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【小説】疲れたSS(スクリーンショット)SIerは世界を救えるのか?#2

はじめての村 この世の仕組み

私はそのあとも森の中を歩き続けた。途中赤いスライムにも遭遇した。赤いスライムからは「熱湯(弱)」を習得することができた。
これがまた全く使えないスキルである。熱湯と言っても、(弱)がついているからか30度くらいのお湯がぴゅぴゅっと手の先から飛び出すだけなのである。
スライムに対しても全くのノーダメージのようだし、むしろ私に命中した時も、カップ焼きそばのお湯切りの際に、シンクから跳ね返ってきたお湯が手にパツンと当たった時のほうがよっぽどダメージが大きいくらいだ。


森の中では植生を少し気にしてみた。針葉樹っぽいものが多いことから、どうやらここはこの世界の中でも北のほうに位置する場所ではないかと推測する。まばらに広葉樹もあるが、葉っぱがいい感じに色づき始めているので、季節的には秋くらいだと思う。
もっとも、私が転生前に住んでいた場所「日本」と同じく四季があればの話だが。

そんなこんなで歩き続けること、体感で2時間ほど。


「何やらパンが焼けるようないいにおいがするな」と思ってそちらのほうに歩いていくと、村を発見した。
目測では、村の大きさは学校の校庭ほどの大きさに見えた。そこに、10件ほどの石造りの家が建っている。村の中心には物見用の櫓が建っているようだった。
私はしばらく木の陰から村の中を観察してみた。どうやらここの住人は私の姿に近い種族のようだ。多分、、、人間?
さてどうするか?と考えてみた末、私は森の中で迷った冒険者を装って村人に話しかけてみることにした。

てくてくと村の入り口に歩いていき、入り口近くで牛らしき生物の世話をしているおっちゃんに話しかけてみる。
「あのぅ、すみません。私森で迷ってしまって。もしよろしければ少しこの村で休ませてもらえませんか?」
「わっ、びっくりした。どうしたどうした?森で迷ったって?どこから来ただ?何て名前だ?」
びっくりした様子のおっちゃんがいくつか質問を投げかけてきた。


「んー、私、エリーって言いますぅ。もう少し南の町から森に薬草を取りに来たんだけど、仲間とはぐれてしまってぇ」
正確な状況もわからない中で、行きずりの村人にわざわざ本名を名乗る必要はない。私は迷わず偽名を使い、南のほうが開けているだろうという推測から、南から来たことにした。
「そうかそうか、そりゃ困っただよな。向こうに緑色の屋根の家がみえるだろ?そこにライラかーちゃんがいるから相談してみろ。おしゃべり好きだけどいい人だから助けてくれるだと思うよ」
「わかりました。ありがとうございますぅ」
というと、私は緑の屋根の家に向かった。

最初に話した人はジーンズっぽいサロペットに麦わら帽子をかぶっており、いかにも「農作業をやっています」といういで立ちだった。着ているものとかは、元の世界と大きくは変わりなさそうだ。

緑の屋根の家にたどり着くまでに、何人かの村人とすれ違い、村人からは好奇の目で見られた。よそ者自体が珍しいのかもしれない。

緑の屋根の家の前まで来ると、私は丁寧にドアをノックした。コンコン。
「はーい、開いてるよー」
と中から声がする。鍵がかかっていないとはいえ、さすがに初対面の人の家に入り込むのはいかがなものか?入っていいのかどうなのか?と迷っていると、その間にドアが向こうから開いた。
「あらあら、まあまあ、お客さんかい。珍しいね。どうしたんだい?中に入っておいで」
と言いながら手招きをしてくれた。


ライラさん、といったか?年のころはおそらく40前後。ふくよかな感じで、赤毛の髪がよく似合う。人懐っこそうな笑顔に、度の強そうな眼鏡をしている。
私は少し遠慮がちに家の中へ入る。左手には壁に向かってキッチンがあり、正面にはテーブル、さらに奥に上へと続く階段がある。右手には見慣れない植物があり、いくつかはきれいな花を咲かせていた。
「さ、こっちに座りな」
そういってライラさんはテーブルわきの椅子をすすめてくれた。
「今、お茶を入れるから座って待ってて」
そういうと、ライラさんはキッチンでポットに水を入れてお湯を沸かし始めた。

ポットがコトコト言い出すと、それを見てライラさんは右手の植物コーナーに行き、天井からつるしてあった乾燥した何かを一つまみ手に取る。再びキッチンに戻り、ポットの中に手に掴んだ何かを入れると、そこにお湯を入れ始めた。どうやら乾燥した何かがお茶っ葉らしい。
ライラさんはゴツゴツした、それでも取っ手がついておりお茶が飲みやすそうなカップにお茶を入れるとそれを手に、テーブルに来て座った。
「さ、まずはあんたの名前から聞かせてくれるかい?」

少し苦めの、不思議な味のお茶を飲みながら、私はライラさんに先ほど村の入り口であった村人にしたのと同じように話をした。

「そうかそうか、仲間とはぐれちゃったか。それは大変だったね。今日はもう遅いし、南にある町までは歩いて半日ほどかかる。今日はうちに泊まっていくといいよ。」
行く当てもない私はライラさんの提案をありがたく受け入れることにした。
「助かります。ありがとうございます。」
「いいってことよ。困ったときはお互い様っていうでしょ?」
「じゃぁエリー、私は晩御飯作るから、テーブルでゆっくりしてて」
とキッチンへと向かう。

ライラさんがキッチンへ向かい、料理をしている姿をボヤーっと見ていた私は、あるものを見て「ギョギョッ」とびっくりしてしまった。
キッチンの窓の外を歩いている他の村人がいる。それはいいのだが、たまにキッチンの壁にめり込んでいるのだ。私は目を疑った。いやいやいや、ないでしょ?でも、すでに2,3人ほどが、やはりめり込みながら、目の前を右から左へ、左から右へと歩いていくのだ。


「な、なんだこれわ・・・?」
また1人の村人が壁にめり込みながら右から左へと歩いていく。よーく見てみると、神様の泉で見たような虹色のもやが見える気がする。私はそれがスキルの一種かと推測し、とりあえずスクリーンショットを発動してみた。
「スクリーンショット」
大分聞き慣れてきた「ピロリン」という音がする。とともに、トーストメッセージが出てきた。そこにはこうある
「バグを見つけました。報告しますか?」
「はいぃぃぃぃぃ・・・?」
読めるのだが意味が分からない。「バグ」という言葉がしばらく私の頭の中にこだましていた。

状況を整理しつつ、ステータスウィンドウと、トーストメッセージをじっくり眺めてみた。「バグを見つけました。報告しますか?」のメッセージの下には「Yes / No」といった選択肢がある。「報告って、誰に・・・」と思いつつ、私はYesの文字をなぞる。
「Yes」をなぞると、トーストメッセージはシュピンと光って消えた。
かと思うと、キッチンの壁に神様のところで見た天魚が現れた。天魚は壁の周りを虹色の光を放ちながらゆらゆらと漂っている。ライラさんには・・・どうやら見えないらしい。
しばらく天魚がうろうろしていたかと思うと、天魚が光って消えた。そしてまたもやトーストメッセージ
「バグを修復しました。ご報告ありがとうございました。」

察するに、バグを発見し、スクリーンショットをとって報告。すると、メンテナンスチームが天魚を派遣してバグを修正する。といったようなところかという考えに至った。
「しかしまぁ、バグですか・・・」
ご報告ありがとうございました。のメッセージの下にはこうもあった「報酬あり」。報酬って何だろう?と思いつつ、とりあえずステータス画面を確認してみることにした。

ステータス
名前:エリー(藤澤 若葉)
レベル:2
称号:中二病(最初のタイトル)
職業:SIer
生命力:20 / 20
魔力:15 / 15
力:3
体力:7
素早さ:4
知恵:3(+1)
運:1
経験値:17 / 30
スキル:SS(スクリーンショット) Lv2 22 / 30
    酸(弱)(ダークアシッド(中二病)) Lv3 48 / 70
    熱湯(弱) Lv1 8 / 10
    New すり抜け(初級) Lv1 0 / 10
    New IT管理者(初級) Lv1 0 / 10

攻撃力:1
防御力:3

武器:なにも装備していない
頭:異世界のヘアゴム
体:異世界の服
足:異世界のスカート
靴:異世界の靴

どうやら、IT管理者(初級)というのが今回報酬として授かったスキルらしい。"IT管理者(初級)"という部分に目力を入れてみる。するとポップアップメッセージが出現した。
「IT管理者(初級) Lv1 0 / 10 簡単なシステムステータスを確認可能」
ほう、どうやらステータスなどの追加情報を確認できるスキルらしい。調子に乗って私はほかにもいろいろと確認してみた。

「酸(弱)(ダークアシッド(中二病)) Lv3 48 / 70 酸というが実際には弱アルカリ性。有機物を溶かす。」

「熱湯(弱) Lv1 8 / 10 お湯が出る。純水なので飲むことが可能。30度くらい」

「称号:中二病(最初のタイトル) スキルに人には言えない恥ずかしいネーミングを付けたことで得られたタイトル。この世界の最初のタイトル保持者。恥ずかしい」

「やかましいわ」
私は思わず声に出していた。

などとしていると、ライラさんから声がかかった。
「お待たせ、こんなものしかないけど、たっぷり食べておやすみなさい。」
ライラさんが料理をテーブルに運んでくる。
醤油や出汁の香りのしない肉じゃがのようなもの(煮込みすぎたポトフ?)、フランスパン、野菜が入ったスープ、ビーツのようなもののピクルス。といった感じだった。
何も食べていなかったのでおなかがすいていたこともあり、ぺろりと平らげると、私はライラさんに勧められるままに、2階の部屋に行き、ベッドに入った。疲れがどっと押し寄せてきて、今日一日の出来事を振り返る余裕もなく眠りについた。。。

こうして、私の異世界初日は幕を閉じたのだった。


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最後までお付き合いくださいましてありがとうございます!
次の話はこちらになります。もしお時間ありましたら、もう少しお付き合いください。

また、第一話はこちらになります。気に入っていただけましたら、ぜひ第一話からご確認ください!


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