見出し画像

ルター・「多くの人にわかりやすく届ける」という革新【手のひらの偉人伝9】

ドイツの神学者・修道僧マルティン・ルター(1483~1546)は、1517年にカトリック教会の腐敗を公然と批判する活動を始めました。これはカトリックの権威低下や新宗派(プロテスタント)誕生などの「宗教改革」の出発点でした。

ルターの大きな功績に「聖書のドイツ語訳」があります。それまで聖書はラテン語などの古典語によるものだけで、一般人には読めなかったのですが、母国語で読めるようにしたのです。これは、当時の常識を打ち破る、きわめて画期的なことでした。

そして、ルター訳の聖書は、当時の新技術である活版印刷によって10年余りで20万冊が発行されました。史上初の印刷によるベストセラー本といっていいでしょう。

また、彼は教会での讃美歌も改革しています。従来のラテン語による複雑な曲ではなく、ドイツ語のシンプルな歌を自分で何十も作詞しました。いくつかは作曲もしています。ルター以後は、シンプルな讃美歌が一般的になります。

つまり、彼は、たんなる宗教の改革者ではななかったのです。

ルターは、「価値ある世界を、メディアを活用して多くの人にわかりやすく届ける」という、近代的な文化のあり方の先駆者でした。

そして、そのような大きな革新を行い得るだけの学識・見識を持つ巨人だったということです。

***

*古今東西の偉人を数百文字で切り取って紹介した記事を、その都度思いつきでアップしています。

(参考文献)
・君塚直隆『ヨーロッパ近代史』ちくま新書、2019年

「手のひらの偉人伝」の次の記事。マガジンにもまとめています。

前の記事


いいなと思ったら応援しよう!