宇宙叙事詩の科学ノート 第35回 なぜ人類は世界を確かめ始めたのか
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神話と科学の違い
人類が最初に作り出した世界の説明は神話でした。神話は現代科学から見れば事実ではない場合が多くあります。しかし神話の役割は、世界の出来事に意味や理由を与えることでした。その意味では、人類最初の世界モデルと考えることもできます。
一方、科学も世界を説明しようとします。しかし両者には決定的な違いがあります。それは説明を検証できるかどうかです。
「雷は神の怒りである」という説明は、正しいかどうかを客観的に確かめることができません。しかし「雷は大気中の放電現象である」という説明は、観察や測定によって検証できます。科学の特徴は説明そのものではなく、説明を確かめる仕組みにあります。
抽象化からモデル化へ
『理解の叙事詩』第1章から第4章では、人類の抽象化能力の発達を扱いました。言語は経験を共有可能にし、文字は知識を保存可能にし、数学は数量や関係を比較可能にしました。
これらに共通するのは、目の前の現象から共通する特徴を取り出し、より単純な形で扱う能力です。認知科学では、この能力を抽象化と呼びます。
例えば、「3」という数字は、3個の石、3匹の動物、3人の人間に共通する数量だけを取り出した概念です。実際の対象は異なっていても、数量という共通部分だけを扱えるようになります。
抽象化は人類の知性を大きく拡張しました。しかし科学の成立には、さらにもう一段階の進歩が必要でした。それがモデル化です。
モデルとは何か
科学におけるモデルとは、観察された現象を説明するための概念的な枠組みです。
例えば、リンゴが地面へ落ちる現象は誰でも観察できます。しかし重力そのものを見ることはできません。私たちが直接観察できるのはリンゴの落下であり、重力はその現象を説明するために作られたモデルです。
同じことは天文学にも当てはまります。太陽が昇ることは観察できます。月の満ち欠けも観察できます。しかし天体運動の法則そのものは見ることができません。人類は観察された現象の背後にある規則性を見つけ出し、それをモデルとして表現してきました。
第4章までが世界を整理する知性の発達だったとすれば、第5章は世界を説明する知性の発達を扱う章だと言えます。
なぜ検証が必要なのか
モデルは作るだけでは十分ではありません。複数の説明が存在する場合、どの説明が現実をより正確に表しているのかを判断する必要があります。
そこで行われるのが検証です。観察を行い、予測を立て、結果を比較する。もし予測が外れれば説明を修正する。科学はこの過程を繰り返します。
科学が他の知識体系と大きく異なるのは、この検証の仕組みを持っていることです。そのため科学は完成した知識ではなく、修正され続ける知識体系だと言えます。
ここで重要なのは、科学が単なる知識の集積ではないということです。科学とは、現象を説明するモデルを作り、そのモデルを検証し続ける仕組みなのです。
第4章までの抽象化は、世界を整理し比較可能にしました。そして第5章では、整理された世界に対して説明モデルが作られ、その正しさが確かめられるようになります。
人類はここで初めて、世界の説明書を書き始めたのです。
※ noteによるAI自動翻訳(英訳)版も公開されています。興味のある方は、下記からご覧ください。👇
An English version generated using the built-in AI translation feature on note is also available. If you’re interested, please check it out below. 👇
🌐 Scientific Notes on the Epic of the Universe Part 35: Why Did Humanity Begin to Verify the World?
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