2026年AI採用とIPO大転換 — ソフトウェア株は再び勝者になるのか?
2025年はAI(人工知能)関連銘柄が市場で大きな注目を集めた一方で、ソフトウェア株全般のパフォーマンスはS&P500を下回る結果となりました。この背景と、2026年に向けたAI採用・IPO(新規株式公開)動向について、Vista Equity PartnersのAshley MacNeill氏がCNBCで語った内容を基に整理します。
1. AI採用は“波”として進む — ソフトウェア株の遅れの構図
1-1. ソフトウェア株の2025年
2025年は、ソフトウェア株(IGV指数)は10%程度の上昇にとどまり、S&P500の16%超の上昇を下回ったと報じられています。これは、投資家がAIの真の価値創出(Proof Point)をまだ確認できていないためと分析されています。
MacNeill氏は、「AI採用サイクルは波として進む」と述べ、ハードウェアやインフラ、ハイパースケーラー(大手クラウド事業者)に先行して価値が付与されてきたが、これからはソフトウェア(アプリケーション)レイヤーが台頭すると予想しています。これは、AIの実装や収益化が初期インフラから実際の業務・業界アプリへの広がりにシフトするというフェーズ変化を意味しています。
2. SaaS企業とAIの関係 — “エージェント化”が鍵
2-1. SaaSモデルの転換点
MacNeill氏は、SaaS(Software as a Service)企業がAI主体のサービスにどう変わるかが重要と指摘しました。単なるAI利用ではなく、「agentic AIモデル」(自律エージェントとしてのAI機能)をどれだけ組み込めるかによって、企業価値の評価が分かれる可能性があると述べています。
例として、Salesforceが名称変更を検討するという話題が出たのは、同社がAIエージェントを中心とした提供価値を強調しようとしていることを象徴しています。
2-2. 価値の二極化
このため、ソフトウェア戦略は「AIを価値創出に変換できる企業」と「そうでない企業」に二極化が進んでおり、2025年のパフォーマンスが分散した背景になっています。
3. マクロ環境とAI投資 — 金利の影響
金利環境は資本コストやIPO市場に大きく影響しますが、MacNeill氏はもしFRBによる利下げがあれば、AI関連企業の評価方法にポジティブな影響を与えると述べています。
これは、低金利は資本コストを下げ、新技術への投資を促進するという一般的な金融理論にも一致します。AI採用のための資本需要が高いソフトウェア企業にとって、利下げは成長投資を加速させる「追い風」と言えるでしょう。
4. 2026年のIPO市場 — AIが牽引役となるか
4-1. IPO市場の回復兆候
2026年はIPO市場が活発化する可能性があるとMacNeill氏は語っています。
重要なのは以下の3点です:
投資家の資金意欲が高まっていること
企業側も公開市場を資金調達の選択肢として検討していること
2025年後半の市場安定がIPOへの信頼を高めていること
さらに、米国証券取引委員会(SEC)への提出書類は前年比で約50%増加しているというデータも引用され、IPOの準備は進んでいる様子がうかがえます。
4-2. AI関連企業のIPOは間近か
MacNeill氏は、特に、OpenAIのような大規模AI企業が将来的にIPO市場に登場する可能性にも言及しました。すぐに公開するほど近くはないとしても、資金調達のための公開市場利用は避けられない流れだとしています。
5. プライベートvs.パブリック — AIバリュエーションの視点
「AIバブルはパブリック市場ではなく、プライベート市場で起きている」という指摘がありますが、MacNeill氏はこれを成長率がAI採用のプロキシとして使われているという点で説明可能と述べています。つまり、評価が高くても成長期待が根拠になっているため、現状は評価軸の変化がまず進んでいるという見方です。
結論:2026年は「実装と証明の年」
2025年はAI採用の基盤整備と評価サイクルの変化期
2026年はソフトウェア企業がAI価値を実際の数値として示す年
IPO市場はAI関連企業の登場で再び活性化する可能性
これらはすべて、市場参加者がAIの価値創出をどう評価するかにかかっています。2026年は、AI採用が単なる構想から明確な利益率改善と企業価値に結びつく年になるかどうかの分岐点だと言えるでしょう。

