AIは“クラウドの話”ではない。データセンターより先に“送電網と許認可”が投資リターンを決める理由
2026年の投資テーマを語るうえで重要なのは、AIが、「単なる成長ストーリー」から、“どれだけ使われるか(usage intensity)”=実需の深さへと軸足を移しつつある点です。さらに、そのAI需要は国家安全保障(防衛)、電力・データセンター(インフラ)、そして投資アクセスの変化(トークン化)と衝突し、テーマ同士が“合流”し始めています。こうした問題意識を、The Bidの「Thematic Investing in 2026」回では、ホストのOscar Pulidoと、ブラックロックのETF責任者であるJay Jacobsが整理しています。
1. テーマ投資が「セクター投資」を補完する理由
過去10年は、「グロース/バリュー」「テック/景気敏感」など、セクターやスタイルで市場を捉える枠組みが有効でした。ところが近年は、AI・地政学的分断・人口動態などの“メガフォース”が、産業横断で勝者と敗者を作る局面が増えています。結果として、投資家は「テーマ」という別レンズでポートフォリオのリスクと機会を見直し始めた、というのが本回の骨子です。
1-1. 「テーマは分散しづらい」=合流するから
番組では、メガフォースが「別々のレーンで進む」のではなく、「同じ高速道路に合流している」ことが、分散を難しくすると語られます。AIは半導体だけでなく、電力・金属・建設・規制などを巻き込み、地政学とも絡む。だからテーマ投資は“流行”ではなく、構造変化への対応手段になり得る――という整理です。
2. 2026年のAI:カギは「トークン消費量」という実需指標
会話で印象的なのは、AIを測る指標として「トークン消費量(token consumption)」が強調される点です。AIが高度な仕事を担うほど必要計算量が増え、需要は“ユーザー数”だけでなく“1回あたりの重さ”で伸びる。番組内ではトークンを「21世紀のコモディティ」と捉え、*「石油が20世紀の経済を動かしたように、トークンが計算経済を動かす」*という比喩で説明しています(入力文より)。
2-1. 重要なのは「チャット」より「重い用途」
同じAIでも、簡単なチャットと、自動運転・創薬・シミュレーションでは必要計算量が桁違いになります。つまり、投資家が見るべきは「AIが話題か」ではなく、重い用途がどれだけ増えているか。iSharesの2026テーマ見通しでも、AIは「基本的なチャットを超え、より複雑なタスクへ移行し、計算需要が急増」と整理されています。
3. 「AIバブル論」への答え:歴史比較と利益の裏付け
番組では、AIへの巨額投資(データセンター、電力、半導体)が「バブルでは?」という問いに対し、2つの見方が提示されます。
1つは歴史比較。過去の産業革命(例:自動車と道路網)に比べ、AI投資は規模が大きいが「過去最大級と断定はできない」。
もう1つは利益の裏付け。AI関連企業は、株価上昇以上に利益が伸び、結果としてバリュエーションが調整された、という説明です(入力文より)。
この論点は、同じBlackRockの別回(2026年の株式見通し回)でも「AIは企業戦略を変えるが、焦点は“資本投入の規模”と“収益への波及”」として繰り返されます。
4. 防衛とインフラ:テーマは「20世紀型」から拡張する
地政学的分断が進むと、防衛は再び投資テーマになります。ただし、中身は「戦車・艦艇」だけではなく、宇宙・自律システム・サイバー・ソフトウェア/AI、さらには重要鉱物や関連インフラへ広がる――というのが番組の主張です(入力文より)。加えて、iSharesの見通しも「防衛は宇宙・自動化・先端技術へシフト」と明記しています。
一方、インフラは、老朽化更新に加え、AIが要求する電力・送電・許認可がボトルネックになり得る点が重要です。つまりAIは「クラウドの話」ではなく、発電所・送電線・データセンターという物理制約の話でもある。番組説明でも、インフラとエネルギー制約がAI普及のタイムラインに影響すると整理されています。
5. 投資アクセスの変化:トークン化が“買い方”を変える
最後に「トークン化(tokenization)」は、テーマそのものというより、テーマへのアクセス手段を変える論点です。iShares/BlackRockの2026テーマ資料では「新しいデジタル経路が、資産への投資方法を変えうる」と述べ、テーマ投資の“器”がETF以外にも拡張していく可能性を示唆しています。
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