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2026.08.05 注目の海外スタートアップの資金調達4選

2026年8月5日にかけて、バイオテック、トラベルテック、ステーブルコイン、防衛テックという異なる4分野のスタートアップが相次いで資金調達を発表した。分野は違えど、いずれも大手投資家の参加や事業の転換点を伴う節目の調達となっている。本記事では、Expedition Therapeutics、Faye、Yellow Card、Aurelius Systemsの4社の発表内容を整理する。


1. Expedition Therapeutics ― COPD治療薬で115MドルのシリーズB


1-1. General Atlanticが主導、Sanofi系VCも継続参加

サンフランシスコを拠点とするExpedition Therapeuticsは、General Atlanticが主導するオーバーサブスクライブ(応募超過)の1億1500万ドルのシリーズB資金調達を発表した。新規投資家としてRA CapitalとVivo Capitalが参加したほか、SanofiのVC部門、Novo Holdings、Sofinnova Investments、Forbion、Dawn Biopharmaなど既存投資家も引き続き参加している。同社は2025年10月に1億6500万ドルのシリーズAを実施しており、今回はそれに続く大型調達となる。

Expeditionは、2024年に設立され、翌2025年には上海拠点のFosun Pharmaから、DPP1阻害剤「EXPD-101」の中国以外での権利をライセンス取得している(頭金1700万ドル)。Fosunは現在、中国国内で気管支拡張症を対象としたEXPD-101のフェーズ2試験を実施中だ。

1-2. 慢性閉塞性肺疾患(COPD)を対象とした「世界初」のフェーズ2試験

Expeditionは、EXPD-101を用いた慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者を対象とする中期段階の試験にすでに1例目の患者を投与したと明らかにした。同社はこれを、呼吸器疾患領域における「DPP1阻害剤としては世界初の、グローバルなランダム化フェーズ2試験」と位置づけている。

創業者兼CEOのイー・ラーソン氏は、今回調達した資金について「この試験の資金となるだけでなく、ポートフォリオに加える他の資産の追求や、自社の独自創薬活動を継続的に支えるための"手元資金"にもなる」と述べた。DPP1(ジペプチジルペプチダーゼ1)は、骨髄内で好中球という免疫細胞を活性化させる酵素で、成熟した好中球は骨髄の外に移動し、感染と戦う免疫の防御的役割を担う。ラーソン氏は「DPP1は、COPDをはじめとする複数の呼吸器疾患の根本原因である好中球性炎症を狙う選択的なターゲットだ」とし、「COPDは世界の死因第3位であることから、初期の焦点としている」と説明した。

好中球やそこから放出されるセリンプロテアーゼのバランスが崩れると気道が損傷し、COPD患者に典型的にみられる状態を引き起こす。EXPD-101の作用機序は「上流に介入してセリンプロテアーゼのバランスの乱れを軽減し、気道機能の一部を保護し、COPD患者の増悪を減らす」ことを目指すものだとラーソン氏は述べている。

なお、DPP1阻害剤としては、Insmedが昨年、非嚢胞性線維症気管支拡張症を対象に「Brinsupri」でFDAから初の承認を取得している。Insmedは現時点でCOPDへの展開は検討していないとみられるが、同社ウェブサイトによれば、非公開の適応症を対象とした別のDPP1阻害剤を前臨床段階で保有しているという。

2. Faye ― トラベル保険のAI自動化を加速する50MドルのシリーズC


2-1. Madronaが主導、累計調達額は100Mドルに到達

バージニア州リッチモンドを拠点とするFayeは、AI活用型トラベル保護プラットフォームとして、Madronaが主導する5000万ドルのシリーズC資金調達を発表した。BRMのほか、既存投資家のPortage、F2 Venture Capital、Viola Ventures、Lumir Venturesも参加し、これにより同社の累計調達額は1億ドルに達した。

2022年設立のFayeは、わずか4年で全米で最も成長が速く、評価の高いトラベル保険プロバイダーへと成長した。今回の資金は、新規市場への地理的拡大、オンライン旅行代理店・航空会社・クルーズ会社など旅行ブランドとのパートナーシップ拡大、そして引受業務・旅行者サポート・保険金請求処理をより高速・高度・自律的にするAI投資の強化に充てられる。同社は年末までに、全保険金請求の半数以上をAIが自律的に処理し、残りの請求の75%を初回対応で完結させることを見込んでいるという。

2-2. 保険+フィンテック+旅行インテリジェンスを組み合わせた一体型プラットフォーム

今回の投資は、既存のトラベルフィンテック機能「Faye Wallet」の拡張にも充てられ、旅行者が旅程を通じてより費用対効果高くお金を管理できるようにするとともに、旅先でのストレスの多い場面で必要なリソースにアクセスできるようにすることを狙う。

Faye共同創業者兼CEOのエラッド・シェイファー氏は「旅行者と旅行流通事業者は、従来型の保護以上のものに値する。ニーズを先読みし、旅程全体を通じてサポートするプラットフォームこそがふさわしい」と述べ、「この1年で売上を倍増させながら、AI活用型トラベル保護のリーダーとしての地位を強化してきた」と説明した。Madronaのマネージング・ディレクターであるスティーブ・シン氏は「旅行業界でのキャリアを通じて、この分野で"世代を代表する"創業者に出会うことは稀だ。Fayeのチームはまさにその水準にある」と評価している。

同社は今回の資金調達に先立ち、バージニア州リッチモンドに新たな米国本社を開設したほか、Fayeアプリが「TIME Best Invention」に選出され、U.S. News & World Reportの「トラベル保険会社トップ」にも選ばれるなど、節目となる1年を過ごしたとしている。

3. Yellow Card ― 個人向け撤退からB2Bステーブルコインインフラへ


3-1. Standard Chartered系VCやSonyも参加する40Mドルの戦略的調達

アフリカ20カ国で事業を展開するグローバルなステーブルコインインフラ企業Yellow Cardは、4000万ドルの戦略的資金調達の完了を発表した。投資家には、Standard Chartered傘下のSC Ventures、Sony Innovation Fund、Polychain Capital、Blockchain Capitalなどが名を連ねている。これにより同社の累計株式調達額は1億2000万ドルを超えた。なお、この評価額は2022年時点の2億ドルという評価水準は上回るものの、依然として10億ドルには届いていないとされる。

調達した資金は、企業向けの米ドル口座サービス「Global USD Accounts」の拡大や、世界各地の市場をつなぐステーブルコインの決済網の拡張に充てられる。同社は複数の商業銀行と連携し、ステーブルコインとオンチェーン決済を活用してドルを国境を越えて移動させ、Swiftのような既存の決済インフラに対抗しようとしているという。新たな資金は、Global USD Accounts製品の拡大や、ラテンアメリカ・アジア太平洋地域向けのステーブルコイン・ローカル決済オプションの追加に使われる予定だ。

3-2. 個人向け暗号資産取引アプリからの完全撤退

今回の調達は、Yellow Cardが、2026年1月1日をもって個人向け暗号資産取引アプリを終了し、10年近く続けてきた個人ユーザー向けサービスから完全に手を引き、法人顧客に事業を集中させると発表してから数週間後のタイミングとなった。この事業転換に対する投資家の信頼を示す調達とも受け止められている。銀行側もステーブルコインの決済網を、周辺技術としてではなく直接組み込む対象として見始めているタイミングと重なる。

4. Aurelius Systems ― 対ドローン防衛システムに40MドルのシリーズA


4-1. Draper AssociatesとKAS Venture Partnersが共同主導

サンフランシスコを拠点とする自律型指向性エネルギー技術企業Aurelius Systemsは、4000万ドルのシリーズA資金調達の完了を発表した。投資はDraper AssociatesとKAS Venture Partnersが共同で主導し、General Catalyst、Hanwha Defense USA、Outlander、Alumni Ventures、Bravo Victor Venture Capital(BVVC)、Detroit Venture Partners、Decisive Pointなどが参加している。

新たな資金は、同社の主力プラットフォーム「Archimedes」の技術開発、事業・生産のスケール拡大に充てられる。加えて、サプライチェーンリスクを低減するための垂直統合、重要部品の可用性改善、長期的な製造レジリエンスと即応性の強化、顧客への納入加速にも活用される。プラットフォームのラインナップ拡大や新市場への展開にも資金が使われる予定だ。

4-2. 「協調型ドローン脅威」に対応する自律型レーザー防衛システム

Aurelius Systemsの共同創業者兼CEOであるマイケル・ラフランボワーズ氏は、「協調型ドローン脅威の増加は"即応性"の定義そのものを根本的に変えた。だからこそ我々は、今日の運用環境のスピード・量・経済性に対応できるスケーラブルなプラットフォームを開発した」と述べた。Draper AssociatesのパートナーであるAndy Tang氏は「Aureliusは、自律型指向性エネルギーシステムの開発と展開のあり方を再定義しつつあると考えている」と評価し、KAS Venture PartnersのパートナーであるJulian Handel氏も「自律システムの急速な成長は、我々の防衛能力をはるかに上回るペースで進んでおり、Aureliusはエスカレーションを招かない防御用レーザーシステムでそのギャップを埋めつつある」と述べている。

今回の資金調達は、American Rheinmetallとの統合パートナーシップ、Operation Jailbreakにおける指揮統制(C2)システムとの相互運用性・統合の検証成功、Technology Readiness Experimentation(T-REX)26-2でのプラットフォーム検証など、一連の節目を経て実現したものだ。同社は現在19人の従業員を抱え、2026年末までに40人超への拡大を見込んでいる。

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