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GPT 5.6 Solが登場、AnthropicのFable比で半額以下のコストを実現 ― ARK「The Brainstorm」が徹底比較

ARK Investment Managementの週次番組「The Brainstorm」で、AI業界のアナリストたちが最新のモデルリリース競争と、その背後にある経済構造について議論した。番組では、OpenAIの新モデルGPT 5.6 Sol、Anthropicの「Fable」、そして、Terra・Lunaといった新モデル、さらには、CNBCで話題となったPalantir CEOアレックス・カープ氏の発言、そして、中国系を中心としたオープンウェイトモデルの急速な台頭が主要トピックとして取り上げられた。本稿では、番組内での議論を整理し、投資家・ビジネスパーソンが押さえておくべきポイントを解説する。


1. 最新モデル競争の構図


1-1. GPT 5.6 Solのコスト優位性

出演者のブレット氏は、先週発表されたGPT 5.6 Solについて、「GPT 5.5と同等の性能を半分のコストで提供し、さらに、Anthropicの最上位モデルとされるFableと比べても同等以上の性能を、少なくとも半分以下のコストで提供している」と説明した。多くのベンチマークでより高い性能を示しているとし、「OpenAIによる明確なキャッチアップと追い越しだ」と評価。ユーザーがコストを重視する傾向が強まる中、この流れは限界ユーザーをOpenAI側にシフトさせ続ける可能性が高いとの見方を示した。

1-2. 各社のモデルリリースラッシュ

フランク氏は、過去1カ月半で米国主要5社のAI企業がすべて新モデルを発表したと指摘。GoogleのGemini 3.5 Flash、Metaによる低コストで優れた新モデル、そして、AnthropicやOpenAIには及ばないもののそれほど差がなく、はるかに低コストなGrok 4.5などを挙げ、「効率性への重視が明確に進んでいる」と分析した。

一方で、Anthropicについては、「コストが高いのは単にプレミアムを取れるからなのか、それともモデル自体の効率が実際に劣るからなのか、依然として不透明だ」と指摘。「基盤となる効率性は分からない。より高いマージンを取っているだけかもしれないが、恐らく両方の要因が混ざっているのだろう」と述べた。

1-3. プロダクト面の進化

フランク氏は、また、モデル単体の競争だけでなく製品面の進化にも言及した。Anthropicは、エンタープライズ向け主力製品として「Claude Co-work」をウェブ・モバイル向けに展開し、OpenAIも同様に「ChatGPT Work」でCodex搭載エージェントを全サービスに組み込んだという。xAIも、「Grok Build」というコーディングエージェントの改良を続けている。さらに、あまり話題になっていないが「新しいチャット音声機能が非常に優れている」とし、全二重(フルデュプレックス)対応で、裏側でフロンティアモデルに思考やツール利用を委任できる点を評価した。

2. ベンチマークと性能・コストの分析


2-1. Geminiの遅れとフロンティア勢の優位

フランク氏は、Google Gemini 3.5 Proのリリースが約2カ月遅延していることを指摘し、「昨年はGemini 3 Flashの約30日後にProが投入されたが、今回は競合他社の相次ぐリリースを受けて、性能を練り直している可能性が高い」と分析した。同氏が作成した性能・コスト比較チャートについては、「OpenAIとAnthropicは、依然としてフロンティアの知性という点で明確にリードしている」とし、「OpenAIの最新モデルはFableと同等の知性を、半分以下のコストで実現しているように見える」と述べた。また、xAIについては、Cursorのチームとデータセットの支援を受けつつ、xAI自身のインフラで訓練を行い、「はるかに低いコストでニアフロンティアの知性を実現している」と評価。Metaも「これらのベンチマークだけで見れば、Googleを上回りランキングに復帰した」という。

2-2. コーディングベンチマークの意味

ブレット氏は、コーディングベンチマークでの好成績が、汎用的な知識労働タスクでの性能を示す強い指標になると指摘した。「エージェント能力はコーディング能力に依存しているため、これらはエージェント型プロダクトの競争力を測る良い指標になる」と説明。また、Anthropicが効率性を公開していない可能性について、「モデルをどれだけ大きく構築するか、事前学習にどれだけ投資するかという経済的な選択をしており、それが最終的な価格設定やレスポンス速度に反映される」との見方を示した。

同氏は、OpenAIが明確に先行している理由について、単に最高性能だけでなく、「あらゆる知性のスペクトラムと価格帯にわたる幅広いラインナップを持っている」ことを挙げ、「タスクごとのコストに応じた真の連続体を提供している」と評価。今後は「ユーザーがタスクの完了速度と支払い意欲、性能へのこだわりに応じて、インテリジェントにルーティングする方向に進むだろう」と予測した。

3. オープンウェイトモデルの台頭


3-1. OpenRouterトップ10を中国系モデルが席巻

ニック氏は、OpenRouterの週間利用ランキングにおいて、初めてトップ10が中国系モデルによって占められている状況を紹介した。「1位は、Tencent、2位は、Xiaomi、3位は、DeepSeek、4位は、おそらくオープンソースのMiniMax、5位は、Z-ai。これらは我々がほとんど話題にしていない企業だ。7位まで見て初めてAnthropicが登場し、8位はおそらく別のオープンソースモデルであるNemotron 3だ」と指摘した。

3-2. Satya Nadella氏の「逆情報パラドックス」

ニック氏は、マイクロソフトCEOサティア・ナデラ氏やPalantir CEOアレックス・カープ氏の発言を引用し、業界の力学を説明した。ナデラ氏が、最近のX投稿で述べた「逆情報パラドックス」という概念を紹介し、「トークン消費のコストとして知性に対価を払うだけでなく、モデルを使うたびに独自の知見を渡すことでも対価を払っている。モデル側が次のモデルの強化にそのデータを使わないと明言しない限り、事実上すべてのデータをフロンティアラボに渡していることになる」と説明した。

ナデラ氏が提案する解決策は、クラウドを運営するハイパースケーラーが保護機能を提供することだという。これはPalantirの立場とも重なるとニック氏は指摘し、「フロンティアモデルは、気にしなくていい、バックエンドを入れ替えるから、どのモデルを使っているかすら分からなくなる」というアプローチだと説明した。

3-3. トークン使用量という指標の落とし穴

ニック氏は、トークン使用量という指標だけでオープンソースの「勝利」を判断することには慎重な姿勢を示した。「OpenRouterのユーザーは、API間を積極的に切り替えようとする層に偏っている。したがって市場全体より積極的にモデルを乗り換える傾向があるはずだ」とし、無料・低コストのモデルに大量のトークンが流れることと、フロンティアインテリジェンスモデルの経済性が損なわれることは必ずしもイコールではないと説明した。

同氏はこれを、組み立てラインの作業員(交換可能)とCEO(高額報酬)の関係に例え、「フロンティアモデルはCEOの役割で位置づけられており、オープンウェイトモデルはライン作業員の役割で位置づけられている」と述べた。

4. 「知識労働のどれだけがフロンティアモデルを必要とするか」


4-1. エージェントの現在地

ブレット氏は、知識労働のタスクユニバース全体のうち、実際にフロンティアモデルを必要とするタスクがどれだけあるかという問いを提起した。「30分の作業を完璧にこなせるAIエージェントに任せられるタスクは、現時点でほぼゼロだ」とし、METR(AIエージェントの評価機関)が示すような「12時間分の人間の作業を70%の成功率でこなす」というデータにも懐疑的な見方を示した。「70%の成功率では、残り30%の失敗が命取りになる。もし本当に正しいかどうか分からないなら、その30%があなたを殺すことになる」と指摘した。

同時に同氏は、「上位1%の1%には、桁違いの成果とエージェント能力の解放があるだろう」としつつ、「平均的な知識労働者にとっては、まだそこまで到達していない」との見方を示した。

4-2. 「知識労働者は思っていたほど価値がないのかもしれない」

ブレット氏は、GPT 5.5がGPT 5.4の2倍のコストでわずかな性能向上しか示さなかった例を挙げ、「知性指標のわずかな向上のために2倍のコストを払う」というモデルの値付けが、企業側の判断を変えつつあると指摘。「企業は、これまで知識労働者が『自分たちは価値がある』と会社を説得してきたことに気づき始めている。実際には、その仕事の多くが高性能エンジンを使うほどのスキルを要しないタスクだったのかもしれない」と述べた。

一方で、同氏は、「賢いモデルが同じコストなら誰もがそちらを選ぶ」とし、AnthropicとOpenAIが依然として最も賢いモデルを提供し続けていると強調。その根拠として、Anthropicの年間ランレート収益が推定600〜700億ドルで、年末までに1000億ドルに達する見通しであること、OpenAIは数百億ドル台半ばの規模にあることを挙げた。対して、オープンソースAI企業は、数億ドルから最大でも数十億ドル規模にとどまるという。

4-3. GoogleクラウドとAnthropicの成長率対比

ブレット氏は、「もしクラウド事業者側の成長がフロンティアラボより速くなれば、それはオープンソースが勝利していることを意味する」と述べたのに対し、フランク氏は「Google Cloudは、前年比63%成長で最も成長率の高いクラウドとなっており、ランレートは800億ドルに達している。この軌道が続けば、Anthropicは、年内にGoogle Cloud全体を上回る可能性がある」と反論。「それが正しいとすれば、オープンソースが勝利しているとは言えない」と述べた。

ニック氏は、さらに、AnthropicのARR(年間経常収益)更新が、1カ月前は頻繁に報じられていたのに、最近は「静まり返っている」と指摘。ブレット氏はこれについて「顧客への提供に十分な計算資源が足りなくなったからだ」と応じた。

4-4. 「言い分のある当事者」という視点

ニック氏は、市場のノイズの一因として、Palantirのように「オープンソースに行くべきだ」と主張する当事者が存在する点を挙げた。また、Claude Proプランの利用者(エンタープライズプランではなく使い放題プラン)は、トークンあたりの限界コストに直面しないため、「基本的に無制限の知性」と感じ、経済合理性への感度が低くなりがちだと指摘。これはAnthropicとOpenAI双方にとって意図的な戦略であり、小規模企業がAIの利用を最大化する形で成長し、既存企業を出し抜けるようになれば、双方にとって「勝利の戦略」になり得るとの見方を示した。

一方、150席以上または金融など規制の厳しい業界のエンタープライズプランでは、トークン使用量に応じた課金となるため、「なぜ支出がこんなに高いのか」という予算面のプレッシャーに直面し、より効率的なトークン利用へのシフトを迫られるという、異なるインセンティブ構造が生まれているとニック氏は説明した。

5. Grokの今後の展望


番組終盤では、xAIのGrokについても意見が交わされた。フランク氏は、「今後1年半でトップの性能を持つモデルに追いつくとは思わない」としつつ、「知性対コストというパレートフロンティア上には、その時点までに到達しているだろう。どの位置につけるかは、彼らの計算資源へのアクセスと競争的なポジショニング次第だ」と述べた。ニック氏もこの見方に同意した。

ユーザー成長については、フランク氏は、「モデルが以前より大幅に改善され、ベースも小さいため、ユーザーは増えるだろう」とし、「ユーザー成長よりトークン成長の方が大きくなる可能性が高い。API側では、コストパフォーマンスの良さから限界的なシェアを獲得するだろう」と予測した。

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