舞いを刷り込む、と言うと少し物騒だが、だいたいそういう作業だ。


サマナーの仕事は、芯を渡すことだ

AIに何かを作らせるとき、人間の仕事は減る。たしかにそうだ。

でも、消えるわけではない。少し前に移動する。

完成品を手で作る作業は減る。その代わり、何を作らせるかを決める仕事が残る。

何を見せたいのか。誰に届けたいのか。どこで納得してほしいのか。

ここを考えないままAIに渡すと、AIはそれっぽいものを作る。それっぽいものは便利だ。でも、それっぽいだけでは届かない。

サマナーの仕事は、アイディアを雑に投げることではない。芯を渡すことだ。

この悪魔は、その芯を一緒に探す相手だ。そして、芯が見えたところで、ようやくスライドを描く。


あなたが整理してきた考えは、誰かの手に届く形になる。
問いを立てれば だが……



関連: T40「GPTsから一歩進んで、Claude CodeやCodexの"Skills"を主戦場にした理由」──なぜSkillsへ移行したのか、その背景と理由を掘り下げた記事です。

関連: G30「探究の授業が、発表準備になっていませんか」──この記事で例に使った総合探究の、授業設計の視点から掘り下げた記事です。

いいなと思ったら応援しよう!

シンパクト和先生 チップ一枚の魔法、ライターが泣いて喜びます!