旅行テック投資最前線2025:Etraveli31億ドル評価と“クールケーション”が示す新潮流
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今年に入り、旅行関連スタートアップへの資金調達は再び活況を呈しています。“ピークシーズンを迎えた旅行業界は、スタートアップの資金調達でも底堅さを見せている”との声が示すように、シードからグロースまで幅広いステージで大型ラウンドが続出しています。本記事では、特に注目を集めたEtraveliの大型投資を起点に、主要旅行スタートアップの資金調達事例やM&A動向、さらには“クールケーション”に代表される業界トレンドまで、多角的に解説します。
1. 旅行スタートアップの資金調達動向

1-1. 2023年からの回復フェーズ
2023年は、世界的なインフレ圧力とコロナ禍からの回復途上で、旅行需要自体は回復基調にあったものの、スタートアップの資金調達環境は一時的に低迷しました。しかし、2024年後半以降は投資家マインドも改善し、特にシードからシリーズAクラスの初期ステージだけでなく、シリーズB~C、さらにはシリーズE以上のグロースステージまで、多額の資金が流入しています。
1-2. シードからグロースまでの多彩なラウンド
「消費者向けプラットフォーム」と「ホスピタリティ業界向けツール」の双方で大規模ラウンドが成立しています。たとえば、デジタルSIMカードを提供するAiraloがシリーズCで2.2億ドルを調達し、法人向け出張予約ツールのTravelPerkはシリーズEで2億ドル、そしてアクティビティ予約プラットフォームのKlookはシリーズFで1億ドルを確保しました。これらはいずれも2025年前半における旅行テック投資のハイライトと言えるでしょう。
2. Etraveliの大型投資獲得と成長戦略
2-1. KKRからの少数株式投資
ストックホルム拠点のEtraveliは、フライト予約プラットフォームをグローバルに提供する企業として知られています。2025年7月、米プライベート・エクイティ大手KKRが少数株式を取得し、評価額は31億ドルに達したと報じられました。多数株主であるCVC Capital Partnersが引き続き過半数を保有する中、KKRの参画はさらなる成長に向けた資本戦略の一環と位置付けられます。
2-2. 過去のM&A戦略
Etraveliは、これまでに少なくとも8件の買収を実行しており、特に2019年以降は積極的に市場拡大を図ってきました。買収先には、欧州を中心とする複数の旅行代理店やテクノロジープロバイダーが含まれ、技術力やマーケットアクセスの強化を目的としています。今回KKRからの投資を受けることで、資金面だけでなくM&Aパワーも増幅される可能性が高いと言えるでしょう。
2-3. 多ブランド運営とパートナーシップ
現在、Etraveliは複数のブランドを横断的に展開し、旅行代理店事業を含む多角的なビジネスモデルを構築しています。さらに、Booking.comとの技術提携により、年間4,000万件超のフライト予約を支えるバックエンド技術を共同開発。こうしたアライアンスが、さらなる利用者拡大と収益多様化を後押ししています。
3. 主要旅行企業への大型投資事例
3-1. Airalo:デジタルSIMのパイオニア
オハイオ州発のAiraloは、渡航先での高額ローミングを回避できるデジタルSIMカードを提供。6年前に設立された同社は、2025年7月のシリーズCで約2.2億ドルを調達し、業界内での存在感を一気に高めました。調達資金は新興市場への展開強化や技術基盤のアップデートに充当される見込みです。
3-2. TravelPerk:法人出張のDX推進
バルセロナ拠点のTravelPerkは、起業家や企業の出張予約を一元管理できるプラットフォームを提供。2025年1月のシリーズEではAtomicoとEQTをリードインベスターに迎え、2億ドルを獲得しました。こうした大型資金は、ツール機能の拡充と北米市場への本格参入に活用される予定です。
3-3. Klook:体験型旅行の拡充
アジアを基盤に体験型ツアー予約を手がけるKlookは、2025年5月のシリーズFで1億ドルを調達しました。資金は世界各地の観光体験をデジタル化する取り組みや、EC決済オプションの強化などに投じられ、ユーザーエンゲージメントの向上を目指しています。
4. ツーリズム関連のM&AとIPO動向
4-1. DoorDashによるSevenRooms買収
ホスピタリティ向けマーケティング・オペレーションツールを提供するSevenRoomsは、2025年6月、米フードデリバリー大手DoorDashに12億ドルで買収されました。これにより、飲食店やホテル向けの顧客管理機能がDoorDashプラットフォームに統合され、オンサイトとデリバリー体験のシームレス化が図られています。
4-2. BelvillaによるMadeComfy買収
オーストラリアの短期賃貸企業MadeComfyは、インド発のホスピタリティユニコーンOYOの欧州部門であるBelvillaにキャッシュ&ストック取引で売却されました。金額は非開示ながら、欧州市場での短期レンタル需要急拡大を背景に、戦略的なポジション取りが狙いとされています。
4-3. ベンチャー-backed企業のIPO期待
直近では大規模な旅行スタートアップのIPOは目立ちませんが、米国でIPOウィンドウが再度開きつつあることから、一部ユニコーン企業がパブリック・マーケットを視野に準備を進めているとの見方もあります。今後半年~1年で、いくつかの大型上場が実現する可能性があります。
5. 旅行業界のトレンド:“クールケーション”と健康志向
5-1. SkiftのTravel Health Indexによる見通し
旅行リサーチ会社Skiftが発表したTravel Health Indexでは、全体としてバランスの取れた成長期にあると評価。特にバケーションレンタルが堅調なのに対し、ホテル業界はまだ回復途上との分析が示されています。
5-2. バケーションレンタル好調の要因
「ホーム感」や「プライベート性」を重視する旅行者のニーズが高まり、Airbnbに代表されるバケーションレンタル市場は引き続き好調です。また、長期滞在やリモートワーク併用の需要も追い風となっています。
5-3. “クールケーション”の台頭
近年、気候変動に伴う猛暑を避け、涼しい避暑地での休暇を求める動きが顕著です。通称“クールケーション”は、山間部や高地、北欧などの目的地が人気となっており、旅行者の“涼を求める”価値観を反映しています。暑さが旅行のネガティブ要因から、新たな旅行ニーズへのシフトを促しています。
2025年中盤時点で、旅行関連スタートアップへの資金調達は再び力強さを取り戻し、大型ラウンドや戦略的M&Aが相次いでいます。Etraveliをはじめとする成熟プレイヤーの動向から、AiraloやTravelPerk、Klookなど新興勢力まで、多様なプレイヤーが競争と協業を繰り広げています。また、“クールケーション”に代表される旅行嗜好の変化も、引き続き業界をけん引する重要なテーマです。今後も投資マネーの流れと旅行者ニーズの動向に注目が集まるでしょう。
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