現場責任者の問い|第5回|責任とは、何を引き取ることなのか
※この記事は「現場責任者の問い」第5回です。シリーズの最初はこちら|第1回|責任が貼り付く瞬間
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会議の終盤になると、必ず誰かがこの問いを出す。
「で、誰が責任を取るんだっけ」
そう口にするのは、進行役の上司か、最終承認を控えた管理者だ。
この問いが出た瞬間、空気が一段変わる。
それまで分かれていた話題が、一気に一つに収束する。
「最終的には、君の判断だったよね」
この整理を行うのも、同じ上司だ。
判断を命じた本人であることも多い。
ここで責任が生まれるわけではない。
すでに存在していた行為を、「責任」という言葉に変換しているだけだ。
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現場では、
判断した人、発言を整理した人、承認した人、記録した人が分かれている。
だが評価の場では、その分解は維持されない。
評価シートは、一人の名前しか受け付けない。
複数名で判断したという欄はない。
その形式を決めたのは、人事部門と管理層だ。
結果として、誰か一人が「引き取る」ことになる。
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このとき引き取られるのは、判断そのものだけではない。
進め方、調整不足、結果、周囲の期待まで含めて、責任の範囲は広がる。
この拡張を行っているのは、評価者だ。
「ここまで含めて責任だよね」
という言葉で、範囲が後から決め直される。
本人の認識は、そこまで引き取るつもりではなかった。
だが、一度名前が紐づいた以上、途中で止める選択肢はない。
止めようとすれば、別の評価が生成される。
「最後までやりきらなかった」
「途中で責任を放り出した」
この評価を下すのも、同じ評価者だ。
こうして、責任は行為から切り離され、人格に貼り付けられていく。
「この人は責任感がある」
「この人は逃げた」
そう分類される。
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ここで重要なのは、責任が重いかどうかではない。
境界が、事前に引かれていなかったことだ。
どこまで判断し、
どこから先は引き取らないのか。
その線を決める役割は、本来は設計側にある。
だが多くの現場では、その線は引かれない。
理由は単純だ。
事前に線を引くと、判断を回収する必要が生じる。
管理側の仕事が増える。
だから、責任は事後的に処理される。
結果を見てから、誰が引き取るかを決める方が、運用としては楽だからだ。
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この構造の中では、責任は覚悟の量では決まらない。
誰が、どの位置に配置され、どの形式で評価されたか。
それだけで決まる。
この現場で、最初に責任の境界を引かなかったのは誰なのか。
評価時に、単独名に集約する形式を採用したのは誰なのか。
責任とは、背負う量の話ではない。
引き取る範囲を、誰が、いつ決めたかの話だ。
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予告
責任の境界は、人によって決まるものではない。
では、同じ人でも、引き受ける人と引き受けない人に分かれるのはなぜなのか。
では、その違いを生み出しているのは、人ではなく何なのか。
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次回
現場責任者の問い|第6回|条件は性格ではなく構造
前回
現場責任者の問い|第4回|壊れる条件3点セット
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▼思考の分岐点シリーズ一覧
この順番で読むと理解しやすくなっています。(思考の進行順)
①思考の分岐点(ステップ1|選択)
②現場責任者の問い(ステップ2|責任)
③分岐点の問い(ステップ3|体験)
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