【小説】疲れたSS(スクリーンショット)SIerは世界を救えるのか?#4
第4話目となります。物語の核心であるスナップショットも出てきます。
乞うご期待!
もしよろしければこちらの歌をお聴きになりながら読んでみてください。
※音量ご注意ください!
街づくり
町の中の黒い部分を目測するに、おおよそ10反(100m x 100mほど)。
さて、どうするか?
私は頭の中で考えをめぐらす。
市長になって街を作るゲームってやったことがあったよねぇ、確か。あれだとまずは道から作り始めていたはず。道を作るというよりも、区画整備かな。ま、ここはざっくり50mx50mの区画を4つという形で考えてみるか。
4つの区画を作るとして・・・いったいどんな区画を作るべきか?
どうせなら私の冒険に役立つほうがいいだろうし・・・
などと考えを巡らせてみた。
「よし、これでいこう。」
そうつぶやくとさっそく私は先ほどのメインストリートに繰り出した。
メインストリートに出て、武器を扱うお店が見えるところまで来ると、お店がちょうど半分入るように手でフレームを作って、スペルを唱えた。
「スクリーンショット」
開きっぱなしのステータス画面に変化がある。一番下とのころに"現在のクリップボードの状況"という表示が現れ、そこには見事に武器を扱うお店の左半分が写っている。
「よしよし」
誰に言うでもなく、つぶやく。
そして先ほどの黒い区画に来ると、再びスペルを唱える。
「ペースト」
すると、若干のコマ落ち感、ラグ感を感じたのち、見事に武器を扱うお店の左半分が黒い空間に設置された。
「うん、それじゃ次」
そういうと再びメインストリートに戻る。
今度は防具を扱うお店の右半分が写るように手でフレームを作り、スペルを唱えた。
「スクリーンショット」
ステータス画面には、左半分の防具を扱うお店。
再び黒い区画に戻ると、先ほどの武器のお店の左半分にちょうど重なるように、防具のお店右半分が来るようにフレームを合わせ、
「ペースト」
と唱える。そしてまた若干のラグ感。
と、そこには目論見通り、左半分が武器のお店、右半分が防具のお店が出来上がった。
かと思ったら、そこには天魚が現れた。ふわふわと漂っていたかと思うと、左右でちぐはぐだったお店は、統一感のある一つの建物となった。
「そうきますか。」
私はつぶやく。
そして再度メインストリートに戻る。今度のターゲットは、怪しげな呪術道具を販売しているお店だ。なるべく怪しげな呪術道具が飾ってある部分にフレームを合わせ、
「スクリーンショット」
そして、切り取ったものを、先ほど作成した武器・防具のお店にペーストする。
「ペースト」
すると若干のラグ間の後再び天魚が現れ、ふわふわと漂ったのち、消えていった。
私は出来上がったお店をゴッズアイで確認してみる。
「ゴッズアイ」
ステータス
名前:マジックウェポン、マジックアーマーのお店 ヘパイストス
状態:営業中
お店レベル:1 0 / 10
店主との親密度:10 / 100
レベニューボーナス:1%
レベニューボーナス??と思いそこに目力を寄せてみる。
レベニューボーナス:このお店はあなたが作ったお店です。このお店の売り上げのうち、1%があなたの収入となります。
「なは?」
変な声が思わず口から飛び出た。お店の売り上げの一部が私の収入となると言っているのだ。こんないいことはない。
思わぬラッキーににんまりした後、もともとの目的であったマジックウェポンを見るためにお店の中に入ってみる。
「いらっしゃい」
不愛想だが、筋骨隆々、小学生高学年ほどの背丈の男がそこにはいた。
お店の奥には工房があるのか、トンテンカンコン槌打つ響きが聞こえてくる。
「こんにちは、私、冒険を始めたばかりなんですけど、初心者におすすめの武器ってありますか?」
「冒険、か。」
そういうと店員は私の体を一目見、
「重い武器は合わないな。一人で冒険をしているようだから、弓やダーツのような遠距離攻撃用の武器は避けたほうがいい。護身用目的であれば、近接武器がいいな。これなんてどうだ?」
と店員さんが進めてくれたのは、刃渡り15cmほどの両刃のダガーだった。私はこっそりとダガーのステータスを確認する。
「ゴッズアイ」
ステータス
名前:疾風のダガー
武器レベル:★☆☆☆☆
攻撃力:7
付与されている魔法:風のささやき(素早さが上がる)
おぉ、しっかりマジックウェポンだ!などと心が躍る。基本的に逃げの一手、万が一の時の武器ということであれば、素早さが上がるダガーというのはもってこいではないのか?
「お値段はいくらほどでしょうか?」
と聞くと、店員は黙って私の胸のあたりを指さした。
ま、まさかこれは私の体が目的ということ?確かに、やや性格に難ありなところは自覚しているが、それを除けば外見は人並み以上の自信がある。つやつやの栗毛にクリっと大きな二重の瞳、10度まで弾ける白魚のような指。などと頭の中で連続ヘアピンカーブを抜けながら考えていると、ふと胸のほうを自分でも見て気づいた。
胸ポケットに何か入ってる・・・?
胸ポケットに入っているのは、トランプのカードサイズの紙だった。
私はそのカードを抜き取ってみてみる。
"ヘパイストスのお店オープン記念。先着1名様に店主おすすめのマジックウェポンをプレゼント"
「ぬお?」
変な言葉が思わず出る。いつの間に?でもこのカードを使えば、先ほどのダガーと引き換え可能だと言っているのだろうと気付く。何だったんだ私の逡巡・・・
こうして、いつの間にか胸ポケットに入っていたカードと引き換えに私はマジックウェポンを手に入れたのだった。
ヘパイストスのお店でダガーを入手したのち、私は黒い空間に次々と建物をペーストしていった。
作った建物は、次のようなものだった。
光の教会:光の女神を信仰する教会。町にすでにあった協会に太陽を組み合わせて作った。
日本食のお店:日本食が味わえるお店。店主がどこから食材を調達っしているのかは不明。町にすでにあった食堂に店主として私をペーストしてみたら出来上がった。
他は、アパートのような住居スペースになっている。
こうしてナージャの町での最初のクエストは完了した。
最後の建物を配置し終えると、ピロリン♪と聞きなれた音が響く。
「クエストを完了しました。報酬として銅貨100枚を入手しました。」
「スクリーンショットのレベルが5に達しました。派生スキルスナップショットを取得しました。」
と、「リンゴーン」と鐘の鳴るシステム音が鳴り響く。
ここで私は眉根を寄せる。スナップショット?
目力をこめてスナップショットを見てみると、説明が浮き上がってくる。
スナップショット:状態を保存します。"スナップショットの復元"を実行することで、状態を復元できます。ただし、今のレベルでは復元先を指定することはできません。
スナップショット保存可能数:10
スナップショットの状態: 1 - 始まりの状態(読み取り専用、アクセス権限なし)
これは、、、いわゆるスナップショットなのだろうか?ボブさんとの合流時間が近くなってきたため、私は宿への道を歩きながら考える。
ついでに今日一日の変化を確認するためにステータス画面を確認する。
「ステータス」
ステータス
名前:エリー(藤澤 若葉)
レベル:5
称号:中二病(重症)(最初のタイトル)
職業:SIer
生命力:28 / 28
魔力:26 / 26
力:5(+2)
体力:10
素早さ:6(+6)
知恵:5(+5)
運:1
経験値:172 / 300
スキル:SS(スクリーンショット) Lv4 172 / 300
SS(スナップショット) LV1 0 / 10
酸(中)(ダークアシッド(中二病)) Lv5 182 / 300
熱湯(中) Lv5 177 / 300
回復粘液(弱) Lv3 66 / 70
分裂(初級) Lv2 21 / 30
剣技:スラッシュ(初級) Lv1 0 / 10
剣技:スピアー(初級) Lv1 0 / 10
すり抜け(初級) Lv2 13 / 30
IT管理者(初級)(ゴッズアイ(中二病)) Lv4 92 / 150
攻撃力:4(+7)
防御力:7
武器:疾風のダガー
頭:異世界のヘアゴム
体:異世界の服
足:異世界のスカート
靴:異世界の靴
しかし、強いのか弱いのかよくわからんステータスだな・・・
宿に帰ると、いったん自分の部屋に戻り、ベッドの端っこに腰を掛けた。窓から差し込む夕日はすでにかなり横に伸び、その光を失いつつあった。私は窓に近づき、カーテンをそっと閉める。
耳を澄ますと、隣の部屋からごそごそと物音が聞こえてくる。どうやらボブさんも帰ってきているようだ。
私は部屋を出ると、ボブさんの部屋の扉をノックしてみた。
「はいはいー」
とのんびりした声が聞こえてくる。2,3秒してドアが開く。
「お、エリーさん。帰ってきたね。町はどうだった?お仲間は見つかったかい? とりあえず、下でご飯でも食べながら話しましょうか?」
そういうと、ドアに鍵をかけ、ボブさんと私は下の階にある食堂に向かった。
適当な4人掛けほどのテーブルにボブさんと私で座ると、メニューから適当に食べ物とお酒を選んだ。語感的には、ザワークラウト、ヴルスト、マウルタッシェ、全粒粉のパン、黒ビール、、、といったところだと思う。
ウェイターさんが引っ込むとともにすぐに出てきたのはザワークラウトと黒ビールだった。
私はザワークラウトを突っつきながら、黒ビールをグビリとやる。ビールが生ぬるい・・・
久しぶりの文明的なご飯だし、文句は言えないか・・・と思いチビリチビリとビールを喉に流す。
キッチンの反対側には、やたらと髪と耳が長いおじさんがリュートを弾きながら「北のヒュージロックスライムがー」だの、「東のヒュージタイダルスライムガー」「光をまといし勇者がー」などとうたっている。
ボブさんには今日あったことで話せる範囲を話してみた。特に風のダガーの下りのところでは、私の腰に携えた風のダガーを一目見ると、
「業物ですね・・・」
と一瞬ではあるが商売人の目に戻っていた。明日早速ショップを訪ねてみるそうだ。
話をしているうちに、オーダーした料理もすべてそろい、4人かけのテーブルも若干手狭になってきた。マウルタッシェがおいしいのなんの。お代わりをして2杯目を食べていると、お酒が回ってきたこともあってか、ついうっかりビールジョッキに手がぶつかってしまった。
「あっ」
と思ったのもつかの間、ビールジョッキはテーブルから落下してしまった。
とその時、私はとっさに口走ってしまった。
「スナップショット」
しかし何も起きず、ビールジョッキはそのまま床に落下。「ガチャン」という音とともにジョッキは割れ、盛大にビールを床にぶちまけてしまった。
「あちゃ~」
私が精いっぱいの「ごめんなさい」という表情を作っていると、ウェイターさんがやってきてきれいに片づけてくれた。
もう少し飲みたかったのもあり、落とした一杯に代わり、もう一杯をオーダーする。
もう一杯来たビールをチビチビやっていると、ステータス画面に変化があることに気づく。
スナップショット:状態を保存します。"スナップショットの復元"を実行することで、状態を復元できます。ただし、今のレベルでは復元先を指定することはできません。
スナップショット保存可能数:10
スナップショットの状態: 1 - 始まりの状態(読み取り専用、アクセス権限なし)
2 - 1764167084,50.8925631,9.6806118(復元可能) New!
「復元、、、可能?」
とつぶやくと、システムがウェイクワードと勘違いしたのか、スナップショットが復元される。
再び「ガチャン」という音とともにビールが盛大に床にぶちまけられた。。。
壁際にいるウェイターさんにも音が聞こえたのか、「おいおいまたか?」というような顔をしてこちらを見ている。
仕事のきりがついたウェイターさんが片づけにこちらにやってくる。
床を見て、テーブルを見て後「はて?」という困惑した顔色に変わる。
それはそうだろう。
床には割れたビールジョッキと床にぶちまけられたビール。そしてテーブルの上にもビールが注がれたビールジョッキ。
そう、状況からして"通常ではないはずのもの"がテーブルの上にあるのだから。
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最後までお付き合いくださいましてありがとうございます!
次の話はこちらになります。もしお時間ありましたら、もう少しお付き合いください。
また、第一話はこちらになります。気に入っていただけましたら、ぜひ第一話からご確認ください!
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