原油高騰で変わるチェーンストアの競争軸、環境対応が家計と安定供給を支える
中東情勢の緊迫化を背景に、原油価格の高騰と石油由来資材の供給不安が、食品・流通業界に重くのしかかっている。
包装フィルムやラベル、物流資材など幅広い分野でコスト上昇が進み、メーカー・小売各社は価格維持と安定供給の両立という難題への対応を迫られている。
こうしたなか、カルビーやカゴメでは、パッケージの簡素化やインク使用量削減など、省資源化を軸とした対応を加速。イオンも、価格凍結施策と並行し、脱炭素・脱プラスチックの知見を活用したコスト抑制に取り組む。
さらに、日本チェーンストア協会の新会長に就任した山本哲也イトーヨーカ堂取締役は、過剰包装の見直しや製配販一体での対応強化を提起した。これまで“環境対応”として位置付けられてきた脱炭素・脱プラ施策は、いまや資源高と供給不安に備える“経営戦略”へと意味合いを変えつつある。
一方で、生活防衛意識が高まるなか、業界には消費者との丁寧なコミュニケーションを通じ、冷静な購買行動と持続可能な消費意識を広げていく役割も求められる。
メーカー・小売の包装簡素化施策に応援を、普段の購買行動継続と大切に消費する機運醸成へ
カルビーが、中東情勢の影響を受け、「ポテトチップス」「かっぱえびせん」や「フルグラ」など14品について、パッケージに使用するインクの色数を2色に削減し、モノクロのパッケージに5月下旬から順次切り替えると発表し、大きな話題を呼んだ。
カゴメも、インクや塗料の供給状況の変化に対応するため「トマトケチャップ」3品で印刷部分を減らして一部を透明化したデザインのパッケージに変更し、5月下旬から順次切り替える。
こうしたメーカーの取り組みに対し、小売業界のリーダーからは「サプライチェーンへの負担軽減を図ろうという企業の施策については、国や国民も後押しして欲しい」と話す。
また「今後はさらなる値上げが避けられない。モノ不足そのものより、家計への影響が懸念される」と指摘する業界人もいる。
実際に、消費者の購買行動は冷静さを保っており、売り場に大きな混乱は見られていない。「ローリングストックを実践している消費者もいる。震災など災害の経験などもあり“買い占めは望ましくない”との認識も広がっているためではないか」と、ある食品スーパー関係者は分析する。
ただ、中小スーパーの売り場では、棚によっては空きが目立つケースも一部でみられる。特売商品や買い得価格の商品への需要の集中など、購買行動に変化の兆しが出始めている。
先行きが見通せないなか、食品・流通産業には、消費者との丁寧なコミュニケーションを通じ、普段通りの購買行動の継続と、食料を無駄なく大切に消費する意識を醸成していくことが求められる。
そして製配販が一体となり、中長期的な視点に立ち、石油資源への依存度軽減を進め、地球環境への負荷低減とコスト軽減に努めていく必要がある。
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