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茨木のり子の詩を読んだことがあるだろうか



茨木いばらぎのり子。

凛とした刃を隠して  
ときどき  
読む側の急所をつく  
そんな詩を書いた人


日常のほこりを払い  
飾りをひとつずつ落とし  
残ったものだけで立っていた人

強いわけではない  
ただ引き返さなかった  
その一点が言葉の芯になった

彼女の青春は  
光よりも陰が深く  
美しいと呼べるのは  
遠ざかった後だけ

敗戦で世界が裏返り  
信じてきたものが崩れたときも  
自分の声だけを放さなかった

倚りかからない  
甘えない  
まぎれない  
その姿勢は  
孤独の中でしか育たないもの

詩を高い棚に置かず  
日々の暗がりを  
そのまま机へ置く  
そういう書き方をしていた

読むたびに胸の奥で  
かたちのない何かがきしむ

慰めではなく  
叱咤でもない  
もっと深いところを刺す声

たとえば  
言い訳を並べて  
自分の痛みをごまかした夜

たとえば  
誰かの言葉に逃げこんで  
自分の声を失いそうになった朝

たとえば  
「これでいいや」と  
本気を置き去りにした瞬間

そういう時だけ  
彼女の声が  
急にこちらへ向く

そして最後にこう言われる

自分の感受性ぐらい  
自分で守れ  
バカ者よ







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