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「バブル論は完全に間違い」——Anthropic投資家・半導体PM Ankur Crawfordが語るAI時代の投資哲学

The Compound and Friends Podcast第238回に、Algerのポートフォリオマネージャー(PM)Ankur Crawford氏が登場した。22年のキャリアを半導体アナリストとして始めた同氏は、現在Alger Capital Appreciation・Alger Focus Equity・Alger Spectra等の複数ファンドを運用しており、Anthropicの3,800億ドルラウンドにも実際に参加している。「私のキャリアでこれほど明確な投資機会を感じたことはない」と語る同氏の見解は、AI投資に懐疑的な市場参加者への率直な反論として読み解ける。


1. 投資哲学——「変化の発見」と「ライフサイクル変化」という二つのレンズ


1-1. 成長の本質は「市場が認識していない変化」

「Algerは、1960年代からの成長投資家だ。その本質は、変化が起きているところに認識されていない機会がある、ということだ」とCrawford氏は語った。成長投資には二つのバケツがあるという。一つは高い売上成長を伴う典型的な高成長企業。もう一つが「ライフサイクル変化」だ。

「ライフサイクル変化とは、すでに成長フェーズを経て市場が飽和した企業が、次の成長をどう見つけるかという問いに直面している段階のことだ」と説明した。具体例として挙げたのは、Apple・Microsoft・Nvidia・Western Digital・Danaher。これらは、いずれも「低バリュエーションで放置されていた時期に、再成長の芽を見抜くことができれば大きなリターンになる」という発想だ。

「『バリュー株を買っているの?』と言われることがある。そうではない。これは認識されていない成長だ」という言葉は、この哲学を端的に示している。

2. AIバブル論への反論——「線形に考えるから見誤る」


2-1. 「エージェントが2028年に来ると思っていたら、もう来ていた」

「3年前に書いたレポート『AIとクリエイトのコスト低下』の時点で思い描いていたことが、今起きている。当時、エージェントが本格化するのは、2028年と考えていたが、タイムラインが大幅に前倒しになった。能力の成長が指数関数的だからだ」とCrawford氏は述べた。

「アナリストも市場も線形に考えるよう訓練されている。二点があれば、その間を直線で繋ぐ。しかし、私たちは今、指数関数的成長の時代にいる。指数関数が実際に何を意味するか、終点がどこかを掴むのは非常に難しい」という指摘は、多くの市場参加者が、AI投資を過小評価している構造的理由を説明している。

2-2. バブル論は「理解できないことの言い訳」

「バブル論を聞くたびに、どこがバブルだと思っているかを必ず聞く」とCrawford氏は述べた。「バブルと言う人の多くは、ヘルスケアや消費財出身のPMやCIOで、今起きていることを自分の背景から理解するのが難しい。だから、『バブルに違いない』と言う。理解できないものはバブルに見える」というのが同氏の率直な分析だ。

バブル論との決定的な違いとして、2000年のドットコムバブルとの比較を挙げた。「2000年の問題は、光ファイバーに巨額を投じたが、誰もそのインフラを使えるコンテンツも技術も持っていなかったことだ。夢を見たが、実際の技術が伴っていなかった。今は違う。技術はすでに揃っている。必要なのは、コンピュート(計算資源)だけだ」。F1カーのアナロジーを用いて「今回は、夢ではなくカーが完成している。必要なのは燃料だけだ」と表現した。

3. コンピュート不足という投資テーマ——「全員がショートしている」


3-1. 「コンピュートは少なくとも2026〜2028年まで需給逼迫が続く」

「今、全員がコンピュートをショートしている」とCrawford氏は述べた。「なぜなら、誰かに生産的なことを頼めるようになった瞬間、人々はそれを使い続けるからだ。UberのCTOが、2026年のコンピュート予算を4月時点で使い切ったと言った。それが現実だ」という具体例は、需要の爆発的な伸びを示している。

「インテリジェンス(知性)を再現しようとすると、それは指数関数的な問題だ。ニューラルネットワークの各接続が、次のレイヤーで指数関数的に増える。需要は頭で想像できないほど大きく、しかし、非常にリアルだ」とも述べた。アナウンスされた設備投資(Capex)をベースにすると、少なくとも2026〜2028年まで需給バランスはとれないという見通しを示した。

3-2. DRAMとHDDという「見落とされていたボトルネック」

コンピュート不足の中で、半導体アナリスト出身の同氏が特に注目するのはDRAM(メモリ)市場だ。「2〜3年前から、AIは、DRAMに大きな引力をかけると思っていた。しかし、メモリ市場が低迷していたので、自分が間違っていると思った。市場が間違ったシグナルを出していたのに、自分が間違っていると思ってしまった」という経験を語った。

「Micronの株価は、2025年8月時点で85ドルだった。今は450ドルだ。DRAMは前年比で約100%上昇した。通常の商品でこれは異常だ」という数字は、その見解の正しさを事後的に示している。HDD(ハードディスク)市場についても「AIエージェントが生成するデータは全て保存される。SeagateとWestern Digitalという2社しかいない市場だが、5年前に誰も入りたくなかったこの業界が、今や重要な投資対象になっている」と述べた。

3-3. 「トークン」という投資単位の理解

「全てのトークンは同じではない」というCrawford氏の指摘は重要だ。「天気を聞くトークンと、薬物探索に使うトークンを同じ価格で買う理由はない。市場はいずれ、ユースケースごとに価格設定を変えていく。薬物探索のトークンは、教育用トークンとはまったく異なる価値を持つようになる」という予測は、AIインフラ投資の長期的な収益構造を示唆している。

4. SaaSの終焉——「40%の営業利益率は持続不可能」


4-1. ジェンセン・ファン発言への反論

「ジェンセンは、AIエージェントがSaaS企業を補完すると言ったが、正直言ってそれは違うと思う」とCrawford氏は述べた。「ジェンセンがそう言えない事情があると思う」という示唆は、競合他社への直接的な言及を避けざるを得ない立場への理解から来ている。

「Salesforceは、過去15年、毎年値上げして誰もNOと言わなかった。それが今後も続くと思えない。SaaS企業のターミナルバリューは変化する。私の感覚では、40%の営業利益率から20%が適切な水準だ」と述べた。「Salesforceは、昨日時点でEV/FCFで10倍の評価を受けていた(SBCを含むと約14.5倍)。コンステレーション・ソフトウェアが持つニッチな業界特化型ソフト群のような『替えのきかないもの』と、Atlassianのように『替えのきくもの』では、すでに市場の評価が分かれている。市場はこれを正しく読んでいると思う」という分析も加えた。

4-2. 例外としてのプラットフォーム型企業

SaaS全体が悲観的なわけではない。「プラットフォーム型のCrowdStrikeのようなセキュリティ企業は免疫を持ちやすい。Palantirは、『クロスチャズム』の道案内役として機能している。AppLoving(アップラビン)は、ソフトウェア銘柄として下落しているが、これはIGV(ソフトウェアETF)に入っているせいで、本質的にはモバイルゲームの広告プラットフォームでありAI活用の恩恵を受けている」という見方を示した。

5. 実際の投資先——Anthropic・Nebius・QXO・AppLovin


5-1. Anthropicへのプライベート投資

「私たちは、3,800億ドルバリュエーションのラウンドに参加した。40Act(公募投資信託)の枠組みで、ファンド資産の15%をプライベート企業に投資できる。過去には、PalantirやChimeへの早期投資を行ってきた」とCrawford氏は述べた。

「IPO前に5,000億ドルバリュエーションに達してしまうような会社に、成長投資家として公開市場だけで参加しようとするのは難しい。プライベート投資は、アクティブ運用の差別化要因になる」という視点は、AIユニコーンが長期間非公開のまま高評価を続ける現在の市場構造への実践的な対応だ。

5-2. Nebius(NBIS)——「次のAIネイティブハイパースケーラー」

「Nebiusは、もともとYandex(ロシア版Google)だった企業が、ウクライナ侵攻後にCEOとエンジニア1,500人がロシアを離れ、20億ドルを持ってオランダに移転し、AIデータセンター企業として再出発したものだ。ある日突然NYSEから『月曜日に上場します』という電話が来て、木曜から週末をかけて準備したという経緯がある」と同氏は語った。「私は、ダボスで追いかけて、ようやく会議の機会を得た」というエピソードも披露した。「これは次のAIネイティブハイパースケーラーになれると思っている」という評価は注目に値する。

5-3. QXO——「Brad Jacobs式の産業統合という成長機会」

「QXOは、Brad Jacobs(URI・XPOの創業者)が建材業界を統合しようとしている会社だ。Beacon Roofingを買収し、業界全体を統合・テクノロジー化しようとしている。EBITDAを現在の約10億ドルから2029〜2030年までに50億ドルに増やすという目標を掲げている。彼はこれを過去にも何度もやってきた」と評価した。

6. Apple・Amazonとスクリーンレス時代の展望


「MagSeven(マグ7)の中で、AppleはHalo(光輪)を持っている——ただし、エージェントSiriを早急に実現しなければそれを失う。なぜSiriが、航空券を予約できないのか理解できない」とCrawford氏はAppleへの期待と懸念の両方を示した。

「Amazonは、今、GAAPベースのPERが10台という、これまでで最も低いバリュエーションで買えるかもしれない。Costco・Walmartより10ポイント低い。これは、優秀な食料品店の評価として妥当なのか」という問いかけは、AWSとAnthropicパートナーシップを通じたAI成長ストーリーを持つAmazonへの強気の視点を示している。

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