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不確実性を制する:『ここ、今』に賭ける2025年ミッドイヤー・アウトルック

2025年上半期は、米国の急激な政策シフトやインフレ・財政規律の揺らぎなどを背景に、投資家が長期的なマクロアンカーを見失う一方で、不変の経済法則が近視眼的な市場展望を支えています。このような構造的転換期において、BlackRock Investment Institute(BII)は、「ここ、今」に投資する戦術的アセットアロケーションの重要性を説き、伝統的なマクロアンカーが働かない環境下でもリスクテイクを推奨するとともに、AIや地政学的断片化といったメガフォースに新たなアンカーを見出すことを提案しています。 本記事では、BIIの2025 Midyear Outlookをもとに、その核心となる3つの投資テーマを詳細に解説します。


1. 新たなマクロレジームと長期アンカーの喪失


1-1. 2025年上半期の市場動向

2025年上半期は、米国が関税政策や税制改革、連邦準備制度の独立性をめぐる議論を経て、世界経済の構造変化が一気に加速した期間でした。この間、インフレ率の変動幅は過去にない高水準を記録し、財政規律は急速に後退、長期米国債利回りに対する投資家の要求利回りも上昇しました。

1-2. 失われた長期マクロアンカー

BIIは、この状況を「長期マクロアンカーの喪失」として整理しています。具体的には、2%に収斂していたインフレ期待が固定されなくなり、政府債務持続性への懸念、中央銀行独立性への疑問、さらには米国資産の安全資産(セーフヘイブン)としての役割への信頼低下が進んでいます。これにより、過去数十年にわたって資産配分の指針となってきた「債券のディフェンシブ特性」が失われつつあります。

2. 「ここ、今」に投資する:近視眼的投資の重要性


2-1. 不変の経済法則がもたらす視界

BIIは、世界経済が一夜にして完全に再構築されることはなく、貿易と債務資金調達には、「不変の経済法則(Immutable economic laws)」が存在すると指摘します。例えば、貿易網の再編は、サプライチェーンへの深刻な混乱を伴い、債務持続性は外国投資家の資金供給に依存するため、一時的な関税引き上げや財政拡大にも限界があります。

2-2. 戦術的アセットアロケーションへの転換

これらの制約下でBIIは、従来のストラテジック・アセットアロケーション(長期配分)よりも、6~12カ月のタクティカル(戦術的)アセットアロケーションに重きを置くことを提唱します。実際、短期的な経済指標や地政学的イベントが市場に与える影響をより細かく捉え、機動的にポートフォリオを調整することで、流動性とリターンを最大化する狙いがあります。

3. アンカーのない中でのリスクテイク:アルファ獲得機会


3-1. 変革期にこそ光るリスクプレミアム

長期のマクロアンカーが失われた環境では、市場のボラティリティが高まりやすくなりますが、その分「アルファ(超過リターン)獲得機会」も豊富に存在します。BIIは、「この環境は過去10年よりもアルファを獲得しやすい」と評価し、引き続き積極的なリスクテイクを支持します。

3-2. ボラティリティを利用したトリュフ探し

BIIのグレン・パーヴィス氏は、ポッドキャストで、「6カ月間の高い不確実性こそがトリュフ探しの絶好機」と例え、変動性の高い相場でこそ選別的な投資が功を奏すと述べています。

4. メガフォースに新たなアンカーを見つける


4-1. AI:耐久的なリターンドライバー

メガフォースの代表格であるAI(人工知能)は、技術インフラへの巨額投資を促し、データセンターや関連エネルギー需要を長期的な成長エンジンとします。BIIは、AI関連テーマへの集中投資を維持し、公開市場とプライベート市場の双方での機会を追求しています。

4-2. 地政学的断片化:防衛・サプライチェーン・税制

米中対立やNATO加盟国の防衛支出増大は、産業・サプライチェーンの再編を促します。インフラ関連セクター、国防関連企業、ブリッジファイナンスを提供する金融機関などが恩恵を受ける可能性が高く、地域ごとの分散投資機会として注目されます。

4-3. インフラ&エネルギー:持続可能な資本投入

インフラ再構築やエネルギー需給の転換は、政府の財政支出だけでなく、民間キャピタルの導入を加速します。私募クレジットやインフラ・エクイティへの投資も、ポートフォリオの新たなアンカーとなるでしょう。


長期のマクロアンカーが失われ、世界経済が「新たなマクロレジーム」に移行した今、投資家は「不変の経済法則」と「メガフォース」による視界を手がかりに、短期戦術を駆使してアルファを追求すべきです。BIIの2025 Midyear Outlookは、まさにこの不確実性の中で「ここ、今」に投資することの重要性と、AIや地政学的断片化といった新たなアンカーを活用する戦略を示しています。これらを踏まえ、今後の投資機会を主体的に捉えていきましょう。


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