2026開幕:ターンアラウンド株と“AI一本足”相場のリスク
2026年の初回放送「Compound and Friends(TCAF 223)」は、いきなり“今年の論点”を全部並べてきました。ターンアラウンド株(復活狙い)、自動運転がUberをどう変えるか、AIがソフトウェア企業を食うのか/強くするのか、そして、最後は、「AI投資が止まったら市場はどうなる?」という全体テーマです。以下、専門用語をほどきながらポイントを整理します。
1. ターンアラウンド株は「数字」より「物語」が支配する:Lululemonの代理戦争
番組の主役級は、Lululemon(LULU)。株価が高値から大きく調整する中で、創業者チップ・ウィルソンが、取締役会の刷新を狙うプロキシ・ファイト(委任状争奪戦)に踏み切った、という流れです。報道では、ウィルソンが取締役候補を指名し、会社側も反応していることが伝えられています。
ここで象徴的なのが、創業者の“クリエイティブ軽視批判”。番組内でも引用された趣旨はこうです。
「Finance focused CEOs don't know how to attract or motivate creative talent…(財務畑のCEOは創造的人材を惹きつけ、動かす方法を知らない)」
この手の銘柄は、来期EPSより“ブランドが再び欲望を作れるか”で決まりやすい。逆に言うと、ターンアラウンドの難しさは「施策が正しい」だけでは足りず、“空気が変わる瞬間”が必要な点にあります。
1-1. 「ダメな買収」の後始末は長い
番組では、Lululemonが在宅フィットネスのMirrorを買った件も“象徴的な失敗”として扱われました。Mirror買収はパンデミック期の“フィットネス熱”の文脈で語られ、のちに売却検討なども報じられています。
2. Netflixは「YouTubeの居間」を取りにいく:ポッドキャスト動画の意味**
「Netflixがポッドキャストに力を入れるのは、焦りなのか?先手なのか?」という議論が面白い。番組では、勝負の場所はスマホではなく“リビングのTV時間”だ、と整理されていました。
実際、Netflixは、Spotify(The Ringer)やBarstool Sportsなどと、動画ポッドキャストをNetflixで展開する動きを出しています。ポイントは、音声は他プラットフォームに残しつつ、“映像をNetflixに寄せる”設計です。
つまり、Netflixは、YouTubeと正面衝突するというより、「居間の主導権(テレビのデフォルトアプリ)」を巡る戦いを明確化している。投資判断としては、短期は“新施策の成功/失敗”よりも、(M&Aなど)大きな経営イベントが株価をレンジに閉じ込めるリスクの方が効いてくる、というのが番組の温度感でした。
3. 自動運転はUberを殺すのか、むしろ“利益率を爆上げ”するのか
ここは2026の核心の一つ。番組では、Waymoの体験が「魔法みたい」と語られつつ、結論は意外に冷静でした。
Uberは、“自前で自動運転を作る”のではなく、提携で車両をUberアプリに載せる戦略。実際にWaymoとUberの提携は公式に発表されており、Phoenixでの提供開始、さらに、Austin・Atlantaへの拡大(UberがWaymoの車両フリート運用を担う設計)も公表されています。
3-1. Uberの強みは「運転」ではなく“配車のインターフェース”
番組の言い方を借りると、Uberが本当に困るのは、「TeslaとWaymoで市場が二分され、彼らがUberを必要としなくなる世界」。逆に、自動運転プレイヤーが乱立・分散すれば、Uberはそれらを束ねる“OS”になり得る。
さらに、コスト構造の核心は、ドライバーへの支払い(テイクレート)なので、ここが縮むと(車両側に分配しても)利益率が跳ねる、という見立てです。
4. 「AIがAdobe/Salesforceを不要にする」説の読み方:鍵は“プロ市場”
番組の整理はシンプルでした。
ネガティブ:生成AIで“素人でも作れる”→ Adobe不要、企業はAIで自作→ Salesforce不要
反論:プロは結局、統合された制作環境・運用の安心にお金を払う
ここで象徴的に出てきたのが、2025年の言葉として広がった「AI slop」(低品質なAI生成コンテンツの洪水)です。Merriam-Websterは2025年のWord of the Yearとして slop を選び、定義も明確にしています。
“スロップ”が増えるほど、逆にプロ品質の需要(=品質保証の価値)が浮かび上がる、というのが番組の立て付けでした。
5. 2026の最大論点は結局「AI投資は止まるのか?」—市場の集中が示す脆さ
番組が引用した材料は強烈です。J.P. Morganの「Eye on the Market」2026 Outlookでは、「4社のハイパースケーラー+半導体エコシステムの時価総額が$3T→$18Tに拡大」、さらに、「生成AI関連“42社”が、ChatGPT(2022年11月)以降のS&P500の利益・資本支出の65〜75%を生み出した」といった趣旨が示されています。
市場側でも、AI投資がインフレ要因になり得る、という見方が出ています(電力・チップ・設備投資の波及)。
要するに、2026年は「AIはすごい」で終わらず、“1.3兆ドル級の投資が、どれだけ利益に戻るのか”が問われる年になる。AI投資が“少しでも”つまずくと、指数全体が揺れやすい——これが番組の結論でした。
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