Tesla、2025年Q2納車が前年比25%増の48万台超 ― アナリスト予想を20%上回る驚異の数字
2025年7月上旬、米国のテクノロジー・経済ニュースは大きく動いた。Teslaの第2四半期納車台数がアナリスト予想を大幅に上回ったほか、OpenAIによる米政府への株式譲渡協議、Microsoftの巨額投資、そして原子力とAIチップを組み合わせた実証実験など、複数の重要な動きが同時に報じられている。本稿では、Bloomberg Techで取り上げられた主要トピックを整理し、投資家・ビジネスパーソンの視点から解説する。
1. Teslaの第2四半期納車、予想を大きく上回る
Teslaは、EV(電気自動車)の第2四半期納車台数を発表し、世界全体で約48万1,000台を納車したと報告した。これは前年同期比で25%増にあたり、アナリスト予想を20%以上上回る結果となった。
1-1. 市場の反応は複雑
一見すると好材料に見えるこの数字だが、株価はむしろ大きく下落する場面もあった。Bloombergのクレイグ・トゥルーデル記者は、この背景について次のように説明している。「期待値が春先の時点でかなり低く設定されていた」ことが、今回のギャップを生んだ一因だという。また、直近の数営業日で株価がすでに13%上昇していたことも、材料出尽くし感につながった可能性がある。
1-2. 地域別に見る明暗
Cox Automotiveのステファニー・バルデス・ストリーティ氏によると、米国内の販売は前年比で20%減、前四半期比でも2.2%減となっている。一方で欧州市場、特にドイツとフランスでの需要回復がTeslaの成長を下支えした。ガソリン価格の高止まりも追い風になったとの分析だ。
同氏は「手頃な価格帯のEVの不足」が米国市場の課題であると指摘し、今後トヨタやスバルなどから低価格帯EVが投入されることで、状況が改善する可能性があるとの見方を示した。
2. OpenAI、米政府への株式譲渡を協議
Financial Timesの報道によれば、OpenAIは、米国政府に対して5%の株式を提供する可能性について、早期段階の協議を行っていたという。CEOのサム・アルトマン氏は、トランプ大統領のほか、商務長官ハワード・ラトニック氏、財務長官スコット・ベッセント氏とも話し合いを持ったとされる。
2-1. 過去からの流れ
この構想自体は目新しいものではない。2025年初頭、トランプ大統領は主権国家ファンド創設に向けた大統領令に署名しており、当時からAI企業を含む形での官民連携のアイデアが浮上していた。ただし、これまで政府がどの程度の持分を保有するかという具体的な数字が示されたことはなく、今回の「5%」という数字が新しい要素だとBloombergのマイク・シェパード記者は解説する。
2-2. 公共の利益ファンドという構想
この動きは、上院議員バーニー・サンダース氏がかねて主張してきた「AI企業への一時的な50%課税による公共基金創設」という提案とも重なる部分がある。狙いは、AI技術の恩恵が一部の富裕層に偏らないよう、社会全体に再分配する仕組みを作ることにあるとされる。OpenAIやAnthropicの新規株式公開(IPO)が近づく中、新たな億万長者の誕生と格差拡大への懸念も背景にあるようだ。
3. Microsoft、フォワード・デプロイド・エンジニアに25億ドル投資
Microsoftは、企業顧客のAI活用を支援する新部門に6,000人規模の人員を配置し、25億ドルを投資すると発表した。いわゆる「フォワード・デプロイド・エンジニア(FDE)」と呼ばれる職種で、Palantirが先行して確立した手法として知られる。
同社商業部門CEOのジャドソン・アルトホフ氏はインタビューで、「AIはビジネスに奉仕しなければならない」と述べ、単にFDEを配置して導入を促進するのではなく、顧客の業務プロセスに深く入り込み、継続的な改善サイクルを構築することが目的だと説明した。
Palantirとの違いについて問われた同氏は、Microsoftが持つ「マルチモデル対応のプラットフォーム」を強みとして挙げ、コスト管理のための可観測性基盤なども含めた包括的な支援体制を強調している。
4. AIと原子力の融合 ― Valar Atomicsの実証実験
AI向け電力需要の高まりを背景に、原子力発電が再び注目されている。新興企業Valar Atomicsは、先進型原子炉を使って発電し、その電力でNVIDIAのAIチップ「Blackwell」を稼働させる実証実験を、米国で初めて実施したと発表した。
CEOのアイザイア・テイラー氏によれば、今回の実証規模は100キロワットと小規模だが、「国内の国立研究所システム以外で先進型原子炉が建設された初のケース」であり、「スタートアップとして初めて原子力による発電に成功した」という点で意義があるとしている。
同氏は、高温ガス炉という技術特性により水冷却が不要になる点を強調し、NVIDIA側が進めるデータセンターの水を使わない冷却技術との組み合わせに期待を示した。「地域社会の水資源に負担をかけずにAIのスケーリング競争に勝つ」ことが今回の連携の核心だと語っている。
5. その他の注目トピック
Appleは、米国防総省のブラックリストに掲載されている中国メモリメーカー2社(CXMT、YMTC)からの調達を検討していると報じられた。メモリ不足による製品値上げが背景にあるとされる。
Anthropicは、Samsungとの間でカスタムAIプロセッサーの製造について初期協議を行っているとThe Informationが報じた。
米雇用統計では、非農業部門雇用者数が前月比57,000人増にとどまり、市場予想を下回った。この結果を受けてハイテク株には売りが先行し、ナスダック100は1.4%安、フィラデルフィア半導体指数は4.5%安となった。
Palmer Luckey氏が支援するスタートアップ銀行「Erebor」は、評価額80億ドルを目指した資金調達を計画しているとBloombergが報じた。同行は過去数カ月で預金が4倍に増加し、顧客数も約400件増えたという。

